- はじめに
- 第1章 学芸会成功につながるクラスづくりの基礎・基本
- 1 学芸会成功の土台は学級づくり
- 2 全員で劇に取り組む集団づくり
- 3 恥ずかしいという気持ちを乗り越える表現遊び
- 4 自己表現が苦手な子どもへの支援
- 5 自主的に表現活動ができるグループづくり
- 6 クラスが一つにまとまる意思決定の方法
- コラム 劇づくりで育つ力
- 第2章 演技指導の前にやっておきたい学芸会準備
- 1 学芸会までのスケジュールとチェックリスト
- 2 子どもと教師にとってよい脚本選び
- 3 共通体験を生かした脚本づくり
- 4 子どもが主体的に取り組む脚本の決め方
- 5 脚本との出会いの演出方法
- 6 「からだ読み」で楽しむ脚本との出会い
- 7 台本を持たない最初の練習
- 8 裏方の大切さを伝えるアイデア
- 9 全員が納得する配役の決定方法
- 10 大道具・小道具の仕事内容と準備の方法
- 11 学芸会のねらい
- 12 学級での目標設定
- 13 学芸会の評価
- 14 保護者への連絡と情報共有
- コラム 学芸会を成功させる5つのキーワード
- 第3章 劇の見栄えがよくなるピンポイント演技指導
- 1 みんなに聞こえる声が出る指導
- 2 脚本内容を理解させる読み合わせの指導
- 3 自然な演技を引き出す指導
- 4 台詞がないときの演技指導
- 5 子どものモチベーションを維持する指導
- 6 舞台を有効活用する演技指導
- 7 グループでの練習を生かす指導
- 8 舞台上で集団を上手に動かす指導
- 9 劇中歌の練習指導
- 10 ダンスの練習指導
- 11 盛り上がりのある舞台のつくり方
- 12 簡単で見栄えのする大道具のつくり方と小道具の準備のコツ
- 13 場面転換をスムーズに行うための指導
- 14 BGMと照明の効果的な使い方とスタッフの指導
- 15 本番成功が近づくリハーサルの指導
- 16 本番当日の教師の動き
- コラム 保護者への心配り
- 第4章 クラスがもっと仲良くなれる学級活動アイデア
- 1 劇の台詞を使ってみよう
- 2 学芸会の役で生活してみよう
- 3 私は木です
- 4 カテゴリー・ドン
- 5 相談じゃんけん
- 6 変身じゃんけん
- 7 みんなで楽しく顔じゃんけん
- 8 グループジェスチャー
- 9 何やってるの?
- 10 「○○しようよ!」「いいね!」
- 11 次は誰かな?
- 12 即興表現を楽しもう
- 13 同じ仲間で集まろう
- 14 身近な素材でパペットをつくろう
- コラム 創作劇のすすめ
- 付録 必ずうまくいく!学年別おすすめシナリオガイド
- 低学年
- ことばあそび あいうえお
- あいうえおげきじょう
- はたらく自どう車コンクール
- アイウエオリババ
- よかったね
- おそれ山の赤おに
- こうえんデパートオープニングセール
- 中学年
- 夏だ・海だ・出ぱつだ!
- あやうし!にん者学園
- ありの行列
- よく晴れた朝に
- タヌキのおん返し
- ナマケロ ナマケロ
- こやぎのおるすばん
- 高学年
- われら五年 やかまし組
- 友情のモニュメント
- クラリーナ国の陰謀
- 風吹く夜に
- アンドロイド
- 子どものまつり
- 雪童子
- 執筆者一覧
はじめに
演劇は総合芸術と言われています。それだけ劇を創る活動は多様だといえるでしょう。脚本選び,台詞,音響,照明,舞台,大道具,小道具,それに歌やダンス等もあるでしょう。特にその道の専門家ではない教師が対応しなければならないのですから大変です。できれば避けたいという気持ちになるかもしれません。しかし,学校行事の中の教育としての劇づくりです。経験がないからといって避けてばかりはいられません。劇づくりには,日々の教科の教育活動だけでは達成できない活動のねらいがあるのです。また,劇づくりを体験することは,教師として大きな自信にもつながります。劇づくりを教育活動としてとらえ,できる範囲で教育効果をあげていければよいのです。
「劇づくりに取り組んで,苦労はしたが,クラスがまとまりをみせるようになった」という話をよく聞きます。活動の中で子どもたち同士が理解し合い,協力し合い,助け合うことを自然に学び,やり終えた成就感をもつことで,心が育ち,集団が育っていったのだと思います。
本書は劇指導に初めて取り組もうとする先生方のためのガイドブックです。劇指導のベテランの先生方が,自分の体験をもとに基礎づくりから練習の方法と劇発表まで,劇指導の流れに沿ってそのポイントをわかりやすく配し,執筆されています。しかも,単なる劇指導のノウハウではなく,教育の目標に沿い,演劇のもつ教育力に焦点をあて,子どもたちが主体的に協力し合いながら楽しく劇づくり活動に参加できるようにつくられています。子どもたちの表現力やコミュニケーション力が育てられるようなしかけや工夫も随所にあり,劇の発表までのプロセスに合わせて構成されています。そのことはまた,学級づくりにもつながっていくのです。
平成29年6月 公益社団法人 日本児童青少年演劇協会 会長 /森田 勝也
-
- 明治図書