子どもの学びを育てる少人数授業
犬山市の提案

子どもの学びを育てる少人数授業犬山市の提案

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子どもの主体的な学習のために本当に必要な少人数指導。

犬山市の少人数授業の全貌。子どもの主体的な学習のために本当に必要な箇所で、効果的なグループ編成を考えて行っている。その実践は様々な場面で応用できる。


復刊時予価: 2,563円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-223510-X
ジャンル:
授業全般
刊行:
2刷
対象:
小・中
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 少人数授業の理解と進め方
1 犬山の少人数授業
2 学びを育てる授業の条件
3 個に応じた授業づくり
4 少人数授業の効果
5 少人数授業の進め方
U 犬山市 小・中学校の取り組み
○1年・算数
少人数を生かした1年生の学び合いの工夫 /藤田 芳枝 /畑中 まゆみ /稲垣 江美 /伊神 れい子
○2年・算数
単元を見通した学習形態の工夫―かけ算― /坪内 茂雅 /犬山北小2年生グループ
○3年・算数
学び合いを促す児童主体の学習過程をめざして―かけ算の筆算― /浅輪 郁代
○3年・算数
子ども一人ひとりの力を最大に生かす少人数授業―習熟度別指導実践― /大内田 傑 /奥村 孝子 /後藤 三根子 /鈴木 陽子 /伊藤 恵理子
○4年・算数
楽しい4年生の割り算教室―だれもが自分の力で問題を解く喜びを味わう授業― /牛田 美和子
○5年・算数
効果的な算数の授業形態を考える―少人数授業とティームティーチング― /古市 博之
○中学校・数学
少人数の特性を生かした効果的な数学授業 /岩田 泰幸
○中学校・英語
少人数の特性を生かした効果的な英語授業のあり方 /山本 浩史 /鈴木 浩
○中学校・理科
生徒の生き生きとした学びを求めて―ティーチングスタッフ増員の元での理科の授業形態の工夫― /武内 浩二
V 少人数授業の実態と展望―調査研究から―
望ましい少人数授業の教室環境―学習活動に合わせた机配置と理想の専用教室像― /後藤 正行 /小川 俊典 /武内 恵味 /仲 律子
少人数授業,ティームティーチングの効果―犬山市における実践とその調査を通して― /谷口 篤 /仲 律子
少人数授業の学習指導過程の特徴 /西口 利文

はじめに

 犬山市の教育改革は,教育委員会がその機能を積極的に発揮した事例として,全国的に注目されています。改革の中身は,単なる制度の改革に終わることなく,いかに子どもの「学び」を実現していくかという,教育の本来の目標を一貫してめざしています。

 犬山市の改革で広く知られているのは,市の予算をもって多数の非常勤講師を採用し,少人数授業の機会を増やしたこと,また市内教師たちの手による算数副教本を真っ先に作り上げ,授業で活用していることです。これらの試みを通して,犬山の改革は着実に成果をあげつつあります。

 犬山の成功の理由として,私は2つの点をあげます。ひとつは,改革の前提に一貫して子どもの成長意欲に対する信頼があったこと,もうひとつは,教師たちはだれもが子どもを良くしたいという強い願いを持っており,適切な機会があれば教師集団は授業改善に優れた力を発揮するはずだという教師への信頼があったことです。

 改革の前提が子どもの問題行動への対処であったり,教師への不満であったりするようでは,おのずからその中身は対症療法的発想になります。教育という課題は創造的、発展的な対応が求められるものでしょう。その意味でも犬山の改革は注目すべき意義があると思います。

 犬山市では,教育委員会は教育条件の整備を積極的に行いますが,その教育環境をどのように生かしていくかは各学校の裁量に任されています。現場から改革の実態を作り上げる形になっています。それは一方,教師たちにとっては日々が研修だということになります。

 実際,市内各校では実践づくりの研修会が盛んに行われています。また,有志の集まる少人数授業研究会も組織され,すでにいくつかの研究成果を論文や研究集会などで発表しています。また,2002年の秋には,少人数授業の全国交流を開催し,他地域の多数の教師たちとの交流も図りました。

 本書は,犬山市内の教師たちが,そのような日常の中で作りあげてきた少人数授業の実践を主な内容としています。子どもの「学び」の実現を課題としていますから,ここでは「少人数指導」とか「少人数指導授業」という表現は用いません。「指導」という,教師の活動が表に出るべきではないと考えるからです。

 犬山の教師たちの研究は,ただ先進校から学ぶというような借り物をするのではなく,自分たち自身の実践経験をきちんと評価し,改善していくという,オーソドックスな手法をとったものです。また,成果を皆で共有できるようにという構えを持って研究してきました。したがってその分ユニークさに欠けるところがあるかもしれません。しかしその一方,ここでの成果はさまざまな場面で対応できる,原理とも言える内容を多く含むものとなりました。

 授業づくりでは,結局は一人ひとりの教師の個人的な学習指導論がいかに鍛えられているかがポイントになります。犬山で見つけた学習と指導の原理を一人ひとりの教師が捉え返し,自らの実践に主体的に生かしていく,そのような文化ができていくことが教育改革の重要なねらいであるように思います。

 本書の内容には全国の教師の方々にも役立つものがきっと多くあると考えます。また,本書をお読みになったことをきっかけに,犬山にご経験を寄せていただければ幸いです。


   編者 /杉江 修治

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      明治図書
    • ある週刊誌で、独自の方法で成果をあげているとして、犬山市の
      ことが紹介されていましたので、以前読んだこの本を取り出して
      みました。
      少人数授業というと、習熟度別授業とイコールのように思われ
      がちですが、犬山市では、習熟度別一辺倒ではないようです。
      今また新鮮な感じで読みました。
      2006/3/28カサ

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