生きる力を育てる“教育の肝所”

生きる力を育てる“教育の肝所”

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「生きる力」の育成のため、若手教師に贈るメッセージ

全国の退職校長は今日の教育荒廃を憂い、なんとか再生したいと様々な活動を重ねている。本書は、永い経験を活かし素晴らしい教員たちの活躍を紹介。「どうやったら子供と一体になれるか」「どうしたら保護者の信頼が得られるか」現職や教員を目指す人々への啓発書である。


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ISBN:
978-4-18-217010-2
ジャンル:
授業全般
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 164頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに 全国連合退職校長会 会長 /廣瀬 久
T 子供の夢を育む学級創りの肝所
[一] 感動体験が子どもを育む―情熱をもって、元気にベストを尽くして―…滋賀県 /乕丘 美代
[コラム1] 子供を引き付けるコツ /目賀田 八郎
[二] 子供と心をつないで―信念に基づく学級経営―…茨城県 /川窪 洋子
[三] 共に歩む学年経営―弾力のある総合的な学習を通して―…愛知県 /杉浦 光子
[四] 三つ巴の歩み―教員に『ゆとり』あってこそ―…広島県 /橘高 準
[五] 若鵬よ紺碧の空へ舞え―限りなく広い未来へはばたく子供たちへの支援―…大阪府 /曽我 正雄
[コラム2] 心に響く授業のコツ /織井 道雄
[六] 支援教育コーディネーターの実践―未知の分野に誠実に飛び込んで―…神奈川県 /佐藤 純
[コラム3] 親に信頼されるコツ /織井 道雄
U 学力の向上を図る教科指導の肝所
[一] 子供が動く授業を創る―授業力を磨く教員―…愛知県 /松山 美重子
[二] 支え合う学級、学び合う授業の創造―算数科の学習指導を通して―…広島市 /原田 力
[三] 瞳 輝け―伝統あるオーケストラの演奏を通して―…香川県 /岡田 恕枝
[コラム4] ほめて育てるコツ /黒須 健児
[四] 真の異文化理解を―自ら、中国語を学んで―…東京都 /押尾 賢一
[コラム5] 会話力を育てるコツ /西倉 正
[五] 若き教員の学び―授業力アップのポイント―…東京都 /會田 満
[六] 全校表現劇『海よ光れ』―地域の歴史を通して、海の環境を考える―…岩手県 /箱石 敏巳
[コラム6] 理科を好きにするコツ /戸張 敦雄
V 輝く瞳に溢れる学校創りの肝所
[一] とりあえず一歩前進―チャレンジハウスの取り組み―…栃木県 /伊藤 悟
[二] 島の子供の輝く笑顔―離島分校での教育―…長崎県 /下釜 明
[三] 音楽で心をつなぐ―合唱クラブの指導を通して―…北海道 /絹野 秀克
[四] 今日も生き生き『天の花』―師先して、ゆめ・ゆとり・ユーモアへの挑戦―…和歌山県 /大岡 潤
[五] 情熱と人柄が情緒を育む―吹奏楽部の中での成長―…沖縄県 /喜舎場 直子
[コラム7] 地域の力を活用するコツ /片岡 敦子
本書で顕彰した方々
おわりに 編集委員長 /目賀田 八郎

はじめに

   全国連合退職校長会 会長 /廣瀬 久


 今回、知識基盤社会への対応を重視し、『生きる力』の育成を目指し、確かな学力、豊かな心、健やかな体を育成することを基本方針として、学習指導要領が改訂された。なかでも、『生きる力』を考えるに当たっては、さらに、教育基本法第一条の『教育の目的』を押さえておくことが重要である。

 人間が生きているということは、個人として生きているとともに、他人や集団・国家・社会とのかかわりという相互関係の中で生きているのである。

 我々は、この世に生を受けて以来、今日までの様々な体験や環境が、その人の、ものの見方、考え方、感じ方の根底にあることも忘れてはならない。このことは、教育基本法第十条、第十三条の新設とも、深くかかわっていることにも注目しておきたい。

 さらに、人間を取り巻く自然は勿論、一人の人間が、この世に生を受けるということに、自分の意志を働かせることはできない。我々は、自然や人間の力を超えたものとの、かかわりの中で生きているという認識を、明確に持っていることが重要であろう。

 教育上、最も重要なことは、『教育する者とされる者との間に信頼関係が存在する』ことであるが、学校教育に限って考えてみても、教員と子供との信頼関係は勿論、子供相互、教員と保護者、学校と教育行政当局等との信頼関係なしには、教育の効果を期待することはできない。

 学校における子供と教員の出会いには、子供も教員も保護者も、自らの意志を働かせる余地はほとんどない。その中で、信頼される教員になるには、『子供を認め、子供の自己実現を支援することに徹する』ことである。

 即ち、一人一人の子供が、かけがえのない一人の人間として存在していることと、その価値を認めること。生命、人格、人権等を大切にする人間尊重の精神を根底に、一人一人の子供が、より良く生きたいという、願いや夢・希望を持って成長することを信ずること。子供が、自分は大切にされ、頼りにされていることを実感し、居場所があり、自己実現の喜びを味わえるようにすることである。

 子供は、無自覚或いは無意識に、感情を中心に、様々な形で自己を表出している。しかし、指導者側がそのことを理解していなかったり、子供と指導者側のものの見方、考え方、感じ方に、相違やズレがあることに気付かないでいることはないか。『一人一人の子供の内面の深い理解が、信頼につながる』ことを、指導者側が自覚し、『一人一人の子供の姿からその内面を学ぶ』という謙虚さが、日常的に必要である。

 学校では、教育課程を編成し、学級を中心に、各教科・領域の指導をしているが、教員は、それぞれの教科・領域の目的、特質、内容の系統性や発展性、学校教育目標とのかかわり等について、よく理解しているのか、その上で、子供の実態に即して指導しているかを考えてほしい。教えるべきことは、しっかり教えなければならないが、教員自身が分からないことを教えても、子供に納得させることはできない。

 良い授業の展開には、どんな教材や資料を選ぶのか、その根拠は何か、それぞれの教材や資料には特質があり、ポイントがある。それをどう使うのかを、明確にしておくことが重要である。また、教材や資料を活用して、習得的な学習か、探求的な学習か、活用型の学習か、どんな指導方法をとるのかも、検討が必要であるが、それぞれの指導方法には、その根拠となる理論がある。それをよく理解し、子供の実態とねらいに即し、最も適切な指導方法を考えることが重要である。

 教えることは学ぶこと。教員は、謙虚に子供に学び、ねらいに学び、教材に学ぶことが大切であろう。


 本書の実践事例と編集者の想う『コツ』に学び、『生きる力』の育成に活用されることを希みます。

著者紹介

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全国都道府県にある退職校長会の連合体。教育振興のために

つとに研究活動を続けて,40余年になる。

事業委員会は,全国連合退職校長会にあって,主として出版・研修の事業を行っている。


全国連合退職校長会

会長    廣瀬 久

総務部長  戸張 敦雄

編集委員長 目賀田 八郎

編集委員  黒須 健児・織井 道雄・片岡 敦子・西倉 正

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書

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