21世紀型授業づくり6読み書き計算を豊かな学力へ

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読み書き計算の力をつける過程で子どもたちは集中力、根気、自信などを獲得する。そのための練習方法はただ繰り返すだけでは力はつかない。豊かな学力に導く工夫例をあげた。


復刊時予価: 2,277円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-216720-1
ジャンル:
授業全般
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
A5判 120頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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はじめに
1 硬筆書写
〜学力の基礎の基礎
1 基本的な学習習慣も養える(硬筆書写指導の意義)
2 そのまた基礎(姿勢・鉛筆の持ち方)
1 姿勢
2 鉛筆の持ち方
3 指導の工夫
1 字形のコツ
2 連絡帳の活用
2 計算
〜即効性のある処方箋
1 とりかかりやすい計算の指導(計算指導の意義)
2 中途半端はあだになる 百マス計算
1 五〇〇〇問(一〇〇問二回を二五日)で手応え
2 百マス計算がきっかけで変わった佐川君
3 お絵かき計算ワーク
3 計算指導の工夫
1 補助数字(くり下がりはどうするか)
2 たまごとさくらんぼ(くり上がりの補助記号)
3 指の使い方も教える
4 おはじきの効用
3 音読
〜意外と奥が深い世界
1 まずは音読から(音読指導の意義)
2 一人一人が読めるようになるために
1 子どもの状態を知る
2 音読の指導
3 説明文の音読(一年)
1 説明文の音読
2 指導方法
3 「どうぶつの赤ちゃん」(光村・一年)から
4 その他
4 漢字
〜その楽しさを伝えたい
1 くり返しだけではない(漢字指導の意義)
2 練習方法再考(宿題ノート)
1 小テストの結果から個人の分析へ
2 読みがな先行・自分テスト方式
3 さかのぼりくり返し
4 成長する小テスト
5 佐川君の急成長
6 やはりくり返しだけでは足りない(字源の指導へ)
3 字源の指導
1 新出漢字指導の時点でまず指導
2 一年生から漢字字典を
4 漢字の授業(六年) 「莫」でつながる字
1 字源の授業への二つのこだわり
2 「謨」が読めますか?
5 読み書き計算を豊かな学力へ
〜情報のインプットとアウトプット
一 読書
1 読書の意義
2 絵本の楽しさを知る
3 クイズづくりで読書に誘う
1 「どうぶつの赤ちゃん」(光村一年・下)(二月三日〜二月一八日)
2 クイズづくりの指導
3 授業の後で
二 俳句〜言語感覚を磨く
1 俳句指導の意義
2 一年生にも俳句〜ポケモンを使って
3 六年生の授業〜型を使って
おわりに

読み書き計算の可能性

 この本で言おうとしていることは、次の二点である。

・読み書き計算の取り組みは、子どもの集中力や根気を育てることにつながる。また、子どもに自信をつけ、積極的に学習に向かうようになるきっかけにもなる。

・読み書き計算の取り組みは、まだまだ工夫の余地がある。


荒れの手だてとして

 子どもが読み書き計算の力をつける過程で獲得するもの(集中力・根気・自信など)は、読み書き計算の力と同じくらい大切なものだと私は考えている。

 本文中に何度も登場する佐川君は、四月の授業ではほとんど集中することがなかった。しゃべり続け、すぐに立ち歩いていた。ちょっと気に入らないことがあると、友だちにも口汚くののしり、席が隣になった子は毎日のように泣かされていた。

 そんな佐川君が変わり出したのは、読み書き計算の取り組みがきっかけだった。計算が少しずつできるようになるにつれ、集中できる時間も徐々に長くなっていった。漢字は二学期になって急成長した。そのころから少しずつ友だちとの関わり方も変わっていった。

 今、子どもの荒れや学級崩壊が教育現場の大きな課題になっている。読み書き計算の取り組みは、その一つの手だてになるのではないだろうか。


誰でもできるちょっとした工夫

 新任のころ、読み書き計算の練習方法は、ただくり返すだけだと思っていた。いざやってみると、いろいろと工夫の余地があることに気づいた。

 一〇までの足し算が、うまくできない一年生に「おはじき」とよんでいる紙を使わせると、かなりスムーズにできるようになる。本書では、そんな誰でもできるちょっとした工夫をならべている。すべて私が実際にやってみたものである。

 それぞれの分野の専門家やベテラン教員から見ると、とるにたらない当たり前のこともあるかもしれない。しかし、それだけに名人芸が必要なものは一つもない。


 なお最後に、読書と俳句についてもふれている。読書と作文(俳句は短作文の一種と考えている)は、情報のインプットとアウトプットでもある。読み書き計算を支えるもの、あるいはより豊かな学力に導くものとして、読書と俳句にも章をとることにした。


  2000年3月   /岡  篤

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      明治図書

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