- はじめに
- 第1章 私の教師修業日記1 全エネルギーを注ぎます! 金に糸目はつけません!
- 1 メモ魔
- 2 忙しい人とつきあうから学ぶ
- 3 こんなにつかっちゃった! 教師修業に200万?!
- 4 がんばる人との出会い(赤木雅美先生との出会い)
- 5 一筋縄でいかない子どもとのつきあい方
- 6 講座後のメール強制的にさせられてわかる意味
- 7 恥をさらしてなんぼの世界
- 8 一人の人をずっと学び続ける
- 9 子どもは授業でエネルギーを発散する
- 10 忠実に学ぶということ
- 第2章 私の教師修業日記2 時間を生かす,人を生かす 小さな違いが大きな違い
- 1 負けず嫌いの努力嫌い
- 2 講座は,栄養ドリンク
- 3 恥=変な癖を模擬授業の積み重ねでそぎ落としていく
- 4 よいところを見つけざるをえない状況を作る
- 5 時間の使い方
- 6 最後まであきらめない
- 7 中途半端な誉め方ほど役に立たないものはない
- 8 忙しいときの仕事術
- 第3章 「手応えある授業にしたい!」 授業作り0からのスタート
- 1 授業を創るということ
- 2 でも,よかった
- 3 授業とは何だ?
- 4 原点=子どもの事実
- 5 初めての模擬授業「私には授業はできない」
- 6 平気で恥をかける人になる。きっかけは向山洋一先生
- 7 模擬授業に希望しまくる
- 8 穴があったら深く深く掘って入りたい……
- 9 準備をして恥をかくから実になる
- 10 初めて授業の中身についてコメントをもらう
- 11 わずか一文を伝えるために,ギリギリまで考える
- 12 新幹線での達成目標
- 13 思いつく作業をすべて網羅する
- 14 作業する中で見えてきたもの
- 15 初めて椿原正和先生に授業についてコメントをもらう
- 16 授業の教材研究を経験したら模擬授業を見る目が変わった
- 17 授業の教材研究法を聞く
- 18 授業の組み立て方を聞く
- 第4章 実感! 授業作りっておもしろい!!!
- 1 無理言ってでも授業したい!
- 2 授業の準備に入る前に……
- 3 ネタを探す
- 4 本屋で本を探しに探し,並べて鑑賞
- 5 本は読んだが,何の作業をしてよいかわからない
- 6 授業の案をあてのないメールに書く
- 7 メールでの教材研究
- 8 先行実践にあたる
- 9 授業案を見つけるのは,HPの絞り込み検索と同じ
- 10 ネタは見つかった。またまたメールで授業案を練る
- 11 授業にかける
- 12 サークルで検討してもらう
- 13 列車の中で見てもらう
- 14 授業に突入
- 15 ネタみつけと教材研究は合体している
- 第5章 2ヶ月変わらなかった子どもが3時間で激変する音読指導のウラ技21
- 1 姿勢が違う
- 2 教科書の持ち方が違う
- 3 身の回りの持ち物の置き場所が違う
- 4 誉め方が違う
- 5 子どもたちの音読を聞くときの位置が違う
- 6 音読を聞いて回るときの聞き方が違う
- 7 今まで行ってきたことがすんなりと出る環境
- 8 読むのが苦手な子どもががんばって読む
- 9 読むのが苦手な子どもへの手だてが短い時間で取られる
- 10 一時に一事の指示をする
- 11 教科書を目で追っているかの確認が入る
- 12 趣意説明がある
- 13 教科書を読ませるときの教師の見ている視線が違う
- 14 指示と指示の間の時間が違う
- 15 1回の授業で読む回数が違う
- 16 交代読みをさせるとき混乱するような所には配慮がいっている
- 17 1時間の中に緊張する場の設定,一斉の中での緊張,1人でする事の緊張
- 18 リズムを取るための「はい」
- 19 家でどれだけ読んできたか毎回確認をする
- 20 一度に連れ読みする行数
- 21 上手に読めるようになった後の子どもの様子が違う
- 第6章 これこそ教師の仕事! 努力した子どもをできるようにする 漢字指導 我流克服のポイント10
- 1 我流の分析
- 2 我流克服のポイント10
- 3 あかねこ漢字スキルテスト,平均点の推移
- 第7章 1学期に子どもに指導しておくべきこと
- 1 1学期のうちに子どもたちに徹底的に付けておきたい力
- 2 1学期はじめにチェックをしておきたい事項
- 3 1学期のうちに徹底的に取り組む内容
- おわりに
まえがき
臨時採用の講師をしていた時のこと。子どもたちが落ち着かなかった。暗い雰囲気ではないが,やりたい放題という感じだった。他の先生方は「この学校の子どもたちはとてもかわいいの。今まで出会った中で一番かわいい。」渦中にいた私は,お世辞にもそうは思えなかった。(学校を離れてからこのかわいさに気づくことになる)なぜ私の学級はこんなに落ち着かないのだろう。毎日帰りの車の中で涙が止まらなかった。
「こんなはずではなかった。なぜ?」これがいつも堂々巡りだった。
やりたい放題の子どもたちを前に怒鳴る,授業をボイコットする,挙句の果てには子どもたちに気をつかわせる始末だった。
「こんな怒鳴り散らす教師になりたかったわけではなかった。教師に向いていないのかもしれない。」と,うまくいっている同年代の先生たちを見てうらやましかった。誰に相談しても慰めの言葉は返ってきても,解決の糸口は見つからなかった。そんな時,向山洋一先生の『子どもを動かす方法』(明治図書)に出会う。読みながらとにかく次々に実践をした。子どもたちが段々と落ち着いていくのがわかった。この時は向山先生のお名前も知らなかった。
それから半年。初任で採用になり,椿原正和先生と出会うことになる。今から5年前のことである。初任で赴任した時のこと。初任者研修の担当が法則化を応援してくださる先生だったことから,椿原先生の授業を研修で見せてもらうことができた。「何がどういいのか?」それはわからなかった。しかし,自分の授業と全く違うあたたかさを感じた。あたたかさだけでなく,子どもたちが糸をほどくようにわかっていくのが見えた。「こんな先生になりたい。」とこの時思う。
しかし,なかなか声をかけられず,サークルに参加希望を言えずに半年経つ。12月。講座に誘われる。その後,「サークルに参加させてください。」と一歩踏み出す。
サークルに入っての所信表明。
「自分の中で曖昧のまま過ごしている所を明確にしていきたい。」
ここが私の教師修業の始まりだった。
教師修業を始めて3年目。椿原先生と同じ学校にいられるのもあと2年となった日。開眼する。学級が荒れた。それまで低学年ばかり持っていた私に初めて中学年担任言いわたされる。半分は1年生の時に持った子どもたち。「大丈夫!」の思いを胸に取り組む。しかし,緊張感のない雰囲気がただよう。ここで,椿原先生が授業に入られて,できない子どもが一変するのを目のあたりにする。今まで「この子はできないのだ。」とあきらめていた子どもがガラリと変わる。それもたった3時間で変わってしまうのだ。このとき,自分が悪かったことを深く自覚する。これからの2年間。何が何でも椿原先生の近くにいて,学ぶ決心をする。それから2年,「何でこんな作業や雑用のようなことしなくちゃいけないの?」と思うことも多々,多々,多々。(笑)
しかし,最近になってやっとわかる。つらいことをするからこそつらい立場にいる子どもたちの気持ちがほんの少しだけわかる。2年間ずっと近くにいて小さな発見の連続の中から学んだ教師修業日記。
私と同じように「こんなはずではなかった。」と思っている先生方が,ちょっぴり元気になって,明日子どもに優しくしようかなっと思ってくれることを願って。
平成15年3月 /奥田 純子
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- 明治図書
- 20代、30代の教師の必読書だ。目が子どもと師匠にだけ向いている。ほかのことには目もくれない。教育に対する真摯な姿勢が本来の教師のあるべき姿だと痛感させられる。この本を読んでいると「こうやって授業は見るのだ。こうやって子どもたちを見るのだ」ということが具体的にわかる。まさに20代、30代教師の必読書である。2003/7/18岩崎秀幸