- ■自ら学びを高める子を育てる教えて考えさせる授業■
- はじめに
- 1章 「教えて考えさせる授業」で授業改善 本町小スタイルはこれだ!
- §1 「教えて考えさせる授業」とは?
- 1 2つの「分からない授業」
- 2 「教えて考えさせる授業」とは
- 3 「教えて考えさせる授業」への誤解
- §2 本町小学校の「教えて考えさせる授業」
- 1 学ぶ楽しさを味わい,学びを高める子を育成するために 【子どもたちの実態を踏まえて】
- 2 自ら学びを高める子を育てる授業 【それは,教えて考えさせる授業】
- 3 「教えて考えさせる授業」で丁寧な授業づくりを 【単元構想が大事】
- 4 単元計画例
- 5 実際の授業では 【教えて考えさせる授業は,子どもが主体的に学ぶ授業】
- 2章 「教えて考えさせる授業」の実践事例 本町小の授業づくり
- §1 「教えて考えさせる授業」の実践事例
- 1 教えて考えさせる国語科の授業
- ・「くまさんになって,音読を楽しもう」(第1学年)
- ・教えて考えさせる国語科の授業を実践して
- 2 教えて考えさせる社会科の授業
- ・「にぎわう奈良の都」(第6学年)
- ・教えて考えさせる社会科の授業を実践して
- 3 教えて考えさせる算数科の授業
- ・「分数の大きさとたし算,ひき算」(第6学年)
- ・教えて考えさせる算数科の授業を実践して
- 4 教えて考えさせる理科の授業
- ・「ヤゴ救出大作戦」(第3学年)
- ・教えて考えさせる理科の授業を実践して
- 5 教えて考えさせる生活科の授業
- ・「まちにとびだそう@」(第2学年)
- ・教えて考えさせる生活科の授業を実践して
- 6 教えて考えさせる音楽科の授業
- ・「ひびき合いを生かして豊かに表現しよう」(第5学年)
- ・教えて考えさせる音楽科の授業を実践して
- 7 教えて考えさせる図画工作科の授業
- ・「すきなものをすきな色で」(第3学年)
- ・教えて考えさせる図工科の授業を実践して
- 8 教えて考えさせる家庭科の授業
- ・「生活を楽しくする物や役立つ物を作ろう」(第6学年)
- ・教えて考えさせる家庭科の授業を実践して
- 9 教えて考えさせる体育科の授業
- ・「本町楽笑サッカー」(第6学年)
- ・教えて考えさせる体育科の授業を実践して
- 10 教えて考えさせる総合的な学習の時間の授業
- ・「本町 チャレンジ ザ G30」(第4学年)
- ・教えて考えさせる総合的な学習の時間の授業を実践して
- 11 教えて考えさせる生活単元の授業
- ・「わくわく どきどき 学習発表会」(個別支援学級)
- ・教えて考えさせる生活単元の授業を実践して
- 3章 「教えて考えさせる授業」を支えるもの
- §1 本校の実態
- §2 学習マナーを定着させる指導 〜「聞き方上手」「話し方上手」全校展開〜
- 1 「聞き方上手」「話し方上手」 【教師が変わり,子どもが変わった!】
- 2 ノーチャイムで動く子どもたち 【身に付いた『5分前行動』】
- 3 学ぶ姿勢づくり 【まず,しっかり教える】〜「小一プロブレム」を乗り越える入門期の指導〜
- §3 学習スキルを高める指導 〜「コミュニケーション力」を育てる〜
- 1 「書くこと」のスキル
- 2 「聞くこと」のスキル
- 3 「話し合うこと」のスキル
- §4 指導体制
- 1 「学校の力」はチーム一体の指導から〜オープンスペースはオープンマインド〜
- (1) 学年協力指導体制 【学級の壁を越えて】
- (2) フロア協力指導体制で学びを広げる 【学年の壁も越えて】
- (3) 多様な指導方法の工夫改善 【自由自在に動く教室と教師】
- 2 他との『協働』で育てる
- (1) 保護者とともに
- (2) 地域の関連機関とともに
- (3) 行政機関や大学,企業等とともに
- おわりに
はじめに
横浜市立本町小学校長 /大平 力
昨年,PISA等の各種の国際的な学力調査の結果が公表され,日本の子どもたちの学力低下への懸念が一段と声高に語られるようになりました。
このような背景を受け,文部科学省は学習指導要領の改訂の前倒しを検討し,年度内にも公示されるとの報道もされております。
しかし,長い間学校教育に携わってきた者として,「またか」との思いを抱いたのは私一人でしょうか。ここ数年来続く「見える学力」と「見えない学力」とに関わる論争を例に挙げるまでもなく,指導法をも含めた教育論は,ともすると時計の振り子のように極端から極端に揺れ動くことが多く,そのたびに学校教育が振り回されてきたように感じられてなりません。このような教育界の姿を,一般の人たちはどのように見つめてきたのかを考えたとき,一教師として恥ずかしい思いをもつのと同時に,その中で教育を受けてきた子どもたちに申し訳ない思いも抱いております。
このような教育界の大きな揺れ動きの中で,東京大学大学院教授の市川伸一先生の「教えて考えさせる授業」という指導論に出合いました。この考えは,決して斬新な考えではなく,日々子どもたちに向き合い,「学ぶ楽しさをどの子にも味わわせてあげたい」という願いをもって粘り強く指導に取り組んできた教師であれば,その多くが既に試み,実践してきたことではないかと思われます。というのも,限られた授業時数の中で,どの子にも学ぶ楽しさと確かな知識や技能,思考力を得させるためには,単元の導入部から自力発見や協同解決を求める学習指導法では,十分な力を付けることができずに次の学習に取り組まざるを得ない子が生じてしまい,そのことに頭を悩まし,心を痛めてきた教師がたくさんいたからです。
また,様々な面で格差社会の広がりが指摘されている今日ですが,子どもたちを取り巻く教育の世界も例外ではありません。本校でも,帰宅してほっとする間もなくランドセルを塾のバッグに持ち替え,夜遅くまで学習している子がいる一方,学習に関する会話が全くと言ってよいほど交わされない家庭で毎日を過ごしている子どもたちもたくさんいます。このような状況の下で,身に付けている知識や技能など,学びの量に明らかな差がある子どもたちに,基本的な知識を共有しないようなスタイルで授業が展開した場合,協同思考や協同学習の場面を設定することすらが困難であり,集団で学ぶ意義や価値が何ら見出せないような授業となってしまいます。
本校が考えている「教えて考えさせる授業」の「教える」とは,数時代前に行われていた「教え込み」ではありません。あくまでも「子どもたちが自らの力で考える」ことを重視する考えに立ち,『子どもたちが考えを広げたり,深めたりするために必要な知識や技能を教える』という指導法です。言い換えれば,考えるための元となるものをあらかじめ整えてあげる指導とも言えます。
一握りのたいへん優れた力をもつ子ども以外,「無から有を生み出す」ことはなかなか困難なことです。また,日々の授業では,十分に考える時間すら保障されていない現状です。
このような状況を何とか打破しようとして始めた本校の取組は,まだ最初の一歩を踏み出したばかりであり,冊子にまとめることには正直申して時期尚早の思いを抱いております。しかし,現在の子どもたちが置かれている状況やこれからの日本の教育を考えたとき,まさに「教えて考えさせる授業」への取組は必要不可欠のものであり,今後ますますその必要性が増す指導法であると確信しております。そこで,本書が子どもたちの学力保障のために真摯に取り組んでおられる多くの方々とのネットワーク作りに少しでも役立ち,研究・実践の輪が広がっていくための一助になれば幸いに存じます。
最後になりましたが,本校の研究に献身的なご指導をいただきました市川伸一先生と,横浜国立大学教授の額田順二先生に心より感謝申し上げます。
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明治図書
















