- はじめに
- 第1章 アクティブ・ラーニングを位置づけた小学校英語の授業づくり
- 1 アクティブ・ラーニングとは何か
- 2 小学校外国語活動・外国語におけるアクティブ・ラーニングの位置づけ
- 3 アクティブ・ラーニングを位置づけた外国語活動・外国語の授業
- 4 本書におけるアクティブ・ラーニングの捉え
- 第2章 アクティブ・ラーニングを位置づけた小学校英語の授業プラン
- How are you? ごきげんいかが―今の気分を伝えよう―
- (3年/話すこと・やり取り/語彙の学習)
- What do you like? 何がすき?―すきなものを尋ねよう―
- (3年/話すこと・やり取り/表現の学習)
- ALPHABET アルファベットとなかよし
- (3年/話すこと・やり取り/テキスト・本文の学習)
- Let's play cards. 好きな遊びを伝えよう
- (4年/聞くこと/語彙の学習)
- What time is it? 今,何時?―あなたのお気に入りの時刻は?―
- (4年/話すこと・やり取り/表現の学習)
- What do you want? ほしいものは何かな?―ペアの友だちのために作ったオリジナルメニューを紹介しよう―
- (4年/話すこと・発表/語彙の学習/表現の学習)
- This is my favorite place. お気に入りの場所をしょうかいしよう
- (4年/複数技能統合/語彙の学習/表現の学習)
- How do you spell it? 自己紹介をしよう―私の名前は,こう書きます―
- (5年/話すこと・やり取り/語彙の学習)
- When is your birthday? 誕生日を尋ねてみよう
- (5年/話すこと・やり取り/表現の学習)
- What do you have on Monday? 時間割は何だろう?
- (5年/話すこと・やり取り/テキスト・本文の学習)
- What time do you get up? 1日の生活を紹介しよう
- (5年/聞くこと/表現の学習)
- He can run fast. She can sing well. 友だちの得意なことを知ろう
- (5年/読むこと/表現の学習/テキスト・本文の学習)
- I want to go to Italy. どこの国に行きたい? この国に行ってみたいでしょ!
- (5年/話すこと・やり取り/テキスト・本文の学習)
- Where is the treasure? オリジナル・タウンを作り,グループで道案内しよう
- (5年/話すこと・発表/語彙の学習/表現の学習)
- What would you like? ランチメニューを作ろう
- (5年/書くこと/語彙の学習)
- Who is your hero? あなたのあこがれの人は誰ですか?
- (5年/複数技能統合/語彙の学習/表現の学習)
- This is me! 自己紹介ポスターを見せながら,私のことを知らせよう
- (6年/話すこと・やり取り/語彙の学習)
- Welcome to Japan 日本の良さを紹介しよう
- (6年/話すこと・発表/表現の学習)
- He is famous. She is great. 世界で活躍する日本人
- (6年/話すこと・発表/テキスト・本文の学習)
- I like my town. こんな町にしたいな
- (6年/聞くこと/表現の学習)
- My summer vacation 夏休みの思い出を紹介しよう
- (6年/読むこと/語彙の学習)
- What sport do you want to watch? どのスポーツが観たいですか?
- (6年/複数技能統合/表現の学習)
- My best memory 小学校6年間の思い出 思い出に残る行事を発表しよう
- (6年/話すこと・発表/語彙の学習/表現の学習)
- What do you want to be? 「夢宣言」をしよう
- (6年/書くこと/語彙の学習)
- Junior High School Life 中学校生活でしたいこと
- (6年/複数技能統合/語彙の学習/表現の学習)
- 第3章 アクティブ・ラーニングを位置づけた小学校英語授業の評価
- 1 新しい評価の在り方
はじめに
平成28年12月21日に,中央教育審議会から「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(答申)が出された。その中にあって,特に目を引くのは,従来の指導の在り方を根本的に覆す「アクティブ・ラーニング」の考え方である。今まで,指導の在り方といえば先生方個々の考え方に立って,授業が行われきており,国としても特段指導の在り方にまで口を出すことはなかった。しかし,今回,国として,指導の在り方にまで踏み込んできた形となっている。
しかし,元来,小学校の外国語活動においては,一部を除いて,知識を植え付ける授業ではなく,活動の必然性や活用の場面,思考する場面などを重視した,いわゆるアクティブ・ラーニング的な授業が当初より行われてきたので,内容的には何を今さらの感はあり,驚くべきものでもない。
とりわけ,今回の中央教育審議会の答申では,「アクティブ・ラーニング」の言葉は,「主体的・対話的で深い学び」の表現に変わり,さまざまな視点から指導の在り方について述べられている。中でも,これからの授業の目的が,以下の文章に示されており,これは,すべての教科や領域の指導の考え方にも共通する。
○これが「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善であるが,形式的に対話型を取り入れた授業や特定の指導の型を目指した技術の改善にとどまるものではなく,子供たちそれぞれの興味や関心を基に,一人一人の個性に応じた多様で質の高い学びを引き出すことを意図するものであり,さらに,それを通してどのような資質・能力を育むかという観点から,学習の在り方そのものの問い直しを目指すものである。
また,外国語教育においては,特に以下の文章が目に付く。
○外国語の学習において,語彙や文法等の個別の知識がどれだけ身に付いたかに主眼が置かれるのではなく,児童生徒の学びの過程全体を通じて,知識・技能が,実際のコミュニケーションにおいて活用され,思考・判断・表現することを繰り返すことを通じて獲得され,学習内容の理解が深まるなど,資質・能力が相互に関係し合いながら育成されることが必要である。
つまり,今まで指導されてきた英語教育では,子供たちに真のコミュニケーション能力を育成することができなかった面もあるという反省に立っていることが分かる。確かにそうである。知識偏重型の授業だけが高校入試や大学入試の問題に対応でき,塾や予備校では,文法,語彙,訳読といった問題に対応した訓練鍛錬ばかりが強調され,入試に合格するためだけの英語教育が行われてきたのである。その結果,「聞き取れない」「話せない」など,生涯に渡って利用価値の高いコミュニケーション能力など身に付かずに社会に出て,日本人の多くが英語で苦しんでいるという現実がある。その責任は社会や国にある。それを変えようということである。至極当然のことである。
そこで,折しもアクティブ・ラーニングの考え方が小学校の指導法にも取り入れられることになったわけである。授業の主役を教師から子供に,そして,知識偏重型の授業から,子供が自ら考え,自ら積極的に自分の考えや意見を伝えられるような,子供中心の授業へと大きな舵をきったのである。ただし,教師は,その指導の在り方を鵜呑みにして表面的な授業を行うのか,それとも,それらの考え方や事例を受け止めながら,目の前の子供たちに合わせて,新しい自分自身の授業を創り上げていくのか。これは,よく言われる「教科書を教えるのか,教科書で教えるのか」に似ている。もし,「教科書を教える」側に立って,右のものを左に移し替えるような単純な授業を施すのであれば,子供には永遠に生きる力など身に付けさせることなどできない。
一方,「教科書で教える」側に立って,教科書をアレンジして,目の前にいる子供たちの状況を考えながら,自分自身の授業を創り上げることができるのであれば,新学習指導要領が求める「思考力・判断力・表現力等」を確実に子供に身に付けさせることができるであろう。これが,教師に課せられた近々の課題である。
そこで,今回,このためにも本書を急遽出版することとなった。真に子供のためになり,先生方の指導力も向上させられるためには,どのような考え方に立って,どのような授業を実践するべきかを,素晴らしい実践を行っている全国の先生方の協力を得て,自信を持って世に出したものである。
本書では,アクティブ・ラーニングの具体的な解説から始め,中央教育審議会の答申にある理念を実現するために,どのように授業改善を行えばよいのかを分かりやすく明示している。是非,ご活用いただき,明日の子供たちの一人一人のために,ご努力いただきたいと願っている。
最後に,本書の作成にあたって,授業実践を披露していただいた全国の先生方,明治図書出版の木山麻衣子氏,吉田茜氏には心から感謝とお礼を申し上げたい。
2017年6月 /菅 正隆
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- 明治図書