教育技術研究7二十一世紀が求める「学力像」

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21世紀が求める学力像について7名の研究者が問題の本質を衝く。ボランテェア、環境問題、新しい学力としてのコミュニケーション能力の解明。


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-210613-X
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 144頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
�T 提言・二十一世紀が求める「学力像」
一 操作の遂行力を育成する /齋藤 勉
二 予想困難である――敢えて五つの傾向を指摘する―― /望月 善次
三 秦新しい学び紳による「学び続けられる力」 /片上 宗二
四 「何を知っているか」型学力から、「何ができるか」型学力への転換 /森 一夫
五 「人に役立つ英語」の視点 /柳井 智彦
六 二十一世紀のビジョン――「多元的目標・価値のビッグバン」―― /吉永 潤
七 「読み・書き・そろばん」 経験 /宇佐 美寛
�U 研究的模擬授業者からの問題提起
一 ボランティア問題を授業でどう取り上げるか /師尾 喜代子
二 環境問題を授業でどう取り上げるか /有田 和正
三 ボランティア教育をどうすすめるか司会者として /明石 要一
四 秦環境問題紳をどう取り上げるか司会者として /樋口 雅子
�V 新しい学力としてのコミュニケーション能力
――私の主張――
一 二十一世紀の国語科の課題――「生きる力」としての言語能力の育成―― /小森 茂
二 思考の構造化と葛藤のある対話 /村松 賢一
三 コミュニケーション能力の定義と教材 /市毛 勝雄
四 母国語体力の回復と強化をこそ――「トーク」から「ヒヤリング」志向へ―― /野口 芳宏
五 コミュニケーション能力をどう取り上げるか司会者として /江部 満
�W 課題研究A・特色ある教育課程の編成
一 卒業遠足をスキー教室に /舘野 健三
二 体験学習を中心に教育課程を編成する /槇田 健
三 総合的な学習単元づくりが、教育課程の編成を促す /大森 修
�X 課題研究B・総合的学習の具体化
一 身近のモノ、身近な所からボランティアを考える /甲本 卓司
二 生きる力を育むライフスキル学習 /熊谷 壽
三 小学校英語の展開 /大賀 由里子
�Y 課題研究C・「生きる力」と「心の教育」の実践課題
一 何を斬り、何を生かすか 実践の土台としての学校づくり /酒井 臣吾
二 「生きる力」と「心の教育」――「心の教育」は「道徳教育」と同じなのだろうか―― /水野 茂一
三 「生きる力」と「心の教育」を阻害しているもの /竹川 訓由

まえがき

 日本教育技術学会は、「教育技術の発掘・創造を期し、会員相互の研究上の連絡・協力を促進すること」を目的として、一九八七年に発足しました。学会創立への呼びかけは、初代会長になられた千葉大学の宇佐美寛先生が書かれています。その中に、次のような味読すべき一節があります。

 教育内容・教育方法の研究は、教育現場の実践を批判・修正し、新たな実践を創り出すのに寄与するものであるべきである。つまり、現実の実践に対して責任を負うべきものである。また、研究は実践を導くとともに、実践によってためされ、批判・修正されるべきでものである。

 研究と実践とがこのように相互に鍛えあうきびしい関係が必要である。いいかえれば、研究と実践の間に精神の活発な往復運動が持続しているべきである。

 研究・実践のこのような相互関係が欠けたところでは、研究も実践も堕落する。研究は内容空疎な虚飾にすぎなくなり、実践は方向の意識なき泥酔の状態になる。

 ここには、研究と実践とが本来対等不可分の緊密な関係にあるのだという明確な宣言がなされています。従来の研究は「実践との緊密関係の自覚が甚だ微弱であった。その研究が、どこで、どのように実践と関わるのかが全く不明な研究が圧倒的に多かった」とも、宇佐美先生は言われています。そして、これからの教育研究と教育実践とのあるべき相互関係を次のように明確に整理し、方向づけられました。

 実践に対して責任を持たなければ、教育内容・教育方法の研究は出来ない。実践と研究との相互批判・相互修正というあり方こそが《技術》である。実践の形にまで具体化された理論、理論に支えられた実践、それが《技術》である。

 このことを自覚すれば、「日本教育技術学会」という存在が意識されるのは、全く自然なことである。

 この学会創立の原点を私達は常に確認しながら、我が国の教育の進展のために努力をすべきであると思います。本学会も発足して早十二年めを迎えました。とかく、我が国では軽視されがちであった教育における「技術」という概念に本学会は重要な意義と価値を認め、教育技術の体得と向上を目指して歩んで参りましたが、年を追うごとにその成果が教育現場に迎え入れられ、年々学会の会員も増加していることは、まことに喜ばしいことであります。「教育技術」に深い関心を持たれる皆様とともに、本学会がますますの進展を遂げていくようにと期待してやみません。


 さて、第十二回の大会は、そのテーマを「二十一世紀が求める学力像」と定めました。二十世紀末のここ十数年の社会、世界の変化は実に大きく、めまぐるしく、まさにこれは未曾有の急変でありました。高齢化、少子化、情報化、国際化、科学技術の高度化、自由化等々の波のうねりは、今後もますますその勢いを強めていくと考えられます。中教審ではこれらをふまえて「先行き不透明な厳しい時代を迎えることになる」との見解を示し、「こうした社会の変化に柔軟に対応できる、個性的な人材や創造的な人材を育成することは、我が国が活力のある社会として発展していく上で不可欠である」(「第二次答申・中間まとめ」第一章敢)と述べています。この時に当たり、これまでの「学力像」に、真正面から改めて検討を加えてみることが、私たちにとっては焦眉の急であると思います。重要な課題であるだけに、結論を急ぐことは危険を伴うでしょう。我々は、慎重にこの考察を進めなければなりません。しかし、それには早いスタートを切ることが肝要です。日本教育技術学会は、指導要領の改訂を目前に控えた今、総力を挙げてこの問題に取り組む決意です。第十二回の大会は、「二十一世紀が求める学力像」の解明に向けて、多彩な研究討議を展開していこうと考えています。

 第一は、研究的模擬授業を「環境問題」と「ボランティア」という極めて今日的なテーマに基づいて展開します。二十一世紀にふさわしい学力の具体的な形成のあり方をめぐっての研究と協議です。

 第二は、「国際化時代におけるコミュニケーション能力の育成」というテーマをめぐってのシンポジウムです。「コミニュケーション」というのは、人と人とが相互に望ましく意思を通じ合うことです。日本人は、とかく国際舞台に立つと表現力の貧しさのために大きな損失を蒙りがちであると言われてきました。これからますます国際化が急速に進んでいくことは必至です。そういう時にあって、一人一人のコミュニケーション能力をどのように啓培していくべきかという問題は非常に重要です。シンポジウムの成果に大きく期待したいところです。

 第三は、まさに今日的な教育課題をとりあげての課題研究の研究発表です。「特色ある教育課程」「総合的学習のあり方」「生きる力と心の教育」これらについて、充実した研究の発表と討論とがなされます。

 以上のテーマについて、限られた時間の中で議論を尽くすことには無理がありますので、「誌上発表」の場を設け、第一線で活躍されておいでの研究者と実践家に日頃の考えを存分に述べていただくことに致しました。本書を手にされ、一つ一つの論考に目を通された先生方は、「二十一世紀が求める学力像」について、必ずや新しい視野の地平が拓かれ、明日の教育への力強い勇気を持たれるに違いないと確信しています。どうぞ、本書を広く、深く、存分にお役立て下さい。本書にご縁を戴いた読者の方々に心から感謝申し上げます。有難うございました。


   日本教育技術学会会長 /野口 芳宏

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