- はじめに
- Chapter1 外国語活動・外国語指導でクラスをつくる
- 1 外国語活動・外国語指導で育てられる子どもの力
- 相手を意識し,伝え方を思考する力
- 積極性
- 表現力・工夫して伝える力
- 2 担任だからこそできる外国語指導@
- 意外と学力の格差がない教科!?
- 子ども達をよく知ったうえで仕掛けるからこそ伸びる
- 他の教科と関連させて点と点を線で結ぶ
- 3 担任だからこそできる外国語指導A
- 隙間時間に常時活動で鍛える
- @朝の会での日付と曜日の確認
- A週に数回,定期的に出す宿題
- B先生からのミッション
- 4 外国語授業でクラスをつくる!
- たかが「外国語授業」,されど「外国語授業」
- 言語活動を通して子ども達の良好な関係性を築く
- 一人ひとりが主体的に学習に取り組むようになる
- 外国語でコミュニケーションを取れれば,日本語ではさらにハードルが下がる
- Chapter2 よくわかる外国語活動・外国語指導の進め方
- T 年間の指導の見通し
- 1 各学年の要点を教師がつかむ
- 外国語活動と外国語で意識するポイントとは?
- @3・4年生(外国語活動)における指導のポイント
- A5・6年生(外国語)における指導のポイント
- 2 評価計画・評価規準のつくり方
- 学習評価は何のため?
- 重点評価計画の作成
- 評価規準の作成
- 単元計画の作成
- 3 各学年のつながりを意識した指導
- 各学年の学習内容はどのようにつながっている?
- 4 単元計画の立て方
- どのように単元計画を立てたらいい?
- @目的,場面,状況などに応じたコミュニケーションを図る単元目標の設定
- A領域ごとの3観点の評価規準の確認
- B単元のゴールから逆算した指導・評価計画
- 5 終末の言語活動の設定
- 言語活動とは?
- 終末の言語活動の設定で意識したいこと
- @子どもにとって魅力的な活動であること
- A互いの気持ちや考えを伝え合う活動であること
- 終末の言語活動に向けての小さな言語活動の積み重ね
- 6 言語材料の精査・階層化
- 言語材料にも重要度がある!?
- U 単元のつくり方・展開の仕方
- 1 常時活動を仕組み,基礎を固める
- 毎時間の繰り返しで伸ばし,苦手意識を払拭していく
- @見通しと安心感が意欲につながる
- A基礎が固まり,学習の質も高まっていく
- 2 子ども達に単元計画を示す・子ども達と一緒に考える
- 見通しをもたせることで主体性を引き出していく
- @子ども達に単元計画を示す
- A子ども達と一緒に学習計画を立てる
- 3 単元のつくり方・展開の仕方・終末の言語活動を明確に示す
- 終末の言語活動を明確に示すことで見通しをもたせる
- @教師がALTとデモンストレーションを示す
- A動画で示す
- 4 評価について
- 単元の中でどのように評価したらいい?
- 形成的評価のタイミングと方法
- V 1時間の授業のつくり方
- 1 1時間の構成を細かく区切り,なるべく固定する
- 集中力を持続させ,安心感をもたせる
- 2 グリーティング
- 授業の初めの挨拶は誰がやる?
- 3 常時活動
- 常時活動にはどのような効果がある?
- @チャレンジタイム
- A1minute challenge
- Bアルファベットタイム
- Cフォニックス
- 4 ChantsやSongをフル活用する
- 英語を楽しく習得する
- @個別に評価する機会を取る
- A班別でテストする
- 5 子どもがやる気になる「Let’s Listen」のやり方
- 小学校外国語授業において「聞くこと」は肝!ただし…
- @1回だけ聞いて選択肢を選ばせる
- A2回目からは聞き取れた言葉をメモさせる
- 6 中間指導(中間交流)のポイント
- 中間指導は子ども達の言語活動の質を高める最重要指導
- @望ましい思考・判断・表現をしている子を見つける
- A改善点は最低限にする
- 7 小学校段階の文字指導
- 8 学習の振り返り
- 毎時間の振り返りはどうする?
- めあて(Today’s goal)は教師が決める?
- 「○○ができた」だけでは振り返る意味はない!?
- 単元末の振り返りの蓄積がとても重要なわけ
- 9 一年間のワークシート(作品)のまとめ方
- 子ども達がつくった作品はどうする?
- Chapter3 すぐに役立つ!外国語活動・外国語の指導技術
- 1 外国語活動・外国語の授業開き
- 授業開きの流れ
- @Helloゲームで声を出すこと,メリハリ,授業での約束や教師から子どもへの合図を確認する
- Aなぜ“英語”を学習するのか考える
- B英語を使ってやってみたいことを考える
- C英語の授業で大切にしたい教師の思いを語る
- 2 教室掲示
- どんな教室掲示をしたらいい?
- @子どもが参加できる掲示
- Aよく使うフレーズ,学級に増やしたい言葉の掲示
- B年間を通して身につけてほしい力の掲示
- 3 よく使うクラスルーム・イングリッシュ
- 授業の中でどこまで英語を使ったらいい?
- @授業でよく使う!指示を出すフレーズ
- A子どもに使わせたい!コミュニケーションのフレーズ
- B褒め言葉
- 4 効果的な学習者用端末の活用
- どんな場面で学習者用端末が活用できる?
- @たくさん聞かせる
- A学習を積み重ねる
- B自分に合った課題を選択する(チャレンジタイム)
- Cヒントや学習の手助けを得る
- D宿題や家庭学習で活用する
- 5 アルファベットの字形に慣れ親しむ活動
- 6 読み聞かせのすすめ
- 英語の本の読み聞かせ,していますか?
- @導入で使ってみよう
- A単語や文章に慣れ親しむ活動で使ってみよう
- B単元末の定着の確認で使ってみよう
- C授業で使えるおすすめの絵本
- 7 ALTとの打ち合わせの仕方・連携方法
- 年度当初の顔合わせ
- 単元初めの打ち合わせ
- 8 宿題の出し方
- 英語の宿題は必要?
- 宿題のポイントは“復習”と“繰り返し”
- 9 苦手意識が強い子への個別指導
- 英語への苦手意識が強い子は授業の最初に活躍させる
- 子どもの“苦手”を具体的に教師が理解して言葉にする
- 10 効果的な評価の仕方
- 授業の中でどのように評価したらいい?
- @短時間で全員チェック
- A苦手な子をチェック
- Bターゲットを絞ってチェック
- 11 翻訳サイトの使い方・向き合い方
- 不安感や苦手意識が和らぐのであれば,積極的に使わせる
- Chapter4 楽しく学ぶ!外国語活動・外国語のアクティビティ
- 1 wordピンポン
- 2 ABCレース
- 3 勝ち上がりキーワードゲーム
- 4 これいくつ?
- 5 3ヒントクイズ
- 6 Who am Iクイズ
- 7 20を言ったら負け!
- 8 足しテン
- 9 チャレンジタイム
- 10 1minute challenge
- 11 フリートークタイム
- 12 アレンジアルファベットソング
- 13 ビンゴ
- 14 書く[単語]
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
外国語活動・外国語の授業で学級をつくる
2020年4月,小学校において外国語活動・外国語の授業(以下,「外国語授業」と表記)が必修化しました。さて,先生方は外国語授業を楽しむことができていますか。クラスの子ども達は外国語授業を楽しんでいますか。
「外国語授業,正直苦手です……」とか「そもそも自分自身が英語苦手なんだよなぁ」とか「日々の授業をするので精一杯で,子どもが楽しんでいるかなんて気にしていられない……」などという方が少なくないのではないでしょうか。
私の専門教科は国語科です。ですから,外国語は第二専門教科とでも言いましょうか。それでも,私は外国語授業に対してそれなりの熱量をもって取り組んできました。また,実は中高教員免許(英語)を取得しています。そして,教員になって10年目あたりで,勤務校が市の研究推進校(外国語)に指定され,しかも研究主任を務めさせていただいたことで,本格的に小学校外国語指導を研究してきました。
そうした背景,経験を踏まえて私が言えることは,
外国語授業は面白い!
ということです。
外国語授業では,教師の指導を変えると,子ども達の授業に取り組む姿がみるみるうちに変わっていくのがわかります。外国語は難しいというイメージをもっていた子も,授業で友達と積極的にコミュニケーションを取るようになりました。子ども達が,外国語授業でコミュニケーションを取れるようになると,日本語での他教科の授業でも円滑にコミュニケーションを取れるようになっていきます。ひいては,それが学級の雰囲気にもつながっていきます。ということは,外国語授業の改善を皮切りに,学級をつくることも可能なのです。
本書は,外国語授業を改善し,子ども達の姿を変え,ひいては学級づくりにまでよい影響を与えるような指導をしていける方法を提案する本です。外国語授業に興味がある,という方だけでなく,授業を通した学級づくりを常に考えている方にも参考になると思います。
また,本書はこれまで外国語授業を専門としてこなかったけれど,改善していきたいと考える先生方の強い味方になると思います。本書には,専門的な深い理論や高度な指導技術は出てきません。ですが,それは逆に本書の強みになると思います。多くの小学校の先生方は,外国語授業を専門としていないはずです。であるからこそ,同じく外国語授業を専門としてこなかった私の授業提案は,「これならできそう」とか「取り入れてみようかな」と身近に感じられると思います。
本書を通して,先生方が外国語授業を子ども達と一緒に楽しんでいただけるようになれば,こんなに嬉しいことはありません。
/土居 正博
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- 明治図書