- まえがき
- T これが附属新潟式「学級力」
- 全校体制で高める学級力
- 1 「学級力」とは
- 2 なぜ,今「学級力」なのか
- 3 「学級力」で「学級経営」が変わる
- 4 「学級力」を見る窓=「学級力」
- 5 自分の学級の「学級力」をどう評価するか
- 6 「スマイルミーティング」で気軽な情報交換
- 7 「学級力」をどう高めるか
- 8 全校体制で取り組むことの価値
- クラスカルチャータイムの2週間サイクルシステム
- 1 取り組みや成果を自覚できる2週間サイクルシステム
- 2 教師のとらえと子どものとらえとのズレも早期発見
- 3 CCT2週間サイクルの実際
- チームで学級を変える場,スマイルミーティング
- 1 学級経営は担任一人が行うもの?
- 2 学級経営をチームで行うための共通の指標,レーダーチャート
- 3 レーダーチャートを基にした話し合いの場,スマイルミーティング
- 4 スマイルミーティングは,先生が笑顔になる時間
- 5 これがスマイルミーティングの実際だ
- 6 スマイルミーティングでの話し合いが学級経営にどう生かされるか
- 【コラム】附属新潟式学級力のできるまで1
- U 「学級力」でこう変わる
- 学級力で学校が変わる
- 1 学級経営から見た学校の現状
- 2 附属新潟小学校が着目したこと〜統一された多面的な観点で見る学級力〜
- 3 「学級力」導入によって変わる学校
- 4 「学級力」で変わる職員
- 5 「統一した観点を用いて『学級力』を評価するシステム」を導入する際の管理職の構え
- 学級力で学級が変わる
- 1 学級の「まとまり」って何だろう
- 2 教師の切なる願い 「子どもと,いい授業をしたい!」
- 3 「授業づくり」と「学級づくり」は「自動車の両輪」だ
- 4 まずは「学級づくり」という車輪(タイヤ)のメンテナンスを
- 5 「学級力」で「学級王国」を超える
- 学級力で授業が変わる
- 1 子どもが動く授業
- 2 よい授業づくりには何が必要か
- 3 よい授業づくりに必要不可欠な学級力
- 4 学級力をどこで,どう高めるか
- 5 実際の授業の様子〜「コラボ討論」の場面〜
- 6 まとめ
- 【コラム】附属新潟式学級力のできるまで2
- V 「学級力」はこうして育む
- [評価のさせ方・生かし方 低学年] 「棒グラフ」と「キーワード」とで評価ができる・分かる・生かせる!
- 1 低学年の学級力評価は,どうすればよいのか?
- 2 学級力の評価結果を,どのように知らせたらよいのか?
- 3 評価結果から子どもが考えたこと
- 4 評価結果から考えたことを実践させ,さらに評価させる
- [評価のさせ方・生かし方 中学年] 年度はじめはこう評価させる
- 1 年度はじめの学級力評価の落とし穴
- 2 中学年の年度はじめの学級力評価のポイント
- 3 学級力評価の前に学級みんなでの取り組み
- 4 年度はじめの第1回学級力評価
- 5 レーダーチャートから判断した学級の長所と短所
- [評価のさせ方・生かし方 高学年] 子どもが主役! 学級改善プロジェクト
- 1 本当に子どもは自分の学級を見直しているのか!
- 2 高学年の学級力評価を見直す際のポイント
- 3 改善プロジェクト〜学級改善の企画を提案しよう〜
- 【コラム】附属新潟式学級力のできるまで3
- W 学級力を育む活動 CCTの活動で子どもが変わる
- ■低学年の事例
- 「他者意見の尊重」を高めるための「チラシの写真や絵を使って,グループごとにお話をつくろう」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「新規提案力」を高めるための「熱血! 低3遊び場!」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「学級ルールを遂行する力」を高めるための「朝のグループ・ミッション会議」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「目標設定力」を高めるための「きらっとワード」づくり&「きらっとワードトーク」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「明るい雰囲気」を高めるための「手と手をつないで」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「認め合う心」を高めるための「読み聞かせ+よいところミッケ!」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- ■中学年の事例
- 「支え合う関係」を高めるための「『長縄V作戦!』プロジェクト」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「役割遂行力」を高めるための「3迎会を成功させようプロジェクト」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「社会規範の遵守」を高めるための「4−2版『校外学習のススメ』」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「目標設定力」を高めるための「カブトむしむし会議〜挑戦! 命のリレー〜」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「改革志向力」を高めるための「めざせレパートリー100♪」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- ■高学年の事例
- 「役割遂行力」を高めるための「最高の運動会をつくるのは私たち!」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「認め合う心」を高めるための「クイズ『我が家のとっておき』」…134
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「明るい雰囲気」を高めるための“Nice Idea!”「英語で伝達ゲーム」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- 「つながり発言力」を高めるための「友達にCHANGE!」
- 1 本活動と付けたい力との関係
- 2 活動の内容と流れ
- 3 CCTの実際の活動
- 4 準備するもの・留意点
- X 「学級力」ツールボックス
- 児童配布用アンケート用紙
- 児童評価シート
- 学級力算出ソフト「一級算」
- CCT活動例一覧
- あとがき
- 附属新潟小学校研究同人
まえがき
答申「新しい時代の義務教育を創造する」(中央教育審議会,平成17年10月26日)を一読してみますと,まず「力」という言葉の使用が増えていることを知りました。
従来から使用されている「学力」と「体力」の外に,次のような記述もあります。
学校の教育力,すなわち「学校力」を強化し,「教師力」を強化し,それを通じて,子どもたちの「人間力」を豊かに育てることが改革の目標である。
「人間力」の説明としては,「豊かな人間性や社会性,常識と教養,礼儀作法をはじめ対人関係能力,コミュニケーション能力などの人格的資質」が挙げられています。
これまで使用されてきました教育理念である「生きる力」を具体化して,実際の社会や世間との関係づくり能力を豊かに育てていこうということでしょう。
それにしても,人間「力」,学校「力」,教師「力」は,学力や体力のように測定することが可能なのでしょうか。
これらの「力」は,
@ ……になる力量
A ……になる傾向性
B ……になる遂行力
のどれを意味しているのでしょうか。それとも全部ということでしょうか。
「教師力」については,「教師の力量」という言い換え表現も見出せますが,答申全体から言えば,傾向性と遂行力も含んでいると言わなければなりません。
当校では,「学級力」という用語をつくりました。この用語の意味することは,本書をご覧ください。問題提起になっていると,自負しています。
他方,明治20年代に,「等級」から「学級」へと大きな学校制度の変更がなされて以来,学校現場において学級経営がなされてきました。「学級王国」と言われる時期もありました。学級担任,学級副担任の力量やチームワークが問われる時期もありました。
学級編制の基準も,75人→55人→50人→45人→40人→32人→?と変遷してきています。個に応じた指導や個性を生かす教育が推進されてきたのです。
しかし,学校は,集団で動くことで社会性や道徳性を形成していくことも使命としています。個人だけでなく,国民の育成も使命としているのです。
小学校学習指導要領で「日ごろから学級経営の充実を図り」という文言が記述されるようになりましたのは,最近のことです。教師と児童の信頼関係,児童相互の好ましい人間関係が授業にも大きな影響を与えていることを多くの教師が認識するにまで至っています。
このようなことから,「学級力」を育てる必要性が生じてきます。
本書は,「学級力」を育てる理論編,実践編,資料編から構成されています。ぜひご一読くださって,ご批正をお願い致します。
最後になりましたが,本書の出版をお薦めくださりました明治図書出版の江部満様に対し,深く感謝申し上げます。
平成21年8月30日 新潟大学教育学部附属新潟小学校 校長 /齋藤 勉
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- 明治図書