- 巻頭言 教育システム改革から大きな飛躍へ
- 第T部 元気のある中学校づくりへの願い
- 1 それは「確かな日常」にあり
- 2 地熱の高い学校
- 3 歌おうとする心
- 4 寮生活を学校づくりの起点に
- 5 土曜講座にこめられた願い
- 第U部 元気を生み出す核としての「土曜講座」
- 第1章 学ぶ喜びを生み出した「土曜講座」
- 1 「土曜講座」への願い
- (1) 土曜日には授業を組まない
- (2) 「土曜講座」で取り組ませたい課題
- (3) 「土曜講座」がより生徒主体の活動へと発展した経緯
- 2 「土曜講座」のプロセスと育てたい力
- (1) 「土曜講座」を核とした総合的な学習のプロセス
- (2) 「土曜講座」を核とした総合的な学習で育てたい力
- 第2章 「土曜講座」と総合的な学習の実践
- 1 環境教育(1年の講座)
- (1) 「環境問題を考える」(平成11年度の実践)
- (2) 「環境を息長く考える」(平成12年度の実践)
- 2 生き方教育(2年の講座)
- (1) 職場体験学習を夢の手がかりに
- (2) 夢を広げる土曜講座
- 3 福祉教育(3年の講座)
- (1) 福祉教育で何をどう指導していくか
- (2) 「障害者問題を考える」(実践1)
- (3) 「老人問題を考える」(実践2)
- (4) 教師と生徒の連帯感の成果
- 第V部 元気の出る基盤づくり
- 元気の出る基盤づくりとしての授業と清掃活動
- 普段の授業が学校生活の命
- 清掃にまじめに取り組める生徒は何にでも真剣に努力できる
- 第1章 豊かな文化が集団の質を高める
- 1 「歌うこと」は訴えること
- (1) 合唱は心づくり・学級づくり
- (2) 合わせる心を育てる
- (3) 合唱を額田中学校の伝統に
- 2 生徒が主役の額中祭
- (1) テーマを生み出す苦しみ
- (2) テーマにこめた願いの具現化−平成11年度の額中祭−
- (3) 未来へ伝えたい額中祭
- 3 ふれあいを求めた修学旅行
- (1) 修学旅行につなぐ土曜講座
- (2) 合唱交流によるふれあい
- 4 ミュージカルが揺さぶる生徒の心
- (1) 学年全員で創り上げるミュージカル
- (2) どこまでも広がっていくミュージカル
- 5 感謝の心の表出 〜手作りの卒業式〜
- 第2章 地域と共に元気のある学校を創る
- 1 全国第3位のアルミ缶回収
- (1) アルミ缶回収の歩み
- (2) アルミ缶回収を生かす教育
- 2 給食の食べ残しの肥料化
- (1) 生ごみ処理でバイオ肥料づくり
- (2) 食品ロスから学ぶ生徒
- 3 食堂は文化の発信基地
- (1) 全校会食のメリット
- (2) 多彩な給食
- 4 全国大会出場
- (1) 野球部東海大会優勝へ導いたもの
- (2) 弓道部全国大会優勝への軌跡
- 5 仲間とのくらし 寄宿舎「敬信寮」
- (1) 寄宿舎「敬信寮」にかける思い
- (2) 寮生活で育つ心
- (3) 寮生活が生きる
- 第3章 豊かな心で元気な学校を築く
- 1 不登校克服へのこころみ
- (1) 環境の変化と重なるストレス
- (2) 感受性の高い不登校生徒
- (3) 小集団化と専用の空間づくり
- (4) できることからやらせる
- (5) 包み込む仲間
- (6) 意欲を支える教師
- 2 心づくりを支える情のある学校
- (1) 温か色の学校に
- (2) 揺れ動く生徒の心を受け止める保健室
- (3) 生徒の心に寄り添う生徒指導
- 第4章 国際人としての感性を育む
- 1 国際理解教育の土台づくり
- (1) 時代の要請に応えて
- (2) 海外派遣とALTの配置
- 2 スリKL校との交流10年のあゆみ
- (1) スリKL校との出会い
- (2) 深化する交流
- (3) 次の10年に向けて
- 3 スリKL校との交流の姿
- (1) ホームステイを軸にした日程の編成
- (2) スリKL校における交流風景
- (3) もう一つの家族 〜ホームステイでの交流〜
- 4 スリKL校生を額田に招く
- (1) 訪日の時期の調整
- (2) 歓迎会と学級別交流会
- (3) もう一つの家族
- (4) Many happy tears were shed
- 5 スリKL校交流をきっかけに広がるインターネット活用
- 6 スリKL校との交流に学ぶもの
- 第W部 元気のある中学校へ
- 問われる教育改革と額田中の教育――明日を「拓く力」を育てる額田中の研究・実践――
- 1 問われる「教育課程」の創造と実践
- 2 配慮・検討の観点・課題
- 3 額田中の「土曜講座」の先見性
- 4 さらなる発展への期待
- 教科指導も充実した額田中学校――授業力アップとCR能力――
- 1 額田中学校と私
- 2 額田中学校で指導したこと
- 国際人としての感性を育む――これからの額田中学校に期待するもの――
- 1 時の校長,蜂須賀政忠先生の英断
- 2 継続は力であり,そのために留意すること──直接交流に関わりあった職員の評価されるべき努力と熱意──
- 3 Interschool Exchangeのいっそうの充実を──英語で説明するわが額田中──
- おわりに
教育システム改革から大きな飛躍へ
愛知県・額田町教育委員会 教育長 /尊木 利貢
教育のあり方が問われ,地域に根づいた特色のある教育が求められている。この度,生き生きとした生徒の活動と力あふれる教育を展開している額田中学校が,その活動と学校経営を本としてまとめあげた。今ある基盤をきちんと見直し,次の課題をはっきりしたいという願いに基づいてのものだという。
地域における生徒たちは伸び伸びとしていて評判がよい。一町一中学校を卒業した先輩たちの「額田町成人式」の整然とした姿と合わせ,その「日常」と「明日」に,確かな生きる力が表れている。本には,多くの学びの姿があり,義務教育最終段階の一つの評価となるものと考えている。
生徒が明るく力強い活動のできる学校には,創造的な営み・主体的な活動の場があり,元気を生み出し伝えているエネルギーがある。無駄のない確かな学年経営の計画が,特に高学年のリーダー性を引き出している。
歌声が常に校内から響き,力を出し切る行事での集中力がすばらしい。忙しい中での体制づくりには多くの工夫があり,全校合唱やミュージカル公演等の「文化」創造,地域のお年寄りとの交流の工夫,不登校生を包み込む学年経営,2・3年の生徒会合同運営委員会による額中祭のイベント等ユニークな活動の中に,この学校にしかない多くの感動の場面がある。部活動での好成績も,チームワークのよさと集中の表れ以外の何ものでもない。
一方,額中の教師集団は研修には厳しく,全員が研究授業を組んで研究しあっている。全員執筆の研究紀要でも教科ごとに課題の共有化を図り足跡を大事にしようとしてきた。「総合的な学習の時間」の必修内容として,額田に生きる人間としての「生きる力」の養成をめざし,1年で環境教育,2年で生き方教育,3年に福祉教育を中心に位置づけている。全校では,準姉妹校のマレーシア・スリKL校との相互交流を含んだ12年間にもわたる国際理解教育を基盤にし,国際人としての感性の養成をめざしている。
地域を愛しふるさとに生きる教育の展開には,新時代に合った教育システムの改革が避けられない。額田中学校の実践が示す教育成果・生徒指導・地域連携のあり方は,まさに先見性の面で大胆である。8年間の積み上げに大きな価値があり,生徒の自信に裏づけられた活動には明るさがあり,地域の信頼がきわめて高い。
新しい学校のあり方として工夫してきたことは,学校行事・儀式・カリキュラムの運用・規則の改正等,学校の基盤全般に及ぶものである。その主なものは,次の点である。
(1) 体育祭の廃止,文化祭見直しと額中祭新設,手づくり卒業式づくり,地区懇談会の廃止,PTA総会時のミュージカル等文化発表,修学旅行でのプロのミュージカル等鑑賞会・職人とのふれあい等独自な体験活動,月曜朝会のあり方再検討,生徒指導プロジェクトチームの運営と指導日誌
(2) 「総合的な学習」試行の土曜講座推進,全校・学年合唱の推進,職場体験学習新設,お年寄りとのふれあい活動展開
(3) 学校広報紙の刷新,地域クリーン運動,バイキング・セレクト給食開始,給食の食べ残しの肥料化,地域と一体化したアルミ缶回収運動
(4) 教科研究室整備,事務室新設,「敬信寮」の規則運営の改善,門扉整備,部活指導での器具購入等々
全体の見直しを繰り返し学校の活性化を図ってきた。毎年の改革によって,ふくらんだ教育のぜい肉を落とし,これからの社会に通用する学校の姿に少しずつ変わってきたように思える。次年度からは,「土曜講座」を平日の時間割に組み込むなど,考えてみたい課題も残っている。
私ごとになるが平成6年度から6年間額田中学校長として経営に携わってきた。仲間集団へのユニークな企画力と幅を持った判断力が,何より大切であったように思う。学校独自の創造活動のあるところに,新しい未来があることを信じている。
-
明治図書
















