AIが前提の教室で変わること 変わらない大切なこと
教科教育の未来予想図

AIが前提の教室で変わること 変わらない大切なこと教科教育の未来予想図

新刊

総合16位

重版出来

好評2刷

生成AIが当たり前にある世界で、「学ぶに足る」授業とは?

AIが当たり前にある教室で、教師と子どもはどのように学びをつくるのか。文部科学省の生成AIガイドラインを踏まえた「教科教育に根ざした生成AI活用」の視点で、東京学芸大学附属小金井小の実践をもとに「AI時代の授業デザイン」を具体的に示す一冊です。


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ファイル形式

PDF
ISBN:
978-4-18-205621-5
ジャンル:
授業全般
刊行:
2刷
対象:
小・中・他
仕様:
四六判 208頁
状態:
在庫あり
出荷:
2026年3月9日

CONTENTS

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 ガイドラインから考える AIとともに生きる子どもに必要なこと
01 まずはガイドラインを読むことから
02 生成AI利活用の出発点
03 発達の段階等を踏まえたより慎重な見極め?
04 適切、不適切を超えて
05 養いたい態度
Column 01 生成AI全年齢解禁時代
第2章 AIを前提にしてもぶれない授業デザイン
01 その授業であなたが目指すのは?
02 AIで思考の練習問題を解く
03 そもそもなぜAIを使うのか?
04 AIが困りごとを解決する
05 AIが広げる児童の思考
06 議論を深めるAI活用
07 AIが迫る学力の問い直し
08 AIが揺さぶる「書くこと」の授業
09 実現不可能だった学びが可能に?@
10 実現不可能だった学びが可能に?A
Column 02 これはAIに奪われません
第3章 教科別 AIが当たり前にある時代の授業実践
4年・国語 一つの花 問いをつくって読みを深めよう
5年・国語 リライトにリトライ〜「もう一つの物語」〜 AIの推敲を生かして物語を書く
3年・国語 仕事のくふう、見つけたよ 自分が考えた文章と生成AIが考えた文章を比べる
5年・社会 自然条件と人々のくらし 汎用性の高い知識を育てるAI活用
6年・理科 燃焼の仕組み AIと考える燃焼による空気の変化
4年・理科 電流のはたらき 対話の新たな対象 AIで考えを広げる
6年・音楽 オーケストラのひびきを味わってきこう AIと自分の考えを比較して楽曲のよさを伝える
1年・体育×生活 ボール投げゲーム・夏野菜を育てよう 低学年の疑問をAIと解決する
6年・体育 跳び箱運動〜AIスマートコーチと一緒〜 AIとともに跳び箱の技に挑む授業
4年・保健 体の発育・発達 大人に向かう体の成長 生成AIと考える自分の生活
6年・道徳 友情、信頼 生成AIは誰を選ぶ?
5年・外国語 自己紹介!お互いの魅力、再発見 AIを練習相手に英語で自己紹介
2年・学級活動 楽しい夏休みの過ごし方 自由研究のアイデアをAIと広げよう
Column 03 目を向けているのは過去か未来か
終章 対談 鈴木秀樹×安井政樹 AIが当たり前にある時代の授業づくり
そもそも鈴木・安井が生成AIに取り組み始めたのはなぜか
教科の学びから生成AI活用を考えることの重要性
学校だからこそできる学び・必要な学び
AIが迫る問い直し
know whyの本を目指して
おわりに
参考文献一覧
執筆者一覧

はじめに

 大先輩である教育心理学の大家と話をしていたときのことです。普段は穏やかな大先輩が、憤懣やる方ないという感じで話してくれたことがありました。

 「生成AIはね、まずいかもしれない」

 「え、なぜですか? 僕、かなり使っていますし、今までにできなかったような授業ができて、結構いいな、と思っているのですが」

 「いや、鈴木くんはいいのかもしれないけれど…。この前、ある公立中の授業を見たのだけれどね」

 「はい」

 「先生が問題を出すんだよ。で、生徒がその問題を生成AIに聞いてね」

 「ええ」

 聞きながら、私は(問題を出して、その答えを生成AIに聞いて、その後、どんな学習が行われるような授業設計なのだろう?)と、少しワクワクしながら大先輩の答えを待っていたのですが、返ってきたのは私の予想とは全く違ったものでした。

 「先生が生徒に『それをノートに写しなさい』って言うんだよ。それで『生成AIを活用しています』とか言っちゃってるんだよ」

 「え、それは…、さすがに大げさに話されていますよね?」

 「いや、本当に見たんだよ! そういう授業を!」

 うーん、と唸ってしまいました。もちろん、その授業ではいかなる学びも実現されなかったでしょう。その「ノートに写す」という行為にどのような意味を見出すことができるのか、私にはさっぱりわかりません。

 しかし、これはその授業の先生を責めればいい話ではないだろうとも思うのです。それくらい現場の先生方にとって生成AIは得体の知れないもので、授業でどうやって使えばいいのか見当がつかない、というところがあるのではないでしょうか。

 そこに何かしらヒントになるようなことを伝える本ができないだろうか、というのが本書をつくるそもそもの始まりでしたが、その段階から「打ち出すべきは『ガイドラインの内容を押さえること』『教科の視点から生成AIの活用法を考えること』だろう」という思いがありました。

 私も策定に関わった「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」は、不十分なところもあるかもしれませんが、我が国の教育現場で生成AIを活用しようと思ったら、まずは押さえておかねばならない基本資料です。

 「児童生徒の学びにおいては、学習指導要領に示す資質・能力の育成に寄与するか、教育活動の目的を達成する観点から効果的であるかを吟味した上で利活用するべきであり、生成AIを利活用することが目的であってはならない」

 ガイドラインに書かれたこの一文、「ちょっと言葉が強いな」とも感じますが、当然と言えば当然のことです。生成AIは進歩が早いので次から次へと新しい機能が実装されていきます。それを使いたい気持ちはわからなくもないのですが、大した吟味もしないで、ただ使ってみればいい、それで最先端だ、みたいなことを言っている実践発表を目にすると、不安が募ります。

 では、どのような吟味をすればいいのか。私は「教科等の目的を達成するのに寄与するか」という点を入口にするのが一番いいだろうと思っています。先生方にとっては、授業プランを考える際に「生成AIを活用することで、この教科の、この授業の目的達成にどのように役立つだろうか」という視点から考えることが、実はもっとも馴染み深く確実な方法ではないかと思うのです。

 そこで本書では、なるべく多くの「生成AIを活用することで、この教科の、この授業の目的達成にこう役立ちます」という例を掲載したいと考えました。が、基本的な考え方は自分で何某か書けるにしても、そんなにたくさんの具体例を私一人では出せません。私の実践は、どうしても普段、自分が担当している教科に限られます。国語、社会、算数、道徳…せいぜい、書けてそのあたりでしょう。

 しかし、生成AIの使い道は他にもたくさんあるはず。とすれば、これは教科教育の専門家集団である勤務校、東京学芸大学附属小金井小学校の教員を頼るのがいいのではないか。そう考えて声をかけてみたところ、多くの教員が「だったら自分が書きますよ」と声をあげてくれました。それを第3章にまとめてあります。

 そして終章では、教育における生成AI活用を進める上での盟友とも言うべき安井政樹さんと対談をさせていただきました。

 本書が「生成AIを授業でどう生かせばいいのだろう?」と考える先生方に、いくらかでもヒントを与えられるものとなれば幸いです。


  令和8年1月   /鈴木 秀樹

著者紹介

鈴木 秀樹(すずき ひでき)著書を検索»

1966年東京都生まれ。東京学芸大学附属小金井小学校教諭。慶應義塾大学非常勤講師。東京学芸大学ICT/情報基盤センター所員。慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻修士課程修了(教育学修士)。私立小学校教諭を経て2016年より現職。ICTを活用したインクルーシブ教育、学習者用デジタル教科書、生成AIを活用した授業づくり等が主要な研究テーマ。

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※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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