- まえがき
- T 普通教科「情報」設定の基本方針
- 1 普通教科「情報」設定の経緯
- 2 情報教育の体系化
- 3 普通教科「情報」設定の趣旨
- 4 科目の編成
- U 普通教科「情報」の目標
- 1 教科目標
- 2 「情報A」の目標
- 3 「情報B」の目標
- 4 「情報C」の目標
- 5 各科目の構成
- V 各科目の内容
- 1 「情報A」
- 2 「情報B」
- 3 「情報C」
- W 指導における配慮事項
- 1 他教科等との連携
- 2 実習の重視
- 3 活動環境と習慣
- 4 情報モラルの育成
- 5 具体例などの見直し
- X 実践事例
- 情報A 「情報の統合的な処理」の指導例
- 1 目 標
- 2 課題内容
- 3 授業計画
- 4 実践記録
- 5 生徒の活動の結果
- 6 反省と今後の課題
- 情報B 「問題解決における手順とコンピュータの活用」の指導例
- 1 目 標
- 2 授業計画
- 3 解説と例示
- 4 基本実習(クラス遠足の行先決定問題)の指導
- 5 応用実習(クラス対抗の演劇の演目決定問題)の指導
- 6 応用実習の結果の評価
- 7 発展的な問題解決の展望
- 情報C 「情報通信ネットワークを活用した情報の収集・発信」の指導例
- 1 目 標
- 2 時間配当(例)
- 3 内容の具体例
- 4 具体的な展開例
- 【付録】
- 学校教育法施行規則(抄)
- 高等学校学習指導要領 第1章 総則
- 高等学校学習指導要領 第2章第10節 情報
- 高等学校学習指導要領 第3章第7節 情報
まえがき
今回の学習指導要領の改訂において,普通教科「情報」が設定された。本書は,この新教科について解説を行うものであるが,次のような観点からお読みいただきたい。
○ 情報教育とは何か
情報という言葉は日常使われている言葉であり,難解な言葉ではないが,はばの広い使われ方をしている。「情報教育は重要である。」といえば,なんとなく通じてしまう。しかし,情報教育が何を意味するかは人によって様々である。先入観にとらわれることなく,新学習指導要領における情報教育の目標を正しく理解してほしい。
○ 目的と手段の混同に注意
コンピュータやインターネットを使うことは,活動の手段である。十分に注意しないと,コンピュータやインターネットを使うこと自体が目的であるかのような混乱や間違いが起こる。手段を使って,何のために何をするかを常に意識してほしい。普通教科「情報」が目指すのは,主体的に情報を活用する能力と態度を育成することである。このことを忘れると,手段の獲得だけで終わってしまう。
○ 「考えさせる」ことを重視
学習指導要領の内容を読むと,「情報A」,「情報B」では「心構えについて考えさせる」,「情報C」では「在り方を考えさせる」とある。普通教科「情報」は能力の育成だけではなく態度の育成も重視している。態度の育成は座学で知識として教えるだけでは不十分である。
「考えさせる」と記された意味を考えてほしい。また,態度の育成は普通教科「情報」の学習で完結するものではない。将来にわたって育成を図るためには,生徒が継続して「考える」習慣を付けるように持っていかなければならない。
○ 普通教科「情報」は学際的な教科
情報を学問としてとらえると学際的な学問である。同様に教科としての普通教科「情報」は,国語,公民,数学,理科をはじめとする各教科と密接な関係を持った教科である。指導に当たっては,各教科との連携が必要である。特に他教科の既習事項を上手に取り込む必要があるし,普通教科「情報」で学習したことを他教科に役立てることが大切である。
○ 教師の創意工夫が求められる
普通教科「情報」は,情報化の進展に対応して扱う内容を変えていかなければならない。また,生徒の主体的な学習活動を促すためには,実習課題,実習指導法に工夫が必要である。本書に書かれていることを固定的に指導するだけではすまない。
教科目標を念頭にして,不易な部分,流行の部分をよく区別して指導しなければならない。ここに,教師の創意工夫を生かす場面が広がっている。普通教科「情報」嫌いの生徒を出さないようにお願いしたい。
以上,普通教科「情報」を指導するに当たっての留意点や,指導する方への願いを述べてきた。
最後に,お忙しい中,本書の作成にご協力いただいた方々に感謝します。
2000年6月 文部省教科調査官 /中村 一夫
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