- まえがき
- 「特別の教科 道徳」として始める道徳授業
- 第1章 概論・初めての道徳授業づくり
- 第2章 実践・道徳授業づくり
- 主として自分自身に関すること
- 1 善悪の判断,自律,自由と責任 よわむし太郎
- 2 正直,誠実 ともだちやもんな,ぼくら
- 3 節度,節制 少しだけなら
- 4 個性の伸長 うれしく思えた日から
- 5 希望と勇気,努力と強い意志 きっとできる
- 主として人との関わりに関すること
- 6 親切,思いやり 心と心のあく手
- 7 感謝 お母さんはヘルパーさん
- 8 礼儀 電話のおじぎ―思いを伝えるおじぎ―
- 9 友情,信頼 ともだちや
- 10 相互理解,寛容 きつねくんとおおかみくんとのやくそく
- 主として集団や社会との関わりに関すること
- 11 規則の尊重 雨のバス停留所で
- 12 公正,公平,社会正義 あいつもともだち
- 13 勤労,公共の精神 はた・らく―働くことの大切さ―
- 14 家族愛,家庭生活の充実 ブラッドレーのせい求書
- 15 よりよい学校生活,集団生活の充実 みんな待っているよ
- 16 伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度 「環境の見張り番」トゲソと清流を守る人々
- 17 国際理解,国際親善 ふろしき
- 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること
- 18 生命の尊さ ヒキガエルとロバ
- 19 自然愛護 三日めにつかまえた虫―ファーブル
- 20 感動,畏敬の念 花さき山
- 参考資料
- おわりに
まえがき
教育再生実行会議から出された道徳教科化へ向けての提言は,文部科学省の道徳教育の充実に関する懇談会や中央教育審議会での審議を経て,平成27年3月27日には,小学校及び中学校学習指導要領の一部を改正する告示へと結実し,「特別の教科 道徳」が,小学校では平成30年4月1日より,中学校では平成31年4月1日より,スタートすることになった。
「特別の」という言葉がつけられているとはいえ,教科になれば,検定教科書が作成され,今まで以上に,きちんと実践することが求められる。もちろん,道徳教育に心血を注いできた先生方にとっては,これまでと特段変わったことはないかもしれない。しかし,教師になりたての先生方や,これから教師になることを目指している学生たち,また,道徳の時間には何をするのがいいのかと悩みながら,結果としてまだ満足のいく道徳授業を実践できないでいる先生方の中には,大きな不安を感じている方もいると思う。そこで,私たちは,そういう方々に向けて,今一度,初歩的なところから授業実践に取り組んでもらうための書物を編みたいと考えた。
本書は,小学校低学年版,中学年版,高学年版と中学校版からなる。それぞれの巻の編著者には,実践の場で活躍されてきた先生方にお願いした。
それぞれのページをご執筆いただく先生には,日ごろの実践を踏まえて,初心者でも簡単に取り組めるような,そして,その後には,「さらに深めてみよう,工夫してみよう」という気持ちを起こさせるような内容をご提案いただいた。また,教材・資料については,著作権の問題もあって,本書に収録はしてはいないが,先生方によく知られているもの,学校現場で簡単に手に入るようなものを選んだ。
どれか一つお気に入りの実践記録を選んで,ぜひ実践してみてほしい。そしてうまくいったなら,次々と試してみてほしい。うまくいかなかったなら,「どうしてだろう」,「どこを工夫すればいいのだろうか」と,皆さんなりの工夫を加えて,次の実践へと進んでいただきたい。
道徳教育は奥が深い。ベテランの教師がやってもうまくいかないこともある。教師の授業展開はだめだと思われていても,その授業で学んだ子どもたちの道徳性が育つこともある。しかし,そうした難しい問題について考えることは後回しにしよう。まずは,子どもたちと道徳授業をぜひ楽しんでもらいたい。楽しみながら始めることが奥義への近道だと信じて,実践を続けてほしい。皆さん自身が心から授業を楽しめるようになった時,本書の役割は達成されたということになるだろう。
/林 泰成
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- 明治図書
- 道徳の教科化へ向けて,どのように研修を進めようかと迷っていたときに購入。理論の部分もわかりやすく,実践例も掲載されているので役に立った。2017/3/2960代・小学校教員