- はじめに
- 第1章 毎日の理科授業の課題提示と発問を考える
- 1 授業の基本は生徒の活動
- 2 生徒は観察・実験を望んでいる
- 3 やったことを認め,ほめる
- 4 理科の授業と課題提示,発問
- 5 生徒を結びつける
- 6 ノート・ワークシートづくり
- 第2章 授業を変える課題提示と発問の工夫50
- 1年
- 1 自分で見いだした対象を詳しくかこう
- (生物/生物の観察)
- 2 顕微鏡の使い方を相互評価しよう
- (生物/生物の観察)
- 3 植物にとって花とは何だろう
- (生物/花のつくりと働き)
- 4 顕微鏡で葉のつくりを観察しよう
- (生物/葉・茎・根のつくりと働き)
- 5 花が咲かない植物は,どうやって子孫を残すのでしょうか?
- (生物/種子をつくらない植物の仲間)
- 6 ガスバーナーを分解しても火がつくでしょうか?
- (化学/身の回りの物質とその性質)
- 7 こぼしたアルコールに火がついたらどうなるでしょうか?
- (化学/身の回りの物質とその性質)
- 8 液体を軽い順に並べてみよう
- (化学/身の回りの物質とその性質)
- 9 粒子の動きを体で表現してみよう
- (化学/状態変化と熱)
- 10 気体を冷やすと,液体や固体になるのはなぜでしょうか?
- (化学/状態変化と熱)
- 11 凸レンズのどの部分で屈折しているのでしょうか?
- (物理/凸レンズの働き)
- 12 声はどういう仕組みで伝わっているのでしょうか?
- (物理/音の性質)
- 13 それで間違いありませんか? 確かめてみましょう
- (物理/力の働き)
- 14 コップがつぶれないのはどうしてでしょうか?
- (物理/圧力)
- 15 日本には震源や火山が多いと言えるでしょうか?
- (地学/地震の伝わり方と地球内部の働き)
- 16 恐竜の足跡は化石と言えるでしょうか?
- (地学/地層の重なりと過去の様子)
- 2年
- 17 原子1個の大きさはどれぐらいだろう
- (化学/原子・分子)
- 18 原子番号の1番Hから20番Caまでを覚えよう
- (化学/原子・分子)
- 19 語句を関連づけよう
- (化学/酸化と還元)
- 20 熱を吸う化学変化もあるのだろうか
- (化学/化学変化と熱)
- 21 マグネシウムの量を少しずつ変えたとき,結びつく酸素の質量はどう変わるでしょうか?
- (化学/質量変化の規則性)
- 22 シマウマやライオンの気持ちになって考えてみよう
- (生物/刺激と反応)
- 23 肺に穴を開けてもしぼまないのはなぜでしょうか?
- (生物/生命を維持する働き)
- 24 たらこには卵がいくつぐらい入っているのでしょうか?
- (生物/脊椎動物の仲間)
- 25 脊椎動物との違いはどこでしょうか?
- (生物/無脊椎動物の仲間)
- 26 回路をつくって気づいたことを発表しよう
- (物理/回路と電流・電圧)
- 27 水道管には反発し,定規には引き寄せられるのはなぜでしょうか?
- (物理/静電気と電流)
- 28 ポリウレタン線の一端を半分はがすのはなぜでしょうか?
- (物理/磁界中の電流が受ける力)
- 29 雲をつくるにはどうしたらよいだろうか
- (地学/霧や雲の発生)
- 30 いつ,どんな前線が通過したのだろうか
- (地学/前線の通過と天気の変化)
- 31 雲の動きにはどんなきまりがあるだろうか
- (地学/日本の天気の特徴)
- 32 煙が砂の方に流れたのはなぜでしょうか?
- (地学/大気の動きと海洋の影響)
- 3年
- 33 どんな条件のときに電子オルゴールが鳴るのだろうか
- (化学/化学変化と電池)
- 34 強い電池をつくるにはどんな条件があるだろうか
- (化学/化学変化と電池)
- 35 塩酸をなめると,どんな味がするのでしょうか?
- (化学/酸・アルカリ)
- 36 アルカリ性と酸性でどんな違いがありますか?
- (化学/酸・アルカリ)
- 37 固体の塩化ナトリウムに電流は流れるでしょうか?
- (化学/水溶液の電気伝導性)
- 38 根の先端から少し離れた部分だけ白くなったのはなぜでしょうか?
- (生物/細胞分裂と生物の成長)
- 39 めしべの柱頭についた花粉はどうなるのだろうか
- (生物/生物の殖え方)
- 40 DNAを取り出そう
- (生物/遺伝の規則性と遺伝子)
- 41 同じ荷物なら,2人の力の合計は1人のときと同じでしょうか?
- (物理/力のつり合い)
- 42 台車が動いたのは,何が何に力を加えたからでしょうか?
- (物理/運動の速さと向き)
- 43 人工衛星は,なぜ地球に落ちてこないのでしょうか?
- (地学/日周運動と自転)
- 44 惑星の気持ちになって,その特徴を紹介しよう
- (地学/惑星と恒星)
- 45 宇宙のことでもっと知りたいのはどんなことですか
- (地学/惑星と恒星)
- 46 目に見えない放射線を実感しよう
- (エネルギー資源)
- 47 科学的な根拠に基づいて意思決定しよう
- (自然環境の保全と科学技術の利用)
- 48 魚の死因について自分の考えを書こう
- (自然界のつり合い)
- 49 自然の恵みや災害について調べ,まとめよう
- (自然の恵みと災害)
- 50 家庭で体験しよう
- (宿題を通して深める理科の学習と日常生活の関連)
- おわりに
はじめに
筆者は,理科の研究授業を参観する機会が年に何回もあるのですが,特に若い先生の授業で,料理教室のようになってしまっているケースを見かけることがあります。
すなわち,教師の指示通りに実験を行わせる授業で,生徒はワークシートに書かれた手順や試薬の分量を読み取って,
「間違ってないかな?」
「これでいいんだよね?」
と確認し合って実験を進めています。
ところが,授業後の協議会では,すべてのグループが同じデータを出したことで,授業が成功したかのような発言が聞かれたりします。
また,ここ数年,話し合いを取り入れた授業も増えてきました。たいていは,観察・実験を行った後のまとめの場面で,
「話し合ってください」
という教師の指示で少人数のグループに分かれ,話し合いが行われます。観察・実験の結果を基に考察し,結論を導き出す,という一連の流れで話し合いが進み,その結果新たな疑問が浮かび上がる,というのが授業者のねらいです。
しかし「話し合ってください」という指示に戸惑う生徒が顔を見合わせるだけで,活動の進展が見られないまま時間が過ぎていくことがあります。グループによっては,
「何を話し合えばいいのかな?」
「結果は出ているよね…」
と,話し合いの必要性について話し合っているような状態です。
実は,いま取り上げた2つの例は,課題の提示の仕方と発問(指示)の仕方を変えるだけで,もっとよい授業になります。本書は,そういった授業改善に役立てていただくためにつくられました。
本書では,具体的な指導事例を通して発問と課題提示の工夫の仕方を紹介しています。本書に収録されている50の指導事例は,以下の観点で選びました。
●生徒の知的好奇心を喚起し,探究心をもたせる。
●観察・実験に目的意識をもたせる。
●科学的に調べる能力や態度を育てる。
●科学的な見方や考え方を養う。
中学校の理科の授業時数は,およそ395時間です。したがって,50の指導事例でその内容を隈なく網羅できているとは言えませんが,学年や領域に偏りが生じないよう,指導事例を厳選しています。
理科の年間指導計画を作成したり,実際の授業を構想したりする際,本書を参考にしていただければ幸いです。
最後になりましたが,本書の企画・出版に際して,明治図書出版の矢口郁雄氏には大変お世話になりました。これまでに行ってきた自分の授業を振り返り,整理するよい機会を与えてくださいました。厚く御礼申し上げます。
2015年8月 /山口 晃弘
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- 明治図書
- 使える内容があり,参考になりました。2023/10/1360代再任用
- 具体的な内容ですぐにでも使えるが、内容としてはかなり少ない。2018/5/1430代中学校教諭