- はじめに
- Chapter 1 合唱授業 その前に
- 1 音楽科教員の舞台である音楽室をステキに
- 2 プライベートも仕事も。スケジュール管理
- 3 副教材を間違いなく選ぶ
- 4 年間指導計画は逆算が大切
- 5 教材をどう料理する?
- 6 体が楽器!心と体を整えるために…
- 7 あれも,これも,大切な授業準備
- 8 選曲はどうする?生成AIは…「教材の探し方」
- 9 授業で使えるYouTube
- 10 「テクスチュア」も子どもの言葉で言えますか?
- 11 学校に合った合唱スタイルの設定
- 12 「なぜ,歌わなきゃいけないの?」と言われたら
- 13 緊張・羞恥への向き合い方
- 14 良いお手本はすぐそばにいる
- 15 数少ない授業で,仲良くなる方法
- 16 やってしまいがちな失敗
- コラム 儀式的行事のための準備・指導
- Chapter 2 合唱指導 基礎の基礎
- 授業準備
- 17 初めが肝心!初回授業ですべきこと
- 18 ワークシートの作り方。3つの形式
- 19 黒でも白でも,電子でも。やっぱり大切な板書
- 20 プレゼンテーション資料の活用法
- 21 すべて歌って,弾いて,聴いて
- 22 歌えるようになるためのルーティン
- 23 授業以外の練習のために,指揮者を育てる
- 24 初めが肝心。そして,ブレない「授業規律」
- 指導スキル
- 25 伴奏ばかりで歌った経験ゼロ!?ピアノ専攻の合唱指導
- 26 自慢のアレが邪魔になることも…声楽専攻の合唱指導
- 27 息と合奏,リズム感。うらやましい管弦打専攻
- 28 圧倒的な知識。作曲や音楽学専攻
- 29 年間指導の基盤。とても大事な常時活動
- 30 校歌は子どもも授業者も,初心を忘れずに
- 31 贔屓?と誤解を生まない「歌のテスト」
- 32 鶴の一声か,雑音か…私語への対策
- 33 「お腹すいた〜」と言われたら?
- 34 生成AIも活用できる。学習指導案を書く前に
- 35 予想外の反応への対応
- 36 生徒からの答えにくい質問
- 37 少人数クラスの指導
- 38 ff ちゃんと読める?書ける?
- 39 背中にも目がある?合唱指導中,どこで何を見る
- 40 合唱でも大切な机間巡視
- 41 ICT端末を合唱指導に活用する
- 歌唱スキル
- 42 「感情を込めて」が伝わらない…を解決!
- 43 子どもは楽譜のどこを見ている?
- 44 固定的にならないパート分けの視点
- 45 ハーモニーの扉を開く導入指導
- 46 パートの特性を活かす! 声部ごとの課題と指導
- 47 伴奏につられない。上手に共演する
- 48 「間違えても大丈夫」が合唱を育てる
- 49 練習の質を高める「集中と緩和」のサイクル
- 50 「暗譜」が指すもの。「暗譜」から目指すもの
- 生徒指導・対応
- 51 子どもの見る時の観点
- 52 持ち物から見える子どもたちの姿
- 53 感情的な指導を避けるための心構え
- 54 身だしなみから見えてくる子どもたちの姿
- 55 授業で使ってはいけない言葉
- 56 ICT端末のトラブルは怖くない!
- コラム 職員合唱の運営
- Chapter 3 合唱コンクール 音楽教師の役割
- 57 学級担任と音楽科教員との関わり方
- 58 合唱行事における最初の山場「選曲」
- 59 指揮者・伴奏者の選出と育成
- 60 逆算思考でつくる! 合唱本番までの指導計画
- 61 成長につながる合唱コンクールの審査
- 62 歌声と心を一つにする服装・髪型指導
- 63 多忙な子どもに寄り添う声かけと指導
- 64 本番直前!ラスト1週間の「やること」「やらないこと」
- 65 歌声の不協和音? 人間関係トラブルの乗り越え方
- 66 「舞台」を仕上げる全体リハーサル
- 67 心に響く合唱コンクールの締めくくり方
- 68 コンクール後の「次の一歩」をどうするか
- 69 「思い出」の写真,公開前のチェック
- 70 授業と行事の著作権入門
- 71 配信・DVD作成で知っておきたい著作権の基本
- 72 定時に帰るためには,準備段階で終わりまで予測
- 73 多様な生徒への配慮
- 74 合唱コンクールを支える人々
- 75 相談相手の見つけ方
- コラム 音楽科だから言える。「著作権」
- おわりに
はじめに
「音楽の教員になった! さあ,どんな合唱の授業をしようかな。感動する合唱コンクールを運営したいな」と胸を高鳴らせます。子どもたちが整列し,目を輝かせ,一斉にこちらを見て,すばらしい合唱のために一生懸命に歌う……そんな姿を想像しているかもしれません。
しかし,残念ながら現実は全部が全部そうではありません。パート練習,ハーモニーの組み立て,歌詞の理解よりも前に,
・音楽室のいす,どう並べたらいいの? 小さなことを誰にも聞けない
・「楽譜,忘れた〜」無限カノン
・おしゃべりが止まらない
という合唱以前の問題が立ちはだかります。
これは全く異なる「オンガクカ」という2種類の言葉の違いによるギャップです。
「音楽家」は,歌いたい人を,より良く歌えるようにする。
「音楽科」は,歌いたくない人を,歌いたくさせる。
音楽科教員は自身の学生時代に,行事で指揮者や伴奏者・パートリーダーとして活躍したり,音楽の成績が良かったり,部活動に力を入れた経験を持っていたり,学校外では音楽の習い事に力を入れたりと,音楽に対して当たり前に,そして積極的に向き合う「音楽家」の指導のイメージを持って音楽室に立ちます。
しかし,期待されているのは「音楽科」としての指導。楽譜を忘れずに持ってこさせて,こちらを向かせ,おしゃべりを止めさせ,「何で歌わなきゃいけないの,ウザ」と言う子どもを合唱に向かわせる力です。
この2つの「オンガクカ」の大きな差に悩んだり,傷ついたり,時にはせっかくつかんだ音楽科教員の仕事を辞めてしまったりということもあるかもしれません。熱意ある教員や教育実習生を見てきた私は,音楽以前のことで頭を悩ませることがもったいないと思ってきました。
本書は「音楽科」のための内容で,いわば合唱指導のスタートラインに立つ前に読む本です。スタートしてからの話……つまり「音楽家」の指導書は,指揮者や声楽家等の音楽家の皆さん,コンクール入賞常連の音楽科教員の皆さんの書籍や研修から大いに学んでください。残念ながら本書には「音楽家」の情報は書いてありません。
「音楽科の教員になってほしい・なったなら続けてほしい・続けるなら学び続けてほしい」と願い,音楽科のための情報をYouTubeやウェブサイトで発信し続けています。特に初任者や若手教員,そして教育実習生向けの情報です。本書ではその中から,合唱に焦点を当てて,どなたでも読んでいただける内容を紹介します。ベテランの皆さんも時代や学習指導要領の変化に応じた視点で合唱を見直せるよう工夫しました。
東京都某区の小規模中学校で初任を迎え,校内たった一人の音楽科で,右も左もわからず,「音楽家」の指導ができると勘違いして音楽室に立った……あの時の自分に教えてあげたい,そんな内容です。ピンときたページから,開いてみてください。
2026年3月 /原口 直
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明治図書
















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