- まえがき
- 第1章 〈目的〉を自覚するほどに,指導の軸はブレなくなる
- 1.一般的な〈目標〉と〈目的〉の違い
- 2.生徒指導の〈目標〉とは
- 3.生徒指導の〈目的〉とは
- 4.〈目的〉を意識しないと,指導の失敗が多くなる
- (1)短絡した指導に陥る
- (2)〈上達論〉の欠落
- その1 小学校5年生の図画工作の授業の失敗例 ―〈上達論〉の欠落―
- その2 授業を立て直した事例
- (3)〈否定の否定〉の上達論
- (4)手段・方法の吟味がおろそかになる
- 5.カントは「人間性をたんに手段として扱うな」と戒めた
- (1)生徒を手段としてのみ扱う悪い例 ―部活指導を例に―
- (2)柔道の金メダリスト山下康裕氏の事例に学ぼう ―生徒を目的として扱う名監督に恵まれて―
- (3)「人格の完成」を〈目的〉とした部活指導事例
- 第2章 〈目的〉のために一歩引いた指導事例,一歩も引かなかった指導事例
- 1.〈目的〉のために一歩引いた指導事例
- 2.〈目的〉のために一歩も引かなかった指導事例
- 3.晩年にたどり着いた生徒指導の極意
- 第3章 問題を起こす児童・生徒の心の中
- 1.何度も問題を起こす児童・生徒の心の中
- 2.学校に批判的な保護者と相談する時の事例
- 3.〈慣性の法則〉と〈サド性〉の目覚め
- 4.ルサンチマンをもった小学生の指導事例
- 5.〈慣性の法則〉と〈サド性〉が目覚める前に
- 第4章 感化の力が育てている
- 1.感化の力が日常の生徒指導を担っている
- 2.なぜそれが義務となるか
- 3.知育偏重の是正を
- 4.政府にお願いしたいこと
- 第5章 教師修養の方法 ―人格の完成を目指して―
- 1.〈人格〉とは
- 2.「求める心」を育てる
- 3.教師自身が〈体・徳・知〉を磨くことで,生徒指導の土台が確立する
- 4.時を守り,場を清め,礼を正す
- 5.〈体〉の実践
- (1)機敏に颯爽と動く
- (2)安全な食材を正しく食す
- (3)心(気)を整える
- 6.〈徳〉の実践
- (1)〈徳〉の効用
- (2)『論語』に説かれている〈徳〉
- (3)現代哲学者が説いている〈徳〉
- (4)佐藤一斎が説いた〈徳〉
- (5)徳の身に付け方
- 7.〈知〉の実践
- (1)授業が上手でなければ生徒指導もうまくいかない
- (2)広く,深い読書で教養を身に付ける
- 第6章 発達障害への対応が重要となっている
- 第7章 生徒指導上の難問を解くことで,ブレない指導が確立する
- 1.校則は何のためにあるのか
- (1)なぜ中学校には細かい校則があるのか
- (2)内からの自由
- (3)外からの自由
- (4)両者の統一
- 2.憲法では個人の自由や権利が保障されているのに,なぜ学校は頭髪や服装の規制ができるのか
- (1)最大の難問(アポリア)
- (2)憲法がもし「各種共同体」に対して「個人の自由」を保障していたとしたなら
- (3)「学校の規則」より「個人の自由」を優先したなら
- (4)〈消極的自由空間〉を国民はどう生きるべきか
- (5)学校や会社はどのような厳しい規則でも作れるのか
- (6)「高校生のパーマ」の判例からわかること
- (7)学校現場での具体的指導事例
- あとがき
まえがき
「学校」と「サービス業」との違いはなんでしょうか? それは,「学校」の〈目的〉が「人格の完成」にあり,「サービス業」にはそれがないという点です。これは教育基本法の「教育の目的」に明示されていることです。
「人格」は〈知・徳・体〉の三つからなっており,これらを目指すためならば学校は,消費者(児童・生徒や保護者)が嫌がることでも執行できるのです。たとえば,服装・頭髪の規制や携帯電話持ち込みの禁止などを「人格の完成」という〈目的〉の下に執行できるのです。(詳しくは7章参照)
しかし,その分だけ学校・教師には責任と義務が課せられています。教育基本法第9条には「法律に定める学校の教員は,自己の崇高な使命を深く自覚し,絶えず研究と修養に励み,その職責の遂行に努めなければならない。」とあります。つまり教師たるもの,「自らの人格」を優れたものにすべく修養しなければならないのです。しかし,法律に書いてあろうとなかろうと,次のことが言えます。
学級指導や教科指導などのあらゆる指導の土台が「生徒指導」である。その「生徒指導」に成功するには,教師自身が優れた人格を求めて修養しようとする意志が必要なのであり,その弛まぬ姿勢こそが,実は生徒指導の達人に達する極意である。
10年後に生徒指導の達人になるための入門書がこの本なのです。
/寺崎 賢一
場面指導や、ケーススタディ、
事例が増えるとなおよいと思います。
何事も率先垂範を心掛けることを意識するようになった。