- まえがき
- 第一章 オカルトに魅かれるわけ
- 1 マカなるものが気をひく
- 2 ドサッと存する神秘現象
- 3 トンボやカラスなどにない所業
- 4 うさんくさいものの面白味
- 5 私どもの頭で想い定める
- 6 クソ合理主義におちいるな
- 7 神様たちの実力度を筋にして
- 8 ホンモノダと信じこむ
- 9 入魂式とか開眼式とか
- 10 魂を抜きとる式もある
- 11 特殊なユニホームを着たり
- 12 民放型そしてNHK型
- 13 その日だけの入信といった形
- 第二章 切り火の話とオカルト観
- 1 切り火の火花が飛び散る
- 2 切り火の実用的活用
- 3 「清め」の思想の発生
- 4 精神づくりのうまい方法
- 5 今の世の切り火の体験
- 6 神秘の正体へのアプローチ
- 7 大学生のオカルト観の姿
- 8 必ず心のスキや弱さがある
- 9 スリリングな世界を味わいたい
- 10 臭いものは嗅ぎたがる
- 11 文化一般がかかわる
- 12 無尽の宝が転がる
- 第三章 呪文という文化と心の教育
- 1 見過ごし得ない呪文の現象
- 2 なにゆえの着目か
- 3 呪文とはそもそも何なのか
- 4 わんさとある特別のコトバ群
- 5 いろいろのレベルあり
- 6 エピソードを掬いとる
- 7 人生上の大いなる発明
- 第四章 生活くさい面の呪文の相貌
- 1 決まり文句として結晶
- 2 暗示的なものまでの十五の話
- 第五章 新呪文と呪文教育のすすめ
- 1 たとえば時宜を得た新呪文
- 2 呪文の発見と創作の道へ
- 3 死ぬときには死ぬんだ
- 4 心の教育へ転化させる
- 5 初めての創作呪文の実践
- 6 呪文教育への歩み
- 第六章 祈願という文化とイメージ教育
- 1 祈願方法の三つのレベル
- 2 感覚的祈願の物と金
- 3 表象的祈願の絵図とシンボル
- 4 手頃な祈願としての絵馬の話
- 5 図柄の中にもレベルが見える
- 6 概念的祈願の文字とお札
- 7 簡便なお守に心がこもる
- 8 おねだり祈願からただ祈願へ
まえがき
宗教を教えたいです。
その知識をまともに学ばせたいです。
きちんと伝えたいのです。
なによりの世界観の教育となるからです。
どのように。
そこを見本的に示したのが本書です。
言うなれば、宗教学がいろんです。
そして、宗教教育への道でもあります。
だれでも、どこでもやれる方法論です。
うんと要点的に、しかも事例をたっぷりと出し、表や絵図を使って、実践的に解き明かしてみました。 オカルトになぜ魅かれるのでしょうか。
そこが、スタートです。
窓口です。
オカルト観の相貌はどうでしょうか。
気になるところです。
そこで教育は、宗教とどうつきあっていけばよいのでしょうか。
いたずらに、怖がってばかりいずに、神秘の世界とは何か、宗教の本質とは何なのか、そのからくりをちゃんとみきわめてみてください。
おどろおどろしたもの、奇妙きてれつなもの、非科学いっぱいのもの、そういうところには、かえって、人間の心や歴史の心を知る恰好の宝が、たくさん含まれています。
その宝の知恵を見つけてほしいのです。
一つでも多く、手に入れてください。
私たちは、なんかの事件がおきるたびに、かしこくなっていきます。
そうだったのかと、あらためてそれを見直すとともに、その眼力も高まっていきます。
いつも後手々々で、はずかしいけれど、仕方ありません。
まことに残念なことではありますが、それをよい機会と思うほかありません。
そこから、です。
さらにかしこくなっていく、さらに生きる力が肥えていく、そうなっていきたいです。
そのためには、宗教そのものを理解することです。
それが、早道です。
今日まで、教育の世界では、宗教の知識の勘所をうまく学ばせる方法が、じゅうぶんに開拓されることがありませんでした。
君子あやうきに近よらず、のところがあったのかも知れません。
いまや、そこをのりこえていかなければなりません。
気持ちさえあれば、どんな人でもやれる、神秘的文化の教育、すなわち宗教と俗信(兆占禁呪)の魅力をここに、正面から押し出してみたというしだいです。
本書のなるにあたっては、明治図書の樋口雅子さんに、ひとかたならぬおせわになりました。しるして心よりおん礼申しあげます。なお、校正については有田道生氏に細部にわたってのご配慮をいただきました。深く感謝の意を表します。
一九九七年六月 /庄司 和晃
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- 明治図書