いじめをやめさせる
―指導の心得と鉄則

いじめをやめさせる―指導の心得と鉄則

インタビュー掲載中

「いじめは犯罪」ということを意識することからはじめよう

「いじめは犯罪である」。学校の外に出れば「名誉棄損」「暴行」「傷害」「恐喝」などの罪で処罰されることが、学校ではいじめで片づけられてしまう。いじめを「子どもだから」「学校の中でのことだから」で済ませるのではなく、毅然とした指導を行う心得と方法を収録。


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PDF EPUB
ISBN:
978-4-18-159919-5
ジャンル:
生活・生徒・進路指導
刊行:
対象:
小・中
仕様:
四六判 208頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年3月21日

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第一章 いじめ指導の心得―徹底して被害生徒を守る
「いじめ」という言葉にとらわれない
職員の複数指導体制の構築が第一歩である
いじめ指導は、一度きりの指導で終わらない現実を知る
@なぜ、いじめ指導は難しいのか
A被害生徒を守る
いじめられている生徒を徹底して守る気概をもつ
いじめは犯罪行為という認識をもつ
警察連携をためらわない
@なぜ、警察連携が難しいのか
A警察連携の必要性
B集団心理について
第二章 いじめの予防―生徒と教師集団を育てる方法
正義の通る生徒集団をつくる
@中間的集団を大切にする
A落ち着いた、揺らがない学校をつくるための考え方
「中間的集団」と「正義派の集団」を育てる
@「中間的集団」と「正義派の集団」を大切にする理由
A全職員が生徒指導を行う意識をもつ
B職員の変化
「暴力禁止」を徹底する校内体制づくりを図る
@「暴力禁止」徹底のための教師の共通理解
A規範意識向上の授業
B安心して仕事ができる環境づくり
C職員体制の構築
やさしさと厳しさを両立する
@生徒への接し方
A具体的な行動の仕方
教職員の人権研修を推進する
@忘れられない同僚の言葉
A人権感覚を高めるためには
B教師の人権感覚といじめ問題
人権チェックリストを活用した校内人権研修会を行う
@校内人権研修会について
A効果的な研修会の持ち方
授業で規範意識を向上させる
@たばこ万引きで逮捕、納得いかない
A授業のきっかけ、非常識な保護者の存在
B授業の実際
C生徒へのアンケート結果や生徒の感想から
D指導の留意点
E生徒の感想
Fまとめ
ロールプレイ研修で聴く力をつける
@傾聴訓練やロールプレイ研修の必要性
Aロールプレイ研修の実際
Bファシリテーター(進行係)への指導の留意点
C教師がロールプレイ研修を行うことの効果
D参加者の感想
Eまとめ
第三章 いじめ対応―実例でみる対応の仕方
保護者と良い関係を築くための4か条
@保護者と良い関係を築くために心がけること
A子どもに直して欲しいことがあるときの保護者への伝え方
生徒指導担当とスクールカウンセラーの連携
@生徒指導専任教諭の歴史
A専任教諭の活動内容
B設置上の留意点
C生徒指導専任教諭のメリット
Dスクールカウンセラーとの連携
E動いて信頼を得る
問題発生時の教師の対応
@教師の複数対応
A被害生徒・保護者への対応
B加害生徒への指導
C加害生徒の保護者への連絡
D被害生徒・保護者への確認
E警察との連携を考えるケース
具体的な警察との連携の仕方
@警察との連携
A警察の連携について
B暴力には毅然とした対応
C問題が発生した場合
D被害届を考えるケースについて
E被害者、被害者の保護者を支える人の存在の重要さ
指導の限界を見極める
@指導の限界とは何か
A指導の限界を見極める
B暴行を受けた生徒の事例
C振り返り
Dまとめ
被害生徒の心理について
@からかわれている生徒の事例
A考察
Bまとめ
加害生徒の心理について
@ダブルロール論をよりどころとした指導方法について
A元被害生徒が加害生徒になった事例
B考察
Cまとめ
加害生徒の集団心理について
@からかいから暴力にまで発展した事例
A集団化した生徒の心理状態
おわりに

はじめに

 日本で初めていじめ対策に特化した法律「いじめ防止対策推進法」が2013年(平成25年)に制定されました。しかし、残念なことですが、いじめやいじめが原因と思われる自殺報道は後を絶ちません。

 児童生徒の自殺の背景にいじめがあったのではないかと報道されるテレビや新聞、ネットを見るたびに、心が痛むのは私だけではないと思います。

 ところが、いじめ問題がメディアでこれだけ取り上げられているにもかかわらず、具体的ないじめや生徒指導についての書籍は少ないのが実感です。

 「いじめをやめなさい」と言っても、いじめは簡単に止まりません。逆にさらにエスカレートすることもあります。私は、実際にいじめを指導した人でないと、いじめを解決することの難しさは理解できないと思っています。それは、被害に遭った人、指導してきた先生たちと話して感じたことです。

 最初から、いじめ指導が得意だという先生はそれほど多くはないと思います。真剣に取り組めば取り組むほど、戸惑い、迷うことが多いからです。児童生徒、保護者から情報が入り、指導が終わったと思った問題でも、まだ、いじめが止まっていなかったことや、加害生徒がまったく反省していないことを知ると、では、どのような指導をすれば良かったのかとまた悩みます。

 いじめや生徒指導について、どう考えればいいのかと悩んでいる先生、悩んだり迷ったりしているが多忙で本を読む時間もなかなか取れない先生、自分の指導方法が本当に正しかったのかと悩んでいる先生、これが現場の実態ではないでしょうか?

 そのような先生方に、私の拙い経験が少しでも役に立てればという想いで本書を執筆しました。


 私は、平成8年から2校にわたり通算13年間、「生徒指導専任教諭」として勤務している間に、教師の指導だけでは問題行動が止まらないケースを数え切れないほど体験してきました。そして、その被害を受けた生徒、保護者、教師の相談も受けてきました。

 その中で、警察や家庭裁判所と連携してきたケースや、実践してきた指導方法が、学校現場で困っている先生に少しでも何かのヒントになれば、そしてそれがいじめや暴力を受けて辛い思いをしている人を救うことにつながれば、と考えるようになりました。それが本書を執筆する第一の目的です。


 ここに示された実践は、一緒に働いた小学校・中学校の先生方、スクールカウンセラー、神奈川県警察の警察官、教え子など多くの人たちからのアドバイスをもとに実践してきたものを文章にしたものです。

 十分伝えきれない箇所もあると思いますが、今更ながら、本当に多くの人たちの支えがあったことを再確認することができました。

 なお、本書の事例は、私が実際に対応したケースをヒントに再構成した架空のケースであることをお断りしておきます。

著者紹介

瀬田川 聡(せたがわ さとし)著書を検索»

1986年,神奈川県横浜市立中学校に数学科の教師として奉職。

1996年から5年間,2004年から8年間,二校にわたり通算13年間,生徒指導専任教諭として勤務する。

2001年から兵庫教育大学大学院学校教育研究科で生徒指導,カウンセリングを学ぶ。

現在,横浜市立都田小学校副校長として勤務する。

学校心理士スーパーバイザー。

早稲田大学教師教育研究所招聘研究員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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