21世紀型学級づくり1
危機を乗り越える学級づくりの技術

21世紀型学級づくり1危機を乗り越える学級づくりの技術

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生徒との苦闘の記録から優れた学級づくりが見えてくる。

優れた学級づくりを展開した教師の共通点として@子どもの現実とともに闘っていることA包みこむようなあたたかさがあること、を著者は挙げる。中学生集団との苦闘の記録。


復刊時予価: 2,332円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-150110-8
ジャンル:
学校経営
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
T 日常の小さなトラブルが大きな事件を招く
一 出会いの時のトラブル
二 小学校時代の成績
三 出会いのときにはここをチェックしよう
四 男女の仲間割れ―教室内男女別居―
五 席替えを学級の力にする
六 靴隠し事件
七 生徒が困った時こそ絆をつくるチャンス
八 けんかの指導のコツ
九 怪我や病気の際に言ってはならない言葉
一〇 風紀の乱れは一点突破の指導で
U 中学校のいじめとの闘い方
一 いじめは起きる!
二 子どもからの訴え「先生。私、死にたいんです」
三 クラス全員を味方につけよ
四 保護者にありのまま伝えよう
五 いじめを解決してくれるのは教師しかいない
六 だが、野球でいえば一回の裏である
七 学校の中にいじめをなくすシステムを作る
V 集団万引きの指導の原則
一 中学生の万引きの特徴
二 集団万引きの対処の仕方
三 忘れてやる教育
W 不登校生徒が出たら一人で背負うな
一 担任が一人で背負うな
二 卒業までにたった二度しか登校しなかった子ども
三 顔を見せてくれない長野君に会う作戦
X 器物損壊発見! 学年集会で訴える三つのポイント
一 壊した犯人を捜すな
二 子どもの善意を引き出す教師の語りかけ
三 修繕ボランティアで生徒のここが変わる
Y 中学生の子どもとのつき合い方
一 親方の話
二 勉強もスポーツも苦手な子を図工科で伸ばす
三 「信じられません」写生画で知事賞受賞
四 絵の好きな非行少女
五 「戦友」障害を持つ山形さんからの手紙
Z 荒れを防ぐ授業の原理・原則
一 荒れた美術室を立て直す
二 荒れる兆しは授業の中にある
三 グレーゾーンの子にもできる絵の具の準備のさせ方
四 酒井式で子どもの絵が変わった
五 『遠近のある風景』の授業
六 中学校教師が授業の力量を上げれば、たくさんの子どもが救われる
七 無気力な生徒群と闘う女教師
[ 子ども集団の育て方
一 実行委員会からリーダーは生まれる
二 楽しいクラスだという体験をさせることから始める
三 最初の集会でする整列ゲーム
四 実行委員会は様々な活動やリーダーを生む
五 記念誌実行委員
六 合唱コンクール実行委員会
七 排除しないで個性を生かす
\ 学級通信は教室の壁を取りのぞく
一 子どもが美術よりも書道が好きな理由
二 学級通信で閉鎖から公開へ
三 親や子と共通の話題に保護者の投稿記事より
あとがき

まえがき

 私は学級づくりが下手である。その上、中学生に尊敬されたり憧れられたりするような特技も人柄も容姿も持ち合わせていない。

 早く小学校に戻りたいと思っていた。中学校に来て何年間かは、担任している教室の戸に手をかけ、教室に入ろうとする瞬間、きりりと胃が痛んだ。

 私よりずっとすごい特技を持ち、ずっとステキな人柄や容姿を持っている教師がたくさんいる。

 ただ、私にも一つだけ誇れるものがある。私には向山洋一という、教師生活をかけて目標にする教師がいることだ。

 向山先生のような学級づくりをすること。これが新採用時代からの私の目標だった。

 優れた学級づくりの記を何冊も手にした。村山俊太郎、鈴木道太、無着成恭、大西忠治、村田栄一、八塚実、有田和正、野口芳宏……。

 優れた学級づくりをしてきた教師には、共通点があった。


 子どもの現実とともに闘っていること。

 包みこむようなあたたかさがあること。


 もちろん向山先生もその二つを備えていた。

 だが、小学校と中学校には異なる部分もある。

 一番はっきりしているのは、中学校の教師は小学校の教師ほど自分のクラスにいられないということだ。たとえば、美術教師の私が自分のクラスに入る時間は、授業と道徳と学活のわずかに三時間である(今なら総合的な学習の時間もある)。あとは、毎日の朝の会、給食、帰りの会の時間である。何か起きても小学校のようにそう簡単に時間割を動かすことができない。

 第二に、中学校の大規模校ばかり回ったせいもあるが、学年という単位での指導が多いことだ。行事はもちろん生徒指導も学年単位で一致した指導を求められる。自分のクラスだけ良ければいいというわけにはいかないのである。

 第三に、部活動があるということだ。小学校でも部活動を持っている教師がいるので理解できる人もいるかと思うが、これは放課後にもう一クラス持っているのと同じである。

 それでもなお、向山学級の実践は、学校はもちろん歳月や地域の壁を飛び越えて追試できた。優れた原則に貫かれているからであり、時代にあった(先取りした?)内容をふくんでいたからである。

 私は、目の前の子ども達とつき合いながら、それらの実践の何分の一かでも受け継ぎたい、近づきたい、と思ってきた。

 この書には、私の学級づくりの実践の中から、いじめや非行などの重い部分と、実行委員会の活動などの活発な部分の両面を取り上げている。「学級対抗阿波踊り」「学年合唱」など、中学ならではのダイナミックで楽しい実践もあるのだが、それらの紹介はまたの機会にしたい。

 なお、子ども達の氏名は、一部実名の部分もあるが、ほとんどは仮名である。


  二〇〇三年一〇月七日   /高橋 正和

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      明治図書

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