- 本書のねらい
- T章 中央教育審議会答申全文
- 幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)
- はじめに
- 第1部 学習指導要領等改訂の基本的な方向性
- 第1章 これまでの学習指導要領等改訂の経緯と子供たちの現状
- 第2章 2030年の社会と子供たちの未来
- 第3章 「生きる力」の理念の具体化と教育課程の課題
- 1.学校教育を通じて育てたい姿と「生きる力」の理念の具体化
- 2.「生きる力」の育成に向けた教育課程の課題
- (1) 教科等を学ぶ意義の明確化と,教科等横断的な教育課程の検討・改善に向けた課題
- (2) 社会とのつながりや,各学校の特色づくりに向けた課題
- (3) 子供たち一人一人の豊かな学びの実現に向けた課題
- (4) 学習評価や条件整備等との一体的改善・充実に向けた課題
- 第4章 学習指導要領等の枠組みの改善と「社会に開かれた教育課程」
- 1.「社会に開かれた教育課程」の実現
- 2.学習指導要領等の改善の方向性
- (1) 学習指導要領等の枠組みの見直し
- (2) 教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラム・マネジメント」の実現
- (3) 「主体的・対話的で深い学び」の実現(「アクティブ・ラーニング」の視点)
- 第5章 何ができるようになるか―育成を目指す資質・能力―
- 1.育成を目指す資質・能力についての基本的な考え方
- 2.資質・能力の三つの柱に基づく教育課程の枠組みの整理
- 3.教科等を学ぶ意義の明確化
- 4.教科等を越えた全ての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力
- 5.現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力
- 6.資質・能力の育成と,子供たちの発達や成長のつながり
- 第6章 何を学ぶか―教科等を学ぶ意義と,教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成―
- 第7章 どのように学ぶか―各教科等の指導計画の作成と実施,学習・指導の改善・充実―
- 1.学びの質の向上に向けた取組
- 2.「主体的・対話的で深い学び」を実現することの意義
- 3.発達の段階や子供の学習課題等に応じた学びの充実
- 第8章 子供一人一人の発達をどのように支援するか―子供の発達を踏まえた指導―
- 1.学習活動や学校生活の基盤となる学級経営の充実
- 2.学習指導と生徒指導
- 3.キャリア教育(進路指導を含む)
- 4.個に応じた指導
- 5.教育課程全体を通じたインクルーシブ教育システムの構築を目指す特別支援教育
- 6.子供の日本語の能力に応じた支援の充実
- 第9章 何が身に付いたか―学習評価の充実―
- 1.学習評価の意義等
- 2.評価の三つの観点
- 3.評価に当たっての留意点等
- 第10章 実施するために何が必要か―学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策―
- 1.「次世代の学校・地域」創生プランとの連携
- 2.学習指導要領等の実施に必要な諸条件の整備
- 3.社会との連携・協働を通じた学習指導要領等の実施
- 第2部 各学校段階,各教科等における改訂の具体的な方向性
- 第1章 各学校段階の教育課程の基本的な枠組みと,学校段階間の接続
- 1.幼児教育
- 2.小学校
- 3.中学校
- 4.高等学校
- 5.特別支援学校
- 6.学校段階間の接続
- 第2章 各教科・科目等の内容の見直し
- 1.国語
- 2.社会,地理歴史,公民
- 3.算数,数学
- 4.理科
- 5.高等学校の数学・理科にわたる探究的科目
- 6.生活
- 7.音楽,芸術(音楽)
- 8.図画工作,美術,芸術(美術,工芸)
- 9.芸術(書道)
- 10.家庭,技術・家庭
- 11.体育,保健体育
- 12.外国語
- 13.情報
- 14.主として専門学科において開設される各教科・科目
- 15.道徳教育
- 16.特別活動
- 17.総合的な学習の時間
- 関連用語索引
- 幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申) 別添資料
- ※本資料は,中央教育審議会における議論をまとめたものであり,今後,文部科学省において法制的な観点からの整理を行い,告示する。
- 別添1 幼児教育
- 別添2 国語
- 別添3 社会,地理歴史,公民
- 別添4 算数,数学
- 別添5 理科
- 別添6 高等学校の数学・理科にわたる探究的科目
- 別添7 生活
- 別添8 音楽,芸術(音楽)
- 別添9 図画工作,美術,芸術(美術,工芸)
- 別添10 芸術(書道)
- 別添11 家庭,技術・家庭
- 別添12 体育,保健体育
- 別添13 外国語
- 別添14 情報
- 別添15 主として専門学科において開設される各教科・科目
- 別添16 道徳教育
- 別添17 特別活動
- 別添18 総合的な学習の時間
- 幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申) 補足資料
- 第1部 学習指導要領等改訂の基本的な方向性
- 1.学習指導要領等改訂の基本的な方向性
- 2.これまでの学習指導要領等改訂の経緯
- 3.子供たちの現状
- 4.学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策
- (参考資料)
- ・法令上定められている教育の目的・目標・第2期教育振興基本計画
- ・これまで提言された様々な資質・能力・OECDとのプロジェクト
- ・資質・能力に関する学術研究や教育実践・持続可能な開発のための教育(ESD)について
- ・キャリア教育,情報教育,安全教育に関する答申
- ・資質・能力の枠組みに関する諸外国の動向・教育目標の分類学
- ・社会とのつながりを意識した取組の例・学校で育てる資質・能力の階層性をとらえる枠組み
- ・知の構造について・アクティブ・ラーニングに関する議論について
- ・学習プロセスについて・多面的な評価について
- 第2部 各学校段階,各教科等における改訂の具体的な方向性
- 1.各学校段階の教育課程の基本的な枠組みと,学校段階間の接続
- (1) 幼児教育
- (2) 小学校
- (3) 中学校
- (4) 高等学校
- (5) 特別支援学校
- (6) 学校段階間の接続
- ※「2.各教科・科目等の内容の見直し」については,本文第2部の別添資料を参照
- U章 「答申」の読み解き方
- 1 「答申」を読み解くための枠組み
- 2 「答申」の読み解きポイント
- V章 「答申」を読み解くキーワード解説
- 1 教育課程の基準
- 2 知識基盤社会
- 3 第4次産業革命
- 4 人工知能
- 5 生きる力
- 6 キー・コンピテンシー
- 7 社会に開かれた教育課程
- 8 学びの地図
- 9 カリキュラム・マネジメント
- 10 メタ認知
- 11 持続可能な社会
- 12 見方・考え方
- 13 言語能力
- 14 プログラミング
- 15 ICT
- 16 アクティブ・ラーニング
- 17 目標準拠評価
- 18 観点別学習状況の評価と評定
- 19 社会情動的スキル
- 20 非認知的能力
- 21 「共通性の確保」と「多様性への対応」
- 22 インクルーシブ教育システムの構築
- 23 「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の作成
- 24 チームとしての学校
- 25 統合型校務支援システム
本書のねらい
本書は,平成28年12月に公表された「中央教育審議会答申」(以下,「答申」と略記する)を読み解く「枠組み」と解説のポイントを示したものである。
今回の「答申」は,前回(平成20年1月)の百数十ページ,前々回(平成10年7月)の百ページを少し切るものと比べて,二百ページを優に超えるかなりの大部であり,これを読み進めて行くにはかなり大変である。これだけのものになる最も大きな要因は,新学習指導要領設計の基本コンセプトをコンテンツ・ベースからコンピテンシ−・ベースへと変換させたことにある。つまり,従来型のコンテンツベースのカリキュラム編成,すなわち,身に付けさせるべき内容を先に設定しそれに対応した能力の育成を考える,言わば内容主導で能力を従属させるカリキュラムから,育成すべき能力を先に設定しそのために必要な内容を選択・配置する,言わば能力主導で内容を従属させるカリキュラムへと変換させたことから,それを具体的に示すために必要な内容を盛り込んだ結果,このページ数になったということであろう。
こうした教育改革は,欧米やオーストラリア,ニュージーランドなど多くの先進諸国共通に見られるもので世界的な潮流になっている。そして,その共通の理由は,「答申」でも述べられているように,知識基盤社会,AIの発達,グローバル化の進展などが進み,将来の予測が困難なこれからの時代には,未来を創り出していくために必要な資質・能力,例えば,知識の習得だけではなくそれを活用し,答えのない問題に自ら「解」を構築する能力をはじめ様々な能力が求められており,それを児童生徒たち一人一人に確実に育むことが必要になるからである。
このような教育改革に当たって,「答申」では,カリキュラム編成のパラダイム転換を図るため,「どのような資質・能力を育むことを目指し,そのためにどのような授業を行っていくのか,その実現に向けて,人材や予算,時間,情報,施設や設備,教育内容といった学校の資源をどう再配分していくのかを考え効果的に組み立てていくことが重要になる」と改革の具体的な道筋を示している。
そして,「答申」で示されたように,このパラダイム転換に基づく次期学習指導要領の構造改革を進めるため,次のような「キーワード」が登場している。
・「社会に開かれた教育課程」
・「カリキュラム・マネジメント」
・「学びの地図」
・「資質・能力の三つの柱」
・「アクティブ・ラーニング」
・「主体的・対話的で深い学び」
・「見方・考え方」
・「認知的能力」
・「非認知的能力」
・「チームとしての学校」
もちろん,これらキーワードには通底するものがあり一体的に考えていく必要がある。当然ながら通底しているのは「資質・能力の育成」である。
以上のように,新しい時代に必要な学習指導要領の構造改革を示す「答申」であるが,先に述べたようにこれを読み進めるのは大変な作業であるし,知り合いの先生方からも「難しい」という声を聞く。
本書は,先生方が「答申」を読み進めるためのガイドとして,幾つかのポイントを示すとともに,「キーワード」について解説している。先生方への一助となれば幸いである。
2017年2月 /大杉 昭英
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- 明治図書
- V章 「答申」を読み解くキーワード解説が良かった。2021/5/540代 柔道家
- 答申の内容が多く分厚いが、解説が分かりやすくてよかった。2018/9/2240、教諭
- 解説がわかりやすくて読みやすかった2017/7/2120代・大学生
- 校内研究主任として、研究を推進する上で答申全文だけでなく、図版、資料が網羅されている本資料は大変貴重です。また、「読み解き方」や「キーワード解説」も、端的にまとめられていて大変助かります。2017/3/1430代・小学校教員