<見つける・わかる・できる>3STEPで変わる実技教科指導ガイドブック―体育・音楽・図工・書写指導の極意―

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体育・音楽・図工・書写指導の極意をまとめた完全ガイド!

もう退屈なトレーニングはいらない!実技教科指導でありがちな“思い込み指導”を打ち砕く、科学的理論に裏付けられた指導方法を、「基本的な授業の形」「授業実践ABC」「実技力を高める3ステップ」「授業の創意工夫」などで体育・音楽・図工・書写の教科別に伝授。


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ISBN:
978-4-18-127719-2
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小・大
仕様:
A5判 152頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年4月26日

もくじ

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はじめに…もう退屈なトレーニングはいらない!
第1章 指導実践への環境を整えよう
教育話法あれこれ
1 落ち着いて話そう!…いざというときの「あがり」対処法
(1) 「あがり」
(2) リラクセーション技法
(3) 10秒呼吸法
(4) リラクセーション技法の導入の提案
2 指示を明確にしよう!
(1) 導入時の指導者側の話法
(2) 題材提示時における指導者側の話法
(3) 児童・生徒への発問の際の話法
(4) 児童・生徒の発言に対する話法
(5) 説明における話法
3 板書の工夫をしよう!
(1) 板書のポイント
(2) 板書に際して注意すること
第2章 「見つける・わかる・できる」授業づくり
3STEPで変わる実技教科指導
1 体育科
(1) 基本的な授業の形(含 指導案の書き方)
(2) 授業実践と観察のABC
(3) 実技力を高める3ステップ
(4) 授業への創意工夫!
2 音楽科
(1) 基本的な授業の形
(2) 授業実践のABC
(3) 実技力を高める3ステップ
(4) 授業への創意工夫!
(5) 参考文献
3 図画工作科
(1) 基本的な授業の形
(2) 授業実践のABC
(3) 実技力を高める3ステップ
(4) 授業への創意工夫!
(5) 参考文献
4 書写・書道科
(1) 基本的な授業の形
(2) 授業実践・観察の深化
(3) 実技力を高める3ステップ
(4) 授業への創意工夫!
(5) 参考文献
第3章 教員採用試験に向けて
1 体育
(1) 傾向と対策
(2) 学習の仕方
2 音楽
(1) 出題傾向と対策
(2) 学習の仕方
3 図画工作
(1) 傾向と対策
(2) 学習の仕方
4 国語科書写
おわりに

はじめに…もう退屈なトレーニングはいらない!

 「えっ,ウソ〜っ!」

 それまで静粛だった講堂の中を,生徒たちの叫びが駆け巡りました。最初,公立学校の書道教師として5年を過ごし,広島大学附属中・高等学校に着任した日…つまり,その新任式の日の思い出です。

 新任教員として壇上にいたのは同年代の女性教師と,屈強な体格の私でした。「最初に書道の小竹先生を紹介します」と促され,前に進み出たときにどよめきのような冒頭の声が挙がったのです。書道と体育の先生が着任するとアナウンスされていた生徒たちは,きっと「あの体格の人は体育の先生に違いない」「女の先生は書道の先生に違いない」と信じ切っていたのでしょう。実際,最初の授業のとき,中学校3年生の男子生徒が,私の上から下までをしげしげと観察し,「えらく若い先生だな」と呟いたのも聞き逃しませんでした。今となっては懐かしい思い出の一つですが,このような「書道をやりそうな雰囲気」や「書道の先生は年とった人…」と決めつけられる書写や書道への思い込みに,随分と悩まされたものです。

 笑い話のような経験から話し始めましたが,この「〜とは〜というものだ」という思い込みは,何も書写・書道に限ったことではありませんし,当然のこととして性差や年齢だけに止まるものでもありません。まして,その学び方や教え方にも,いろいろな「〜とは〜というものだ」という思い込みが隠れています。たとえば,「文字を練習する方法は,こうあるべきだ」と説かれることの多くには,この考え方に頼っていることが数多くあるのです。

 昔から信じてきたこと,そういうものだと伝えられてきたことは,本当に間違いない方法であり,学びであるのでしょうか。本書に,ちょっと大胆な「3STEPで変わる」という題名をつけたのは,その思い込みによる方法や学びを打ち砕き,新しい道すじを示していきたいという思いからなのです。もっと分かり易く,もっと科学的に考えてみよう。そのことは,きっと児童・生徒の「見つけるよろこび 分かるよろこび できるよろこび」となり,「学ぶよろこび」に繋がっていくと信じているからなのです。

 お話しする対象を,どのように絞り込むかは難しい課題でした。最初は,「これから指導者を目指そうという方々」「教壇に立ったばかりの若い指導者の方々」「今一度,日常をふりかえってみようという指導者の方々」なども考えましたが,それぞれの段階ではっきりと区切れるものではありません。それに,教師=指導者としての学びは,高みを目指しては原点に戻る,原点に戻っては新しい試みにチャレンジする,というように常に行き来しているものではないかと思います。つまり,一人の人間が教師が育っていくのですから,それぞれが点としてあるのではなく,成長という糸によって強く結ばれているはずです。ですから,これから指導者を目指そうという方々も,次々と読み進めてもらえれば次のステップを見すえることができます。逆に今一度,日常をふりかえってみようという指導者の方々は,これまでの道のりを確かめるものとしてとらえていただければ良いのではないかと思います。

 書写・書道の教師でありながら,ということ自身が「思い込み」に大きく寄りかかっている感じもしますが,私自身は中学校以来,バスケットボールを生きがいのようにして育ってきました。プレーヤーとしても,コーチとしても,書写・書道と同じくらいの距離感で生きてきたと言えます。

 昔々,バスケットボール等々のスポーツにおいて必須のトレーニング方法が「うさぎ跳び」ではありませんでしたか。そう,某スポーツ漫画で夕陽を背景にして描かれる,あの有名なシーンにも登場する「うさぎ跳び」です。鍛えるといえばうさぎ跳び,まるで罰ゲームのように繰り返されるうさぎ跳びに,足腰ボロボロになった思い出があります。しかし,今やうさぎ跳びなどスポーツシーンのどこにも登場しないのではないでしょうか。実際,バスケットボールの指導者として体育館に居た私の中からは,すでにうさぎ跳びという言葉さえ消えてしまっていました。トレーニングとは,単に身体を苛めつくして根性を養うためのものではない。スポーツが,生理学や医学を巻き込みながら大きく進展した時代,無謀な筋肉や膝を損傷させる方法は消えてしまっていました。

 筋肉への負担というだけでなく,こんなこともありました。中学校当時のバスケットボールの練習は屋外でした。体育館がある中学校など数少なく,炎天下でユニフォームの型が身体に残るほどの日焼けをしながら,夏場の練習は続きました。それでも,水を飲むなどということは「不正行為」のように扱われ,「飲むんじゃないぞ,口を漱ぐだけ」と先輩に見張られ続けました。ただし,そのささやかな「不正行為」のお蔭で今も命を長らえているように思えます…。先輩の言葉の中には,「水を飲むと動けなくなる」や「気力で頑張るんだ」もあったように思います。今,どの学校で補水もせず,過酷なトレーニングを課すでしょうか。ここにも,大きな変革が存在しています。

 このような経験を経た後,高校卒業の頃から大学にかけてプレー自体も科学的に検証することを教えられました。根性だけで勝とうとしていた時代とは,隔絶の感がある知識と体験でした。

 最高のパフォーマンスを発揮するためには,精神的な根性論でなく機能的・科学的にとらえる必要がある。そのことを教えられて以来,常に科学の目と効率を考えてトレーニング方法を考えました。だから,自分がコーチとして中・高校生の指導に当たっていた時代にすでにうさぎ跳びのシーンはなく,いつもコートの横には補水のドリンクがありました。

 実技というか,実際にさまざまな表現活動を行う分野において,「トレーニングなど全く必要ない」というつもりはありません。大学での私のゼミの座右の中に,

  夢に終わらせない

  夢を終わらせない

というものがあります。つまり,夢見るだけでは,いつまで経っても夢を実現できない。そういう思いを込めて呟き続けてきた言葉でもあります。そんな言葉に,ある仲間が次のような言葉を付け加えました。

  夢で終わらせない

  しかし,

  夢から覚めなければ,

  それを現実のものとすることはできない。

 この夢を現実にしていく営みが,ある意味でのトレーニングにあたります。ただし,そのトレーニングは明確な目的のもとで,常に自分の成長を実感できなければなりませんし,学びの道すじを確認できるものでなくてはなりません。無目的に,単なる反復練習を続けていても夢を実現できないし,その道のりも楽しく充実したものとはならないのです。

 科学的であって,なおかつ楽しく,そして必ず向上する方法はないだろうか。「副業」のバスケットボールで考えたのですから,専門の書写・書道で考えないはずはありません。とくに,伝統的な学び方が続いてきた書写・書道では,考えるべきことが数多くあると思われます。たとえば,こんな疑問はありませんか。

  10代も,60代も,同じ太さの鉛筆を握っている不思議

  文字練習のマス目は,どうしてあんなに大きいのかという疑問

  文字をなぞることから始める学び方についての疑問

 そんな不思議や疑問を感じながら,ひとつひとつに「何だ,そうだったのか!」という合点がいくようになるなら,明日からの学びはきっと見違えるように楽しいものになっていくでしょう。

 本書では,「実技指導」ということについて触れようとしています。「実技」を単に「技術」と理解してしまうと,とても薄っぺらな感じがしてしまいます。並列的に用いられる「技能」という表現も,なんだかしっくりとはしません。ですから,本書では「実技」というかたい表現を敢えてとることにしていますが,「科学的な理論に裏付けられた表現する力」とでも解釈していただければと思います。当然,そこには「自らがしくみ発見する…見つけるよろこび」,「発見したしくみを理解する…分かるよろこび」,そして「それらを使いながら表現する…できるよろこび」というステップがありますし,そのことによって単に表現するというだけでなく,「表現する喜びや充実感を実感できる」場が設定されていて欲しいと考えています。


  2014年3月   /小竹 光夫

著者紹介

小竹 光夫(しの みつお)著書を検索»

1948年生。新潟大学教育学部特別教科教員養成課程(書道)卒業後,公立高校,広島大学附属中・高校教諭を経て,兵庫教育大学学校教育学部附属実技教育研究指導センター講師。現在,同大大学院学校教育研究科教授(書写書道科教育学)。全国大学書写書道教育学会常任理事,全国大学書道学会会員,書学書道史学会会員。平成10年文部省小学校学習指導要領解説国語編作成協力者。

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実技・技能の向上と実技教育研究指導の在り方を学ぶセンターとして,昭和45年に設置された。本学の理念でもあった「研究と実践の融合」を具現化するセンターとして機能し,4分野(音楽教育分野・美術教育分野・体育教育分野・語学〈英語・書写書道〉教育分野)から構成されていた。当初は専任教員が8名という組織であったが,現在は各関連コースからの兼務教員と,各教育分野の協力教員によって運営されている。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 音楽や書写の指導が載っていて役に立ちました。音楽では、鑑賞に使われる語彙をリストに載せていただければありがたいです。
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