- はじめに
- 第1章 AFPYと5つの視点 〜よい授業の条件がAFPYにある〜
- (1)AFPYとは何か
- @ AFPYの概要
- A AFPYの具体とその成果
- (2)なぜAFPYか
- @ AFPYの5つの視点
- (T 安心・安全,U 課題設定,V ルール,W コミュニケーション,X 達成感)
- A AFPYのアクティビティの仕組
- 第2章 授業改善の4つのポイント 〜AFPYを授業と結びつけて考える〜
- (1)「授業規律」で子どもを守る
- (2)「めあて」の質が授業を決める
- (3)「仕掛けて待つ」で授業を仕組む
- (4)「ふりかえり」で授業をとらえなおす
- コラム1 「視点を変えれば,毎日が,AFPYに満ちている」
- コラム2 「授業開きでルールを示す(3つの『つかない』)」
- コラム3 「めあてづくりに悩む(教材研究の大切さ)」
- 第3章 AFPYで変わる子どもたち 〜意欲的で自律的な学習集団をめざして〜
- (1)小学校の活動事例
- @ みんなのつながり合いを感じ合う(小6)
- A グループ内で積極的にコミュニケーションを図る(小5)
- B 偶然に期待し,気軽にふれあう(小6)
- C 一体感や心地よさを感じられるような声かけを考える(小5)
- D 気持ちを一つにすることの大切さを実感する(小6)
- E 意見を出し合い,合意形成を図る(小5)
- F 仲間を支え,受け止めるために大切なことを見つける(小6)
- (2)中学校の活動事例
- @ 失敗から生まれる工夫を実感する(中3)
- A 工夫し,協力して課題を解決する力を伸ばす(中1〜3)
- B 気持ちをそろえて最後までやりきり,達成感を味わう(中1〜3)
- C 課題達成に向け,グループのみんなで解決する(中1〜3)
- (3)小中連携・教職員研修
- @ 小・中学校の交流で中学校生活を味わう・伝える(小6と中1)
- A 年度初めの研修会で教職員のかかわりをつくり,AFPYのよさを体験する(教職員)
- コラム4 「分からなければ聞く子どもたち」
- コラム5 「成長する学習集団(子どもたちのがんばりを認めることの大切さ)」
- 第4章 5つの視点で授業をつくる 〜授業改善への挑戦〜
- (1)小学校の授業事例
- @ つながる心地よさや意義を実感する,朝の会の活用(小全/学活)
- A 単元を貫く課題設定で,子どもの意欲をつなぐ(小1/国語)
- B 思いを聴き合うことで,作品のおもしろさに迫る(小2/国語)
- C 友だちとかかわり合いながら,かけ算の仕組を理解する(小2/算数)
- D 子どもが思わずやりたくなる課題を設定し,達成感を高める(小2/算数)
- E 「めあて」のふりかえりで,自身の成長に気付く(小2/生活)
- F 個の取組と願いを見取り,いかす,座席表の活用(小2/体育)
- G 言葉を置き換えて比べて読むことで,物語を読み深める(小4/国語)
- H 多様な動きをしたくなる場を設定し,もっと楽しい体育学習(小4/体育)
- I 本物の活動を設定することで,意欲を高める(小4/総合)
- J ワークショップ型の話し合い活動を取り入れ,コミュニケーションを活性化する(小4/総合)
- K 一人学びのヒントを与え,じっくり考えさせる(小5/算数)
- L 「う〜ん」とうなるような,価値に迫る問いで心を耕す(小5/道徳)
- M リレー作文でお互いの考え方や感じ方の違いを認め合い,楽しく書く(小6/国語)
- N 一人ひとりの疑問を頼りに,主題に迫る学習課題をつくる(小6/国語)
- O ペアやグループ内での発表の場を取り入れ,安心感を高める(小6/算数)
- P めあてで興味を引き,自然とねらいに迫る学びを仕組む(小6/算数)
- Q ほめる視点を示し,豊かにかかわり合いながら学習を深める(小6/図工)
- (2)中学校の授業事例
- @ 様々な考え方を出し合うことで,学習意欲を高める(中1/数学)
- A 学習プリントを工夫して,『仕掛けて待つ』(中1/美術)
- B 子どもたちのコミュニケーション能力をいかして学びを深める(中2/国語)
- C 基本的な内容をカードゲームで定着させる(中2/理科)
- D 一つの疑問を学級全体の知恵で解決する(中2/理科)
- E 2人組で夢中になって教え合う活動を仕組む(中2/保健体育)
- F 「だれも分からない」から学習を深める(中3/理科)
- G 模型を用いて自然現象を説明する(中3/理科)
- H キーワードをめあてとして,生徒のとらえ方の変容から学びを評価する(中3/美術)
- I 効果的な課題提示で,学び合い,意欲的な学習が展開する(中3/技術)
- J コミュニケーション活動を通して個人の学びの質を高める(中3/英語)
- おわりに
- 編集・研究同人
はじめに
学校現場では,日々様々なことが起こっています。社会問題にもなっている「いじめ」や新しい学力観に基づく「学力向上」等,その対応に追われているのが学校現場の実情ではないでしょうか。しかし,何が大切かというと,『日々の子どもたちの成長を導く』ことです。授業では,各教科で身に付けるべき学力を身に付け,掃除や委員会活動等では,自治的・自主的な生活力を身に付け,行事では,各学校の文化を築き上げるなど,子どもたちのために精一杯の愛情を注ぎ,指導していくことを私たち教師はひたすらに行っています。そのような日常を各学校,各教師が大切にしていくことこそ,子どもたちを大切にしていくことだと思っています。
そのような中,2012年度から2年間,山口市教育委員会では「AFPYによる授業改善」を学校教育における柱として取り組んできました。当初は,様々な『壁』を感じながらのスタートでしたが,少しずつその理解は広がりはじめたと思っています。
また,これまでの取組から「AFPY」は決して特別で新たな活動でも理念でもないということを実感しています。しかし,特別でないということは,価値がないということではありません。極端かもしれませんが,「AFPY」を『普通(日常)』としてとらえていきたいと思っているのです。
山口市が示す「AFPYによる授業改善」は,教え方を示すものではありません。授業の仕組み方に目を向けているものです。授業の仕組を工夫することで,授業改善ができるという考えから,その根本にAFPYの5つの視点を据えたのです。【安心・安全】は,授業の土台とすべきものとして,また,明確な【課題設定】と,学び方としての【ルール】を示し,子どもたちの【コミュニケーション】に期待しながら学習を充実させ,【達成感】のある授業をつくっていきたいのです。
授業は,子どもと教師と教材によってつくられます。教材が子どもと子どもの間に位置したり,子どもと教師の間に位置したりする中で,子どもに考えるきっかけを与えます。つまり,教材をどう示すかということになるのです。子ども同士,子どもと教師の関係の中でより楽しく,分かりやすく,力の付く授業をめざしたいのです。
ただ,忘れてはならないことは,本書の中でもふれますが,授業は教科指導と学級経営や生徒指導をあわせもっているということです。AFPYは,そのことを私たちに教えてくれます。
これが「AFPY」の魅力だと思っています。
2014年1月 /山口市教育委員会
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- 明治図書