- まえがき
- 第1章 理論編 これからの教育におけるAIリテラシーとは?
- AIと教育
- 学習指導要領におけるAI
- 教育におけるAI活用の国際的な流れ
- ELSIとは?
- AIとELSI
- ELSIと教科等横断的な学習
- AIとの向き合い方―これからのAIリテラシー
- 第2章 理論編 生徒にAIとは何かと聞かれたら
- 教員がAIの基礎知識を持つ重要性
- AIが抱える技術的な課題―技術と倫理の壁
- 第3章 理論編 学校でAIを活用する
- 学校でAIを活用するために
- 【Column】根拠を大切にする「NotebookLM」のすすめ
- 生成AIを利用してみる―自身の教科×AIリテラシー
- 学校におけるAI利用のためのルールづくり
- AIを活用することで,学びがどのように変わるか
- 保護者の同意・利用環境の整備
- 第4章 実践編 AIリテラシーを育む授業例
- 1 現代の国語・国語 私たちにとってよい話し合いとは何か
- ―生成AIと共に「理想の話し合い台本」を作る
- 2 言語文化・国語 私たちが言葉を紡ぐ意義はどこにあるのか
- ―生成AIと人間の俳句を比較する
- 3 生物基礎・理科 AIは何をみている?
- ―画像認識ツールを用いた生物の種同定
- 4 公共・公民 クローンvs AIによる故人の復活
- ―「生命とは何か?」を考える
- 5 論理・表現U・英語 印象的なスピーチ冒頭の作成・発表
- ―生成AIと作った言葉を自分の声と身体に乗せて
- 6 英語コミュニケーションU・英語 英文校正と生成AIの批判的活用
- ―読み書きの総合活動としてのプルーフリーディング
- 7 情報T・情報 AIと人間との向き合い方を考える
- ―Teachable Machine実習とAIの社会課題を通して
- 8 情報U・情報 その動画,信じていい?
- ―フェイクに惑わされないために
- 9 総合的な探究の時間 課題探究において自律的に生成AIを活用するために
- ―探究につながる問いづくりの練習から生成AIとの向き合い方を考える
- 参考・関連資料
まえがき
誰もが生成AIを日常的に使えるようになった今,AI(Artificial Intelligence:人工知能)は特別な存在ではなく,身近な科学技術となりました。急速なAI技術の発展と普及は,私たちの日常や社会のあり方を大きく変えようとしています。そしてAIが身近となる時代の到来により,私たちは従来の教育のあり方を再考する必要性を突きつけられているのです。
学校現場もその例外ではなく,文部科学省が生成AIの利活用に関するガイドラインを公表したことで,教員のみならず児童・生徒までもが教室でAIを使用できるようになり,学校教育での活用が期待されています。しかし,「何を」「どのように」学ぶのかが具体的ではない中で,新しい技術を学校現場で使うことに戸惑いを感じる人も多いでしょう。現在の学校現場では児童・生徒の多様化への対応や,探究を重視したカリキュラム・マネジメントの実施など,様々なことが求められる中で,AIを教育現場でどのように活用していくかを考えることは大きな負担となります。
一方,AIが日常となる社会を生きる児童・生徒は,AIについて一体どのようなことを学べばよいのでしょうか。そして,そのような児童・生徒を前に,教員はどのような授業をすることが求められるのでしょうか。そこで,本書では学校現場で育む必要性のある「AIリテラシー」をまとめ,授業の到達点として示すことを試みました。特に,このAIリテラシーは,「AIについて知る」「AIを活用できる」ということだけでなく,AI技術が社会全体に大きな影響を与えることから,AIの持つ倫理的・法的・社会的課題について生徒が自ら考えることができるという点も盛り込みました。さらに,教科等横断的な学びの必要性が指摘されている現状も踏まえ,AIリテラシーを特定の教科等だけで養うのではなく,学校全体で教科等横断的に養うべき能力であると捉えています。つまり,教員が,教科等にかかわらずAIに関する基礎的な知識を身につけ,各教科等でAIリテラシーを養う視点を持った授業実践を行うことが求められていると考えています。
本書は教員がAIリテラシーについて理解し,自らの授業を通して生徒のAIリテラシーを育むことができるよう,AIに関する基礎知識を学ぶための第1章〜第3章と,AIリテラシーを養う授業実践例を紹介する第4章から構成されています。
第1章〜第3章では,AIの登場による教育現場の変化と,技術の普及に伴う倫理的・法的・社会的課題について紹介しています。また,単にAIを使うことだけを目的とせず,多様な観点から生徒がAIについて考えるためのAIリテラシーを示しています。さらに,AIに関する基礎的な内容を理解することによって,授業を行う上で必要な知識を身につけられるような構成となっています。第4章では,AIリテラシーを各教科等の学びでどのように育むことができるかを9つの授業実践で紹介しています。特に,単に一つの教科・科目の授業実践にとどまらず,教科等横断的な学びにつながるよう,複数の教科・科目の視点を盛り込むことを重視しました。
AIリテラシーは国際的にも注目されており,2029年にはOECDが実施するPISAに「メディア・AIリテラシー(MAIL:Media and AI Literacy)」という新しい評価領域を導入することが発表されました。AIリテラシーが国際的な教育評価の舞台でも中心的な能力として位置付けられたことは,今後教育現場におけるAIリテラシーの育成の重要性がますます高まっていることを示しています。
本書の企画は,4名の現職教員が,日々の校務に追われる中で,新しいことにチャレンジしたいという強い思いから誕生しました。また,様々な授業実践を考えるきっかけを与えてくれた各学校の生徒たちや教員の皆様にもこの場を借りて御礼申し上げます。
本書が,教員にとってのAIの学び場となり,授業実践の参考になることを心から願っています。そして,この本をもとにして行われた授業が,AIが日常となるこれからの社会を生き抜く生徒たちの一助となれば幸いです。
2026年7月 /著者一同
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明治図書

















