管理職のための学校経営R‐PDCA
内発的な改善力を高めるマネジメントサイクル

管理職のための学校経営R‐PDCA内発的な改善力を高めるマネジメントサイクル

新刊

BEST300

実態⇒課題⇒実践のサイクルが、チームを劇的に強くする!

「みんながんばっている」のに学校が変わらない…教育課題が複雑化し、時にはブラックとされることもある学校。本書はそのような状況を改善し、「組織的な」学校運営を実現するために、子供の実態探究にもとづくマネジメントサイクルを豊富な具体例とともに解説します。


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ISBN:
978-4-18-112910-1
ジャンル:
学校経営
刊行:
対象:
小・中・高
仕様:
四六判 176頁
状態:
在庫あり
出荷:
2019年5月22日
新学習指導要領解説書籍
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Contents

もくじの詳細表示

はじめに:チームとしての学校をつくるために
第T部 「チームで」がうまくいかない原因を探る:個業型組織としての学校
第1章 「みんながんばっている」のに学校が変わらないのはなぜ?
1 「組織的な」対応とは?
「学校の荒れ」への対応事例から検討する
事例 みんながんばっているのに
「組織的な」対応とは何か考える
2 「エースで乗り切る」が常套手段となっている?
問題対応型―個人の力で乗り切る
課題探究型―子供の姿の背景から見なおす
第2章 「組織」として学校をながめてみよう
1 一般的な組織の特徴とは?
「組織構造論」から学校の組織を考える
2 学校の組織の特徴とは?
一般的な組織の姿・形と対比して学校の特徴を整理する
学校のエピソードから教職の特徴、専門性と組織を学ぶ
事例 繰り上がり計算で大議論
3 学校はバラバラになることが当たり前の組織?
各担任まかせになりがちな傾向を理解する
いじめ調査報告書をもとに、個業型組織の困難さを捉える
第U部 子供の実態探究から学校改善にアクションする:共創ビジョンとR-PDCA
第1章 教育活動の特質と学校のマネジメント
1 どのような学校づくりを目指したらいい?
「教育活動の組織的な改善を促す」学校へと変える
「組織性」「教員の自律性」の2つを両立させる
「未完のプロジェクト」として探究と実践を繰り返していく
2 学校ビジョンとは?
大切に思う内容、実現したいと思える内容をビジョンにもつ
育てるべき子供(人間)の姿を明らかにする
学校ビジョンを北極星とロケットの組み合わせとして構成する
第2章 共創ビジョンとR-PDCAサイクルの作成
1 まず学校のプランニングをどうすすめたらいい?
児童・生徒の実態の整理と共有(実態認識)から着手する
2 ビジョンはどのようにしてつくればいい?
3 共創ビジョン作成の方法とは?
作成のために4つの段階をふむ
子供の実態を確認する
実態の背後にある要因を探究する
「根っこの課題」から「育成課題」を設定する
「育成課題」から「実践課題」へ転換する
いったん設定された「実践課題」を見なおす
ビジョンシートを使う
4 ビジョンの具体的な作成手順と展開例とは?
ビジョンを協働してつくる
ビジョン作成の事例から作成手順を理解する
事例 子供の実態からビジョンをつくるプロセス
実践ポイントをふまえてビジョンを作成する
5 年間をとおした展開イメージとは?
第V部 組織のビジョンと教員のサイクルが元気な学校をつくる:実践例と概念モデル
第1章 ビジョンを共有した実践の交流
1 学校課題を明確にした後、どう実行する?
実践を個人がふりかえるツール:ミニレポートを使用する
実践を交流・共有する場:実践交流会をつくる
2 実践交流型研修の留意点は?
第2章 個人の学びと組織の学びの連環
1 大きなサイクル(組織)と小さなサイクル(個人)をどう回す?
実践の具体からビジョンを見なおす
事例 共創ビジョンと実践交流で変わる学校
2 実践交流型研修の意味と効果とは?
実践交流型研修を通して、新たな気づきを共有する
事例 自主学習ノートのねらいの見なおし
実践交流型研修を通して、実践的知識を共有する
事例 実践的知識の交流
実践交流型研修を通して、教員の学び、教員が育つ学校をつくる
3 共創ビジョンをどのように検証・評価する?
年度末に教員が当事者意識をもって努力、成果をふりかえる
ビジョンシートを基準に「育成課題」と「実践課題」をふりかえる
第3章 本書のまとめと理論的な背景
1 学校組織の課題とは?
2 どのような学校づくりをねらいとするか?
3 学校の組織化に関するプロセスモデルとは?
4 共創ビジョンの作成と実践を支える組織体制と運用とは?
5 理論構築のための実践研究にはどのようなものがある?

はじめに

  チームとしての学校をつくるために


 学校が組織的に教育活動やその改善に取り組むことの必要性については、これまでからもたびたび指摘されている。

 例えば、平成27年12月21日に公表された中央教育審議会「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」では、チームとしての学校の体制整備が求められる背景を、次のように述べている。


 (略)しかし、子供たちが今後、変化の激しい社会の中で生きていくためには、時代の変化に対応して、子供たちに様々な力を身に付けさせることが求められており、これからもたゆまぬ教育水準の向上が必要である。そのためには、教育課程の改善のみならず、それを実現する学校の体制整備が不可欠である


としつつ、他方では、学校の教育課題が複雑化し、学校や教員だけでは解決困難な課題も増えていると指摘している。

 そして、


 以上のような状況に対応していくためには、個々の教員が個別に教育活動に取り組むのではなく、校長のリーダーシップの下、学校のマネジメントを強化し、組織として教育活動に取り組む体制を創り上げるとともに、必要な指導体制を整備することが必要である。その上で、生徒指導や特別支援教育等を充実していくために、学校や教員が心理や福祉等の専門家(専門スタッフ)や専門機関と連携・分担する体制を整備

し、学校の機能を強化していくことが重要である(傍線筆者)


と述べているのである(答申3頁)。

 この答申では、今後の教育水準の維持向上ならびに複雑化する教育課題に取り組むためには、教員が個々に教育活動に取り組むのではなく、まず学校において組織として教育活動に取り組む体制をつくるとともに、その上で、専門家や外部機関との連携・分担関係を整え、全体として学校の機能強化を実現すべきという方向性が示されている。

 また、 平成16年12月20日に公表された中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育行財政部会「学校の組織運営に関する作業部会」の審議のまとめでは、次のように指摘している(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1382417.htm)。


 それとともに、学校の自主性、自律性を確立するためには、校長のリーダーシップのもと、教職員が一致協力し、組織的、機動的な学校運営が行われなければならない。このような観点から、学校の組織運営の在り方について検討する必要があると考える。(傍線筆者)


 このように、学校の組織運営や組織体制整備の在り方として、「組織的」ないし「組織として」取り組むことが強く求められている状況にあることは明らかである。個々の教員が個別に教育活動に取り組むことでは、学校としてそれぞれの子供にしっかりとした学力や社会性を培うことは難しいことは当然である。

 ところで、呪文のように繰りかえされている「組織的」に教育活動に取り組むとは、どのようなことをいうのだろうか?

 それは、団体競技のように教員が一糸乱れず同様の取組をする学校をいうのだろうか?また、管理職の指示が末端までとおりその意思にしたがって動く学校のことをいうのだろうか?

 「組織的」という言葉で示される学校の在り方を、抽象的な文言のレベルで思考を停止させるのではなく、「学校で」組織的に取り組むこととはどのようなことなのかを考えることが必要なのではないだろうか。

 学校には、組織マネジメントの考え方や手法の導入がすすめられ、今や学校管理職の研修の重要な柱となっている。PDCAというマネジメントサイクルは、大半の学校管理職がその言葉を知るところとなっている。また、学校のなかにはPDCAという文言が溢れている。しかし、それによって学校の教育活動の質的向上が実現しているのだろうか? またそれは、教員の携わる教育活動とどう接合しうるのだろうか? PDCAという観念から教育活動を整序化するという発想だけでなく、学校や教育活動の特性をふまえて、教員が心をあわせて、協力しあいながら、教育活動とその改善に取り組む学校づくりのためのマネジメントサイクルを探究し、構想することが必要なのではないだろうか?

 教育課題が複雑化している現状において、ブラックな職場ともいわれることもある学校を、教職の誇りと手ごたえをもって、教員が一人ひとりの子供に向きあい、実践を探究することができる場とするには、どうすればよいのだろうか? 教員の献身的な努力としてなされている教育実践が、意に反して抱え込みとなってしまい、教員の孤立と閉塞を強めてしまう学校ではなく、実践をとおして教員がつながりを紡ぎあい、教育実践をともにすすめていくことのできる学校づくりは、いかにして可能なのだろうか?


 私は、仕事のなかで様々な学校とおつきあいしてきた。学校の様子を知るにつれ、学校の現状は、文献で知ることのできる範囲を越えたものであることを痛感してきた。時には、教員の努力にもかかわらず子供の状況が好転せず、そのなかで何ら力になりえない自分に対して情けなく感じることもあった。また、学校で先生方と一緒に活動をするなかで、困難な子供の状況に向きあい、教員がみずからの実践を問いなおし、協力し支えあって教育活動の改善に取り組んでおられる姿に心を動かされたことも少なくなかった。学校を知るにつけ、学校こそが、子供の成長と発達を大きく左右する場であることは言うに及ばず、人間に対する信頼を培い、地域や社会の安定を支え築いていく拠点として、まさにわが国の基幹的インフラであることを実感させられることもたびたびあった。


 私は、鳴門教育大学で各地から派遣されてきた現職教員院生とともに実践研究をすすめる機会に恵まれてきた。そこでは、学校の教育活動としてのまとまり、つながりをつくるとともに、教員が主体的・自律的に教育活動に取り組むことのできる学校づくりについて、大学での同僚や院生と議論を重ね、考え方と方法論を開発してきた(「元気のでる学校づくり」の理論と実践)。その成果にもとづいて、各地の管理職研修などで講演や指導をさせていただいたが、とくに私たちの考え方や方法論に関心をもっていただいた高知県教育センターでは、学校コンサル事業として、実践展開に活用していただいた。そのなかで、垣内守男先生をはじめ、高知県教育センターや、学校コンサル事業でかかわった学校の先生方に、実に多くのことを教えていただいた。あらためて、謝意を表したい。

 本書は、上のような問題意識と、実践的な研究開発の知見にもとづいて、学校が組織的に教育活動やその改善に取り組むこととはどのような学校づくりによって可能になるのかを、できるだけ具体的に記そうとしたものである。


  /佐古 秀一

著者紹介

佐古 秀一(さこ ひでかず)著書を検索»

国立大学法人鳴門教育大学理事・副学長

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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