- 序章
- 発刊に寄せて
- T 言語力が生きて働く上北の総合的な学習
- 一 地域ぐるみで育む「上北教育」
- 1 「上北教育」とは
- 2 上北教育を支える風土
- 3 上北教育がめざすもの
- 4 「上北二十一世紀を拓く会」を核に
- 二 総合的な学習「海と大地に生きる」
- 1 「海と大地に生きる」とは
- 2 「言語の力」が支える「海と大地に生きる」
- U 総合的な学習に言語の基礎力が働く
- 【低学年】海でみつけたたからもの
- ―口形・発音に注意してはっきりと保育園の友達に伝えよう―
- 【中学年】大好きな上北の海の魅力を伝え合おう
- ―海が育む小さな詩人・五感を駆使してビリビリ語で表現―
- 【高学年】森で学ぶ生き生き生活術
- ―辞書やインターネットを駆使して情報を収集―
- V 総合的な学習に言語の基本的な能力が働く
- 【低学年】さすがじいちゃん「たくさんかんちょがとれたよ」
- ―相手や目的を考えて、喜びとお礼の手紙を順序よく書こう―
- 【低学年】とろろが変身! ところてん絵巻
- ―ところてんの作り方を順序に気をつけてまとめる―
- 【中学年】大地に優しい有機肥料の作り方を探る
- ―地域の方へのインタビューを通して―
- 【中学年】舞い上がれ 上北の凧
- ―凧の作り方ならおまかせ(順序と要点を生かして)―
- 【高学年】地球を守るマイベストスキル
- ―パネルディベートで自分の考えを効果的に伝える―
- 【高学年】漁師さんの秘伝の技を伝授
- ―対話で秘伝の技を探る―
- W 総合的な学習に言語の統合発信力が働く
- 【低学年】わんぱく探検隊 大好きな上北をカルタで紹介
- ―発見した上北の魅力を感性豊かな言葉で綴ったカルタで発信―
- 【低学年】上北の自慢を大図鑑で紹介しよう
- ―上北の自慢(人・自然や遊び・行事・食べ物)を順序よくまとめ、図鑑にする―
- 【中学年】私たちの手で海を大切にしよう
- ―五六〇〇戸新聞大作戦―
- 【中学年】お年寄りの暮らしの知恵に学ぼう
- ―伝えたいことの中心を明確にしパンフレットで発信―
- 【高学年】地引き網のできる海をいつまでも
- ―群読に願いを託して―
- 【高学年】高齢者の安心する上北づくりをめざして
- ―役場の方と上北の現状を話し合う―
- あとがき
序章
激動の二十世紀が終わり、人権の二十一世紀が始まった。
社会が加速度的に変化している中、不易なるものとして「人の心」がある。しかし、「人の心」が不易なるものであっても、人がその獲得と豊饒に努めない限り人から遊離していくものである。不易なる「人の心」は一人一人が残していく努力を必要とするものである。
大矢野町においては「海感みらい・大矢野町」をスローガンに、人材育成を基調とした「輝きあうまちづくりプラン21」を掲げ、「郷土愛に満ちた心身ともに豊かで調和のとれた人間の育成をはかり、活力ある町づくり」を推進している。「輝きあうまちづくりプラン21」は「自然共生プラン、健康福祉プラン、快適安全プラン、文化交流プラン、活力創造プラン、交通情報プラン、共創共働プラン」の七つのプランで構成されている。
大矢野町教育委員会ではこのプランを受け、「町の子供は町全体で育てよう」を合い言葉に、教育努力目標「学校間及び学校と家庭・地域との連携を図り、たくましく生きる力を持った児童生徒の育成と特色ある学校づくりに努め、豊かな教育環境の充実を目指す。」を掲げ、町内七小学校、三中学校に地元の県立高等学校とも連携し教育の活性化に取り組んでいる。
中でも、平成八年度からは町教育委員会に教育審議員の職を新たに設置し、学校教育の更なる推進に努めている。三年計画で示される教育活性化全体構想では、「学校・家庭・地域が一体となり、二十一世紀を担う大矢野町の子供を育てる」という共通認識の下に三つの柱を打ち出している。
【一】響きあうあいさつ→学校で、家庭で、町中で明るい元気なあいさつができる子供の育成
(例)「おはようございます」という心のこもったあいさつに、一言言葉を添えながら町全体にコミュニケーションを広める。
【二】輝く汗→地域の人を知り、町を好きになり、郷土を誇りにする子供の育成
(例)独居老人への友愛訪問を通して優しく心のこもった言葉かけを行い、相互の思いを伝え合うと共に理解を深める。
【三】輝くひとみ→保小中高校の交流の推進により、自ら学ぶ力を持ち、持てる力を最大に発揮する子供の育成
(例)町子供サミットを開催し、子供同士の話し合いや連携活動を進め、町の一員としての自覚を培うと共に、みんなで町を創り上げるという意識を育てる。
この三つの柱で示されていることはすべて、自分の思いを人に伝えると共にお互いの思いを理解しあうことから始まるものであり、今回の学習指導要領の改訂で強調されているコミュニケーション能力の育成に直結していると考えることができる。
さらに、平成十二年度から特色ある学校づくりのための構想として「足もとを大切にした教育、我が大矢野を誇りとする教育」を掲げ、町内の各小中学校が取り組んでいる分野を教育委員会が一校ごとに指定するという形をとり、積極的に支援し、ひいては特色ある教育の町づくりの方向で進められている。
このように、町が全体として子供たちを守り育て、郷土を愛する人材の育成に力を入れている。
これらの第一線に立つ学校は地域の核となり、特色ある学校づくり、特色ある地域づくりに力を入れていきたい。
/佐々木 洋助
-
- 明治図書