- はじめに
- T 総合表現型カリキュラムのデザイン
- /田中 博之
- 1 21世紀になぜ総合表現が必要なのか
- 2 子どもを表現者にする総合的な学習
- 3 単元の基本モデルと典型的な活動
- 4 実践スキルの評価ポイント
- U 子どもをイベントプロデューサーにする総合的な学習
- /池田 明
- 1 子どもたちをイベントプロデューサーにしよう
- 2 なぜ子どもたちにプロデューサーさせるのか―支援のポイント
- 3 企画実践型カリキュラムの評価を工夫する
- V イベントプロデュースの達人を育てる実践事例(小学校編)
- A 心のランチルーム・食
- ――健康 /池田 知之
- 1 「テーマは食!」
- 2 子どもにつけさせたい力とは
- 3 学習展開案
- 4 「うまいもの」とはなんだ!
- 5 うずらたまご騒動
- 6 そして,2学期…心のランチルーム
- 7 始まりは,料理会から
- 8 学習展開案
- 9 ランチルームが見えてきた
- 10 「本物」との出会い
- 11 グループの活動の様子
- 12 そしてMくんは
- B 「21世紀へのおくりもの」―エコ・フェスタ'99 /生嶋 隆宏
- 1 はじめに
- 2 21世紀へのおくりもの―4年生の子どもにつくらせたい
- 3 「西淡路エコ・プロジェクト」
- 4 リサイクルに挑戦
- 5 「エコ・フェスタ'99」に向けて
- 6 いよいよ「エコ・フェスタ'99」に日がやってきた
- 7 実践を終えて
- 8 学校・家庭・地域の三位一体の支援活動
- 9 おわりに
- C インドフェスティバルをひらこう ―カレーは本当にカレーか?
- ―国際・情報 /浅香 一世
- 1 子どもたちにつけたい力
- 2 単元構想のアイデア
- 3 地域を生かす工夫
- 4 子どもたちの活動の流れ
- 5 評価とこれからの課題
- D 「ぼらぷろ」を横浜から発信しよう―瑠璃色の地球を守るために行動した2年間の取り組み
- ―環境・情報 /高木 信之
- 1 年間テーマについて
- 2 ボラプロ活動のスタート(5年生での実践)
- 3 6年生での学習構想(6年生での年間テーマ設定にあたって)
- 4 6年生での主題構想(2つのロングプロジェクト)
- 5 ぼらぷろ活動プロセス(6年生での実践)
- 6 ぼらぷろ活動のゴール(6年生での実践)
- 7 課題と評価
- W イベントプロデューサーの達人を育てる実践事例(中学校編)
- A 「とびだせEnglish!!」
- ―国際 /富田 孝司
- 1 はじめに
- 2 子どもたちにつけたい力
- 3 単元構想のアイデア
- 4 地域そして保護者との連携
- 5 子どもたちの活動の流れ
- 6 成果とこれからの課題
- B 「福祉と人間」
- ―福祉 /長沢 郁夫
- 1 はじめに
- 2 子どもたちにつけたい力
- 3 単元構想のねらいとアイデア
- 4 子どもたちの活動のながれ
- 5 学習の成果と課題
- 6 おわりに
- C 「絵本をつくろう課!」
- ―保育 /緒方 信行
- 1 はじめに
- 2 子どもたちにつけたい5つの力
- 3 単元構想のアイデア
- 4 地域を生かす工夫
- 5 子どもたちの活動の流れ
- 6 評価とこれからの課題
- X 実践事例の評価と課題
- /田中 博之
- 1 小学校コメント
- 2 中学校コメント
はじめに
人間のすべての行為は,目的を持った企画立案から始まる。達成したい目標が大きいほど,そしてそのためのプロジェクトに関わる人が多くなるほど,明確なビジョンと具体的な実現方法を備えた企画が必要になってくる。
21世紀社会はまさにプロジェクト型社会と呼ばれる。プロジェクトとは,決められた期間内に限られた予算を用いて,ある共通の目標の達成のために,異なる多様な能力を持つ人々がティームを構成して取り組む共同作業のことである。このような特徴を持つことから,プロジェクトは,柔軟な集団編成によって,多様な能力を総合的に発揮しながら現代社会の問題を短期的に解決することを得意としている。
しかしながら,わが国の学校教育が得意としてきた教科学力は,このようなダイナミックな問題解決力であるよりは,人類の知的遺産という確立された固定的な知識を習得することであった。
そこで,21世紀型の新しい基礎学力として,あるいは,国際標準学力の一つとして,21世紀を生き抜くすべての子どもたちに,このプロジェクト方式による企画実践力を身につけさせることが緊急の課題になっているのである。
もちろん大切なことは,企画を立てるだけではない。企画を実際に実践に移す力や,企画を実践した状況を客観的に自己評価する力も含まれる。さらに,実践化の段階では,多様な実践スキルとしてすでに定義した項目の中でも,特に,コミュニケーション能力や人間関係力,そしてそれ以外にも,トラブル解決能力や対外的交渉能力等も必要になる。
新しい企画は,多くの人々をそして人類をより幸福にするために立案されるものである。21世紀社会をよりよくしていくために,そして常に社会を活力あふれる創造と改革の場にし続けるために,豊かで先進的な企画立案力をそなえた市民の育成が必要である。
いいかえれば,この企画実践力は,門脇厚司氏が提案する「社会力」にも通じる力である。門脇氏によれば,社会力とは,「社会を作り,作った社会を運営しつつ,その社会を絶えず作り変えていくために必要な資質や能力」であるという(『子どもの社会力』岩波新書,1999年)。社会の通念や制度は固定的なものであるという常識をくつがえし,新たな標準と規範を作り出すために,社会への啓蒙とチャレンジとしての企画実践は,これから変動する21世紀社会で不可欠の能力となるのである。
その意味で,この企画実践型の総合的な学習は,第4巻で提案した社会参加型の総合的な学習と共通するところが多い。
企画実践型の総合的な学習は,シンポジウムやフェスティバル等のイベントや,町づくりや商店経営などのプロジェクトの実践を通して,子どもたちを豊かな起業家やプロデューサーにすることをねらいとしている。そこで身につけた豊かな企画実践力は,21世紀社会のあらゆる場面で,プロジェクトを企画・運用・評価するときに,必ず大きな自己アピールの道具になるだろう。
以上のような問題意識にもとづいて,この第5巻では,企画実践型の総合的な学習を実施するためのカリキュラム構成について具体的に提案することをねらいとしている。
さて,本書の構成は,次のようになっている。
まず,第T章では,編者が,企画実践のねらいや教育目標,実践にあたっての考え方などを,理論的に考察している。
そして,第U章では,わが国で企画実践型の学習を教育に取り入れるための優れた実践研究をしておられる大阪市立扇町総合高等学校の池田明先生に,理論と実践をつなげながら,企画実践型の活動を導入するためのポイントを解説していただいた。
第V,W章では,小学校と中学校において優れた実践をしておられる全国の先生方に,企画実践型の総合的な学習の実践事例についてのレポートをお願いした。どの実践も,調査研究型の実践事例が多い中で,企画実践というこれからの総合的な学習の新しい方向性を力強く提案していただくことができた。心から感謝している。
最後に第X章では,第V,W章の7つの実践事例について,編者のコメントをのせている。いくつかの実践を比較したり,実践報告には必ずしも書かれていないそれぞれの実践の特徴やメリットを,できるだけわかりやすく解説してみることにした。ここから,総合的な学習における授業づくりや,子どもを見る視点を読み取っていただければと願っている。
さて,編者と共にこの18年間にわたって,常に新しいアイデアとたくましい実行力で,総合的な学習のカリキュラム開発の最前線を切り開いてくださった共同研究者の先生方に,深く感謝したいと思う。日本の子どもたちを幸せにして,子どもの教育を通して新しい日本の創造に貢献しているのは,まさに本書で実践事例を提案してくださった先生方なのである。
最後になったが,編者の執筆の大幅な遅れにも拘わらず,編者らのこのような真摯な取り組みに注目して,研究成果の公開をこのような全6巻という大きな講座で行うことを勧めてくださった明治図書企画開発部の江部満さんには,心から最大級の感謝の意をお伝えしたいと思う。
21世紀の学校改革が本講座から始まることを切に願っている。
編者 /田中 博之
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明治図書
















