21世紀の学校づくり2
個性を育てる開かれた学校づくり
環境にやさしいエコスクールからの発信

21世紀の学校づくり2個性を育てる開かれた学校づくり環境にやさしいエコスクールからの発信

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21世紀型の校舎が建つ入間川小は、開かれた学校づくりをめざし学校を公開し、学年オープン授業、基礎・基本を定着させるフォローアップ学習などを豊かに展開している。


復刊時予価: 2,673円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-110701-9
ジャンル:
学校経営
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 176頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに 中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志
刊行によせて 狭山市教育委員会教育長 /野村 甚三郎
歴史と伝統を受け継ぐ入間川教育 狭山市立入間川小学校長 /門倉 節明
T 地域に開かれた入間川教育
一 開かれた学校づくり
1 開かれた学校とは
2 いつでも学校へ(学校公開)
3 学校協議会から学校評議員会へ
二 探せば見つかるスペシャリスト
1 地域のスペシャリストを招いて(四年 総合的な学習の時間)
2 博物館の専門家と授業(六年)
三 ボランティア制度の立ち上げ、運営
1 ボランティア制度の立ち上げまでの手順
2 ボランティア制度の運営(活動分野と活動状況)
3 ボランティアの支援を広げるポイント
四 幼稚園児とともに
U 教育活動を開くシステム
一 学校中の子をみんなで育てる
1 学年チーム、学年経営案は学年担任全員で
2 問題は抱え込まずオープンに
3 誰もが、どの学級でも(集団行動・授業における確認事項)
二 学習形態の工夫で教育活動を開く 《学年オープン指導》
1 課題別学習の例(三年 算数『重さ』)
2 興味関心別自由進度学習の例(四年 算数『いろいろな四角形』)
3 表現方法別学習の例(五年 社会『水産業のさかんな地域』)
4 興味関心別課題解決的学習の例(六年 算数『立体の表面積と体積』)
三 オープンスペースは、学級の枠を超える
V 個性を育てる学年オープン指導の実際
一 国語科での実践(五年『雪わたり』)
二 図画工作科での実践(一年『とばしてあそぼう』)
三 生活科での実践(二年『きらキラランドでたのしくあそぼう』)
W 基礎基本を定着させるフォローアップ学習
一 フォローアップ学習とは
二 コミュニケーション
三 算数基礎学習
四 基礎体験
五 月例テスト
X 表現力を高める音読群読発表会
一 学校全体での発表会の企画
二 みんなで作り上げた「じゅげむ」の発表(四年生の発表事例)
三 群読を生かした六年生を送る会
Y 校舎から始まる環境学習
一 学校の中は、環境学習グッズ盛りだくさん
二 エコロジーミニ学習の展開(足元から実践)
三 エコスクールの環境学習
Z 個性をはぐくむ体育学習
一 逆上がりは体育のかけざん九九 鉄棒は校技
二 成就感を味わわせる鉄棒の指導
三 鉄棒の授業の実際
[ 多様な学習活動を可能にする校舎建築
一 自由な発想をはぐくむ曲線を生かした空間
二 学びが広がるオープンスペース
三 表現の喜び・楽しみが増えるホール、講堂
\ 地域とともに歩む学校
一 生涯学習の発信基地としての学校
二 地域の教育力を招き入れたPTA行事
三 地域活動の促進が学校週五日制を支える
私の入間川小学校(あとがきにかえて) 元狭山市立入間川小学校校長 /塩原 勇
執筆者及び研究同人一覧

はじめに―世紀の教育を拓く入間川小学校

    ――「生きる力」を育む教育理論の構築と実践的展開――


 教育の究極のねらいは「一人ひとりの子どもの幸せ」を実現することであると思います。情報化が進み、価値観が多様化していく時代に、豊かな心と強固な意志力、そして逞しい行動力を備えた、新世紀を主体的・創造的に生き抜く子どもを育てる学校づくりが求められています。「生きる力」とは、価値ある目標に向かって自己実現を図り、個性・特性を発揮し、社会に貢献していく人間的能力であります。特に、他と協力・協調していく人間関係力は、相互信頼の精神が希薄になった現代には、人間が人間として生きるためにも不可欠の条件です。

 入間川小学校は、子ども達の幸せをねがい、学校を愛する保護者の皆さんと、高い教育力・奉仕の精神に富むPTAや地域の絶大な協力・連携で、 世紀の教育を拓く先進的な学校づくりに多大の実績を収めています。

 ○  世紀型の校舎「エコスクール」から、価値ある情報を全国に向けて発信

 入間川にその姿を映すように建つ校舎の屋上からは、秩父連山や富士山の雄姿が遠望できます。眼下には、近代的な建築の中にも落ちついた住宅、杜と四季の草花が調和した川堤がある風光佳麗な教育環境に恵まれています。冷暖房・照明の消費電力は、屋上に設置されたソーラーパネルによる太陽光発電であり、庭のビオトープの水を循環させる電力は、風力発電の利用となっています。雨水は地下に貯留し、スプリンクラーを使って校庭への散水に使われています。まさに「太陽熱・光と風と水と景観」併せて「絶好の自然」と子ども達が共生できる教育施設です。

 本校では「器にふさわしい教育活動を……」をモットーに、「生きる力」を育む学校教育理念・理論を基盤に、遠大な構想を描き、具体的な活動を展開しているのです。

 ○ 教育を育む、哲学・文化・伝統の継承と新世紀を拓く実践的研究

 入間川小学校は、古い歴史と伝統があり、先哲・先達が築いた高い教育理念や確たる指導理論があります。しかも「不易と流行」「温故知新」の精神で一貫した、歴代の先生方の質的に高く具体的な実践が積み重ねられてきています。「授業研究を軸にした校内研修、校内研修を軸にした学校経営」の集積は、全国に類をみない学校教育であると信じています。「生きる力」を育むために、「気づき」「考え」「表現する」の自己実現過程で、学習者主体、表現・行動主体の授業創造を開発しています。「フォローアップ学習での伝え合い活動」では、ボランティアの協力で、ディベート・インタビュー…などで、現代に最も重要とされる心と心を結ぶコミュニケーションスキルを身につけ、人間関係力を高めているのです。また、読書まつり、校内音読・群読発表会も、本校の伝統となっており、言語力の獲得は勿論名作や詩と出会う機会を多くして、日本の文化・文学を朗々と堂々と暗唱することによって、学力向上や心の教育に著しい効果をあげています。

 昭和 年、南国種子島から本校に転勤した私も、入間川小学校から多くの恩恵をいただいています。校内研修の厳しさや、先輩の温かいご指導、同僚との強い絆、保護者の皆様の厚い人情に支えられたことは、生涯忘れられない思い出です。このように、入間川の教育の土壌・環境は、豊かで奥行きがあるのです。この地に育つ子ども達は、素直で明るく無限の内発力・可能性を秘めています。故郷の山河と豊かな入間川の自然が重なり、入間川で子ども達とよく遊びました。「入間川流れて海に入る如く貫き徹せ若き志望を…」の愛語を当時担任した子ども達と別れるときに贈りました。すべての卒業生は自己実現を図り、社会に貢献し、母校への愛校心をいつまでも持ち続けているのです。入間川小学校に学ぶ子ども達が、恵まれた自然環境、充実した教育施設の中で志を高く抱いて、 世紀に翔いていくことを心から願っています。


   中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志

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