AI時代の個別最適な学びと協働的な学びをつくる教育DX活用ガイド

AI時代の個別最適な学びと協働的な学びをつくる教育DX活用ガイド

近日刊行予定

教師主導からコーディネーターへ!転換のためのヒントがわかる

生成型AIが加速度的に普及していく中、今後の教育に求められるのは「自立した学習者」の育成。本書では、教師がどのように支援し介入することで、個別最適な学び、協働的な学びを実現していくのか、小学校の実践をもとに読み解いていきます。


紙版価格: 2,420円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: 未販売

電子化リクエスト受付中

電子書籍化リクエスト

ボタンを押すと電子化リクエストが送信できます。リクエストは弊社での電子化検討及び著者交渉の際に活用させていただきます。

ISBN:
978-4-18-109320-4
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 120頁
状態:
近日刊行
出荷:
2025年8月29日

Contents

もくじの詳細表示

はじめに
Chapter1 AI時代の教育DX
教育DXとは
1 教育DXを推進する必要性
2 教育におけるデジタル化の推進
3 DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは
4 ICT活用のモデル化
5 AI時代に必要となる資質・能力とは
教育の情報化の流れ
1 情報通信社会への対応の必要性
2 教育の情報化とは
3 教育の情報化の経緯
4 教員のICT活用指導力
令和の日本型学校教育
1 令和の学校が目指す学びの姿とは
2 令和の日本型学校教育とは
3 これからの教育課題と教育課程の方向性について
Chapter2 個別最適な学びと自己調整学習
個別最適な学びの視点
1 個に応じた指導から個別最適な学びへ
2 個別最適な学び
3 学習過程から見た個別最適な学び
4 個別最適な学びとICT活用
5 自己調整学習の視点
6 自由進度学習
個別最適な学びと教師の支援・介入
1 子供のハテナを誘発する魅力ある課題設定・教材化
2 見通しを持ち,粘り強く単元を見通した学習計画
3 振り返りの共有化・継続化の事例
4 「孤独化・孤立化させない」ための学びをつなぐ声かけや支援
個別最適な学びの実践
実践事例1 学習プランニングシート(第6学年 国語)
実践事例2 学習計画表(第4学年 体育)
実践事例3 学習履歴(スタディログ)の活用
実践事例4 自己選択・自己決定と複線型授業(第6学年 理科)
実践事例5 自己選択・自己決定と複線型の形態(第5学年 社会)
Chapter3 協働学習とクラウド活用
協働学習とは
1 協働学習の変遷
2 主体的・対話的で深い学び
3 個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実として
クラウドの利活用
1 クラウド活用の特徴
2 他者参照
ICTを活用した協働学習
1 発表や話合い
2 協働での意見整理
3 協働制作
4 学校の壁を越えた学習
クラウドを活用した実践
実践事例1 相互参照とチェックシートの活用(第4学年 国語)
実践事例2 フローチャートをクラウド上で共有する活動(第5学年 学級活動)
実践事例3 アンケート機能を用いた意見の可視化(第2学年 学級活動)
実践事例4 他者参照から発表場面へ(第2学年 算数)
実践事例5 思考ツールを共有する学習活動(第6学年 国語)
実践事例6 実物と情報端末を使った発表(第2学年 生活)
Chapter4 探究のSTEAM化
探究学習とプロジェクト型学習
1 探究的な学びの過程
2 プロジェクト学習とは
3 探究的な学びとICT活用
探究のSTEAM化
1 学びのSTEAM化
STEAM化の実践
実践事例1 プロジェクションマッピング(第6学年 図画工作)
実践事例2 スタートアップにチャレンジ(第6学年 総合的な学習の時間)
実践事例3 プログラミング・Web会議等を自己選択する学び(第4学年 総合的な学習の時間)
実践事例4 VRを用いた観察活動(第5学年 理科)
実践事例5 STEAM教育のカリキュラム開発
Chapter5 AIの教育利用の未来
AIの教育利用の方向性
識別型AIの教育利用
1 識別型AIとは
2 識別型AIの利用イメージ
生成型AIの教育利用
1 教師が,授業で生成型AIをどのように活用できるか
2 教師の活用場面
3 活用上のポイント
4 教師の活用とプロンプト
さいごに
事例提供者一覧

はじめに

 少子化・高齢化がより一層進み,生成型AIが加速度的に普及していく中で,今後の先行きが明確に見通せない時代を子供たちは生き抜いていくことになります。これからの我が国を担う子供たちにとって,変化が激しい社会の中で生きることになります。何が正解かがわからない時代において,課題解決に向けて,主体的に学び続け,自ら行動できる力を身に付けることの重要性が増しています。異なる価値観や考え方を持つ人と協働的に関わり,協働で課題を発見・解決できる持続可能な社会の創り手を育てる必要性が高まってきています。

 生成型AIなどの新たなテクノロジーは,加速度的に進展しており,変化に伴う困難や負担が生じている一方で,多くの人々に新たな可能性に挑戦できる機会を生み出してくれます。自然や資源を他国に依存している我が国では,新たなテクノロジーの有効活用によって,全ての子供が多様で豊かな可能性を開花できると考えられます。

 このように,社会が大きく変化していく中で,今後子供たちの学びは確実に変化しています。これまでのような,教師が主導して子供たちを牽引するやり方だけでは十分でありません。これまでの学校や教室,授業での「常識」にとらわれず,新しい発想や多様な考え方を取り入れていかなければなりません。

 探究的な学びやSTEAM教育といった,子供たちの興味や関心を中心にして,子供や教師がワクワクする学びを進めていくことも期待されています。文理や教科の枠を越えた新たな学びを通じて,オーセンティック(真正)な学びでの課題解決を通して,子供たちの創造性を高めていく教育が求められています。

 まずは,教師主導の授業から学習者主体の授業に転換していく必要があります。その具体的な方向性として,「令和の日本型学校教育」の姿として提示されている,「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」が挙げられます。個別最適な学びでは,児童生徒が自己調整しながら学習を進めていくことができるよう指導することが重要です。また,協働的な学びでは,時間的・空間的な制約を超えて,今までにない方法で,多様な人たちと協働しながら学習できるように支援することが求められます。そして,個別最適な学びと協働的な学びを一体的に捉えていくことも必要です。

 これからの社会を見据えて,児童生徒に必要となる資質・能力の育成に向けて,改訂された学習指導要領の趣旨を踏まえ,「個別最適な学び」と「協働的な学び」という観点から,ICTの新たな可能性を指導に生かした授業改善につなげていくことが重要と考えられます。

 本書では,「令和の日本型学校教育」の充実を図り,主体的・対話的で深い学びをより一層実現するために必要となる教師の支援やICT教育環境を考えていきます。単にICTを活用して授業を効率的に進めるだけでなく,子供たちが学習のツールとしてICTを活用して,各教科等の目標や授業のねらいを達成したり,自らの情報活用能力を高めたりしていくことが求められています。

 GIGAスクール構想によって,1人1台端末やクラウド環境等が全ての公立小中学校に整備され,授業で日常的にICTを活用するようになってきました。しかし,学校や地域によっては,1人1台端末やクラウド環境等がいまだに「特別な存在」になっています。1人1台の情報端末やクラウド環境が「普段着の学習ツール」になっているか,地域や保護者,協力する企業等と一緒になって学校を支援することも必要となります。

 また,本書で取り上げた授業事例は,ICTを単に活用したものではありません。個別最適化された,協働的に学ぶことができる,創造性を育む教育の実現を目指した事例です。個別最適な学びとして,自由進度学習や複線型授業が注目されていますが,本書では,それら自由進度学習や複線型授業の授業事例を紹介するとともに,それらの授業で共通している支援のポイントを整理してみました。あわせて,自己調整学習を取り上げて,その考え方や進め方でのポイントを解説しています。

 さらに,新しい教育として,探究的な学びやSTEAM教育の事例も取り上げています。子供たちの情報活用能力を最大限に発揮できるよう,学びを子供たちに委ねる,新たな授業の実現をめざした取組と言えます。探究的な学びやSTEAM教育において,教師や子供たちが挑戦しながら学びを進めている様子を紹介しています。

 最後になりますが,数年後には,本書で紹介した実践ポイントや授業事例は,令和の主体的な学びのデフォルト・スタンダード(標準的な基準)になっていることと思います。本書を読んでいただいた教育関係者には,今回紹介した事例での取組を参考にして,日頃の学校教育や家庭教育,社会教育に活かしてもらえれば幸いです。


  2025年8月   中村学園大学教育学部 教授 /山本 朋弘

著者紹介

山本 朋弘(やまもと ともひろ)著書を検索»

中村学園大学教育学部 教授

博士(情報科学),修士(教育学)。東北大学大学院情報科学研究科を早期修了。鹿児島大学教育学部附属教育実践総合センター講師,鹿児島大学大学院教育学研究科准教授を経て,2021年から中村学園大学教育学部教授。

文部科学省 「教育の情報化に関する手引」検討委員,文部科学省ICT活用教育アドバイザー等,文部科学省の検討委員等を歴任。その他,九州管内の約20の自治体の教育アドバイザーとして関わる。

日本教育工学協会副会長,九州教育情報化研究会事務局長,日本教育工学会,日本教育メディア学会の編集委員を務める。日本教育工学会,日本教育心理学会,日本科学教育学会,日本教育メディア学会,日本教育システム情報学会の会員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
読者アンケート回答でもれなく300円分のクーポンプレゼント!

ページトップへ