- はじめに
- テーマT 古代エジプト・ギリシア探訪
- ─ピタゴラスの定理とその応用─
- §1 テーマの概要
- §2 テーマの展開予想
- §3 生徒の実践内容と活動の実際
- §4 総合学習としての成果と反省
- §5 テーマのまとめと展望
- テーマU 影絵の形は何故ゆがむのか?
- ─3次元空間における相似変換─
- §1 テーマの概要
- §2 テーマの展開予想
- §3 生徒の実践内容と活動の実際
- §4 学習内容の確認テスト問題例
- §5 テーマのまとめと展望
- テーマV ドイツに伝達・赤道型日時計
- ─平行線の性質に基づく日時計の原理─
- §1 テーマの概要
- §2 テーマの展開予想
- §3 生徒の実践内容と活動の実際
- §4 学習内容の確認テスト問題例
- §5 テーマのまとめと展望
- テーマW 世界一周旅行をしよう!
- ─球面上の図形─
- §1 テーマの概要
- §2 テーマの展開予想
- §3 生徒の実践内容と活動の実際
- §4 学習内容の確認テスト問題例
- §5 テーマのまとめと展望
- (資料)
- テーマX Let’s Study the World from OSAKA!
- ─資料の整理,地球儀の幾何─
- §1 テーマの概要
- §2 テーマの展開予想
- §3 生徒の実践内容と活動の実際
- §4 学習内容の確認テスト問題例
- §5 テーマのまとめと展望
はじめに
この本は,「中学校数学+総合学習」全4巻の第1巻・総論編『数学を中心とする総合学習』に続く,第2巻として刊行されたものです。
中学校の「総合学習」の基本的分野には「国際理解」,「環境教育」,「情報教育」があります。この第2巻では,そのうちの「国際理解」に関する総合学習の実際を展開しました。続く第3巻,第4巻では,それぞれ「情報教育」,「環境教育」に関する実際を展開します。この巻と併せて,「中学校数学+総合学習」全4巻を,ぜひ活用くださるよう願っています。
数学を基盤とする総合学習「国際理解」には,次の目的があります。
1 今日の社会は,世界的視野で展開されています。日本の社会的事象は,世界事象との関連の中で把握する必要があります。当然,日本の社会的事象を世界的事象の中で考える習慣を,中学生はもとより,小学生の時代から獲得させておく必要があります。
2 世界各国には,それぞれに固有の歴史や文化があります。考え方や生活様式も,それぞれに特徴や個性があります。今日の世界は,こうした歴史や文化,考え方,生活,を相互に尊重しあいながら,手をとりあって発展する時代であります。当然,早くから世界の人たちの歴史や文化,生活や考え方を学んでおかなければなりません。
3 数学史が語るように,数学は日本独自で生まれたものではありません。
紀元前のはるかな昔から,西欧や中国,インド等で生まれました。数学は,歴史的に汎世界なのです。そして,今日の数学もまた汎世界です。手近な例ですが,私が会長をしている「教育システム研究会」では,1997年以来,日本の小・中学校とドイツの小・中学校とが,リアルタイム協同学習を実現しました。生徒どうしが黒板を使い,パソコンを使い,顔を見せあって討議し,学習を進めるのです。2001年には大阪教育大学の鈴木正彦教授を中心に,私が顧問となって中国人民大学附属中学の10年生と大阪教育大学附属高校の生徒が,画法に関する高度な数学のリアルタイム協同学習を実現し,成功しました。中学や高校でのリアルタイム協同学習の使用言語は,すべて英語です。時代はここまで来ました。数学の学習も汎世界なのです。この汎世界の意識を,中学生に育てていく必要があります。
4 小学校・中学校の学習で,基本としてとりわけ重視する教科は,言語と数学です。「国際理解」の課題を含め,総合学習で扱う課題は,いろいろな教科が横並びに協力して解決していくものではありません。言語と数学を芯として展開し解決する必要があります。改めて言えば,総合学習の課題は,言語と並び数学を芯として解決する必要があります。小・中学校の算数・数学の学習は,それだけの重要な役割を持っているのです。
以上のような目的で本書を仕上げました。本書の目次を開き,取り上げた5つのテーマを見て頂ければ,それが分かると思います。執筆者には,この方面の開拓的研究を実践されている研究者にお願いしました。そして,いずれのテーマも中学校の現場で実践された結果を資料として執筆して頂きました。
一方,編集責任者の菊池乙夫氏には,繰り返し執筆者と連絡され,加筆修正を重ね,読者に役立つ本書に仕上げて頂きました。
本書には未熟な点もあると思います。それらの点は,読者の皆様のご意見を頂きながら,今後の改訂で修正していきます。
なお,本書の出版に際し,刊行を激励し,実現してくださった江部満氏をはじめ,明治図書の編集部の方々に厚く感謝申し上げる次第です。
2002年5月10日 監修者 /横地 清
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