- まえがき
- T 福祉・ボランティア学習で何をめざすか
- 一 なぜ、学年が上がるにつれて、交流活動を望まなくなるのか
- 二 「暗い」テーマは避けるべきなのか
- 三 1時間の授業から1単位時間の授業へ
- 四 福祉・ボランティア学習でつけさせたい力
- 五 教師はもっと「開かれ」ないといけない
- U 6年「高齢社会に生きる」の授業(全時間)
- 一 総合福祉施設での体験学習までのステップ
- 二 1時間目の授業「お年寄りが増える」
- 三 施設見学をしよう
- 四 2回目の施設訪問は、主として交流活動を中心に
- 五 意図的な交流体験の積み重ねが必要だ
- 六 高齢社会に向けて、自分ができること
- V 6年「少子化社会に生きる」の授業(全時間)
- 一 単元開発の着眼点
- 二 単元の指導計画
- 三 幼稚園の子とふれあう
- 四 授業で使ったワークより
- 五 第3次の授業プラン
- W 4年「目の不自由な方と共に」の授業(全時間)
- 一 単元の指導計画
- 二 第1次「点字を知ろう」の授業
- 三 第2次「盲導犬がやってきた」の授業
- 四 目の不自由な方との交流
- X 5年「車椅子を使っている方と共に」の授業(全時間)
- 一 「車椅子」を核とした1単元の学習をどう組み立てるか
- 二 車椅子について知ろう
- 三 いろいろな場での車椅子の乗り方・介助の仕方
- 四 車椅子と日常生活の授業
- 五 1単元の授業の評価
- Y 4年「だれにもやさしいしせつ」の授業(全時間)
- 一 単元の構想
- 二 アイマスクを使って目の不自由な方の疑似体験
- 三 科学的な視点から「障害」を考えさせる
- 四 初めての手話の学習はジェスチャーゲームから
- 五 総合福祉センターに出かけて行っての学習
- 六 見学のまとめを1枚の紙に
- Z 5年「誰にもやさしいまちづくりを提案しよう」の授業(全時間)
- 一 単元開発の着眼点
- 二 単元の指導計画
- 三 授業前にアンケートを取ってみる
- 四 小単元1の授業 車椅子の体験・高齢者体験・アイマスク体験
- 五 小単元2の授業 障害者や高齢者の立場に立って地域を調査しよう
- 六 調査のまとめと問題提起
- [ インターネットを活用した福祉・ボランティアの授業
- 一 TOSSランドは授業に使えるコンテンツの宝庫
- 二 「車椅子を使っている方にとってやさしいまち」を授業するとき
- あとがき
まえがき
総合的な学習の研究会が多くの学校で開かれている。授業公開の機会も多くなってきた。
こういった授業を見て、よく思うことがある。
うちの学校では、あんなことはできないだろうなあ。
準備や当日の場の設定など、その日の授業のために特別に設定されたものが多いからである。「すごいなあ」という声がよくあがる。確かに、問題提起あり、すばらしい授業が多い。
しかし、「いざ自分の学校で同じようなことができるか」と自問すると、首を縦に振ることができない。
普段の授業として取り入れるのは、かなり困難に思えるものが大部分である。かけ離れすぎている。
もちろん、地域の実態に応じた授業なので、全くそのとおりにすることなど不可能である。
それをさておいても、
参観者を意識し過ぎた「ショー的な授業」が多すぎる。
福祉・ボランティアの授業はまだまだ、実践例が少ない。
全国で多くの先生方が参考になる実践を知りたいと思っているはずである。1時間の授業もいいが、そこにいくまでの準備はどうしたのか、単元はどう設定したのか、1単元全体の指導はどうなっているのか……
こういったことを知りたいと思っている先生は多いはずである。
ここで、紹介させていただいた授業実践例は特別珍しいものではない。
少なくとも、ショー的なものではない。
しかし、地域の実態を変えるとそのまま使えるものをまとめたつもりである。
日本は少子高齢化社会へ急速に移行しつつある。
福祉・ボランティア学習はますます、重要になってくる。文部科学省は文書で繰り返し、それを訴えている。
福祉・ボランティア学習は一部の子どもがすればいいのではない。全ての子どもがするべきものなのである。それが教師の見栄(ショー的な授業をするなど)のために、制限されるのは許されないことである。拙著を、福祉・ボランティアの授業をする際に参考にしていただけたら幸いである。
/戸井 和彦
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- 明治図書