- はじめに
- T 介護・看護の目
- U 高齢者の理解
- 1 高齢者の身体
- 2 高齢者の心
- 3 介護・看護の実際
- 1) 環境調整
- 2) 清潔の援助
- 3) 食事
- 4) 排泄
- 5) 衣服の着脱
- 6) 休息(睡眠)
- 7) 移動動作(安全を考慮した方法)
- 8) 活動(運動)
- 9) 性に対する援助
- 4 病気の理解
- 1) 痴呆
- 2) 肺炎
- 3) 大腿骨頚部骨折
- V 障害をもつ子ども(人)の理解
- ・障害をもつとは,どういうことだろうか
- ・障害をもつ子ども(人)への教育や手助けとは何か
- 1 障害をもつ子ども(人)の身体の特徴
- 2 障害をもつ子ども(人)の心
- 3 援助の方法
- 1) 重症心身障害児の日常生活への援助
- 2) 知的障害をもつ子どもの日常生活の援助
- 3) 自閉症の子どもの日常生活の援助
- 4) 視覚障害をもつ子どもの日常生活の援助
- 5) 聴覚障害をもつ子どもの日常生活の援助
- 4 疾患の理解
- 1) 脳性麻痺 CP
- 2) 精神遅滞 MP
- 3) ダウン症候群
- 4) 自閉症
- 5) 被虐待児症候群
- 6) 感覚器官に障害をもっている子ども
- 7) 病弱児
- W 私たちに求められるコミュニケーション
- X 社会的資源の活用
はじめに
小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係わる教育職員免許法の特例等に関する法律(介護体験特例法:以下特例法という)が,平成10年1月7日に文部省から出されました。そして平成10年4月より大学1年生になった人から適用され,上記教職課程を専攻する人は介護体験7日間の実習と実習施設の証明が必要となりました。では,今,なぜ介護体験が必要なのでしょうか。それは,平成9年10月に文部省より「21世紀の大学像と今後の改革方策について」学識者から文部大臣への諮問が出されていますが,それによると概要の一部は,国際社会でリーダーシップを発揮できる人材の育成,生涯学習機能の強化,地域社会や産業界等との連携推進,教育者の資質向上です。その一環として,今回の制度が法律化されたのです。
この制度の主旨は,
1 教員の資質向上
2 学校教育の一層の充実
3 制度の対象者,小学校及び中学校の教諭の普通免許状を取得しようとする学生となっています。
お互いに助け合う精神,これは人間同士の当然のかかわりであり,義務であると考えます。特に教職に就こうとするものは,その資質に,対象となる児童・生徒と差別なくかかわることのできる心の寛さ,細やかな洞察力,優しさの中にも自立援助の厳しさが求められるでしょう。また,一つには,平成12年には公的介護保険が制度化され,国民の世代間連携と相互扶助,高齢者と家族の自立支援,介護を社会的に支え合うシステムの構築が理念となって施行されます。二つ目には,1993年から10年間は「アジア太平洋障害者の10年」として各国の活動が始まりましたが,日本でも1995年に「障害者対策に関する新長期計画」を作り,具体的な「障害者プラン」で七つの施策が挙げられています。(資料参照)
これらのことに照らし合わせても,介護法の学習は必至であろうと考えます。ですから,この制度は国際的な考え方,ノーマライゼーションやQOL向上の理念のもとで,障害をもった人も,特にない人も若者も壮年も児童も,皆が普通の生活ができる地域社会,学校づくりをしていこうという考え方をひろく浸透させる一環であるとも受け止められます。
そこで,体験学習を前に,対象の理解と日常生活援助技法の基本的なことの大切さを学習し,人と人のかかわりの大切さ,心で聞く訴え,良いコミュニケーションのとり方の大切さを学習し,有意義な体験につなげていただくことを目的として手引書を出版することにしました。一般の方々,ボランティアを志している人たちへの手引書としても活用していただければ幸いです。
なお,今後もこの本について読者諸氏のご意見,ご批判により漸次加筆訂正し,より学習しやすくしていくつもりです。
末尾ながら,この手引書発刊に際しましてご協力をいただきました,神奈川県平塚看護専門学校浅川明子校長をはじめ,分担執筆していただいた教員の森内みね子先生,丹下純子先生,佐藤和子先生,資料提供してくださった友人の下西潤子先生,明治図書出版社の仁井田康義氏に心から謝意を表します。
1999年1月 /土田 博美
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- 明治図書