- 第一章 女の子たちの現在
- 1 女の時代、女の子は強くなりすぎたと言われるけれど
- 差別が見えにくい状況
- 働くことが当たり前になっていない現実は変わっていない
- 2 女の子の性と生
- 「選んで主婦になる」という幻想から
- 性の開かれ方
- 第二章 自立に向けての女の子の育て方
- 1 自信と誇りを育て精神的自立に向かわせるために
- 男らしさ・女らしさの枠に縛らない
- 親子でも、敢えて立ち入らないことも大切
- 2 経済的自立に向けてのトレーニング
- 労働は善であることを伝える
- 小金主義と日銭主義
- 子どものために財産は残さない
- 第三章 他者への想像力をもてる女の子の育て方
- 1 他者への想像力をはぐくむ
- 主婦と働く女性
- 健常者と障害者
- 2 違いを楽しみ、連帯する心の柔らかさをはぐくむ
- それでも、やはり世の中は良くなっていると思いたい
- 親になったら分からなくなることを自覚して
- 第四章 生老病死を見据えた女の子の育て方
- 1 生きていること自体を肯定できる子に育てる
- 人間が選ぶことの限界性
- 子ども自身の力
- 人間は変わっていく
- 人間は、つらいことから多くを学ぶ
- 2 志縁、女縁、社会とのつながりを大切にできる子に育てる
- 家庭の持つエゴイズム
- 寄り集まりの家族
- 死すべきいのちから学ぶこと
- あとがき
まえがき
あずささま
大学で女性学の講座を持つようになって今年で三年目になりました。一九九五年に北京で開催された世界女性会議に参加したとき、たまたま一緒になった中央大学の教授で、『男だって育児を』(岩波新書)という本を書いたHさんから、一年という期限付きで出講を依頼されたとき、女を信ずる思いが頂点に達していたときだけに、二つ返事で引き受けてしまったのです。
もう一年、もう一年と断り下手な私は、Hさんの熱意に押されっぱなしで、気がついたら三年目に入っていました。「もう断然今年で止める」とあずさに言ったら、「結構楽しそうよ。歴史を継続させていくための語り部になるためには、やっぱり若い人を説得できる論理展開と話術が必要。若い人に鍛えられてどんどん磨きがかかってるって感じ。またお願いって言ってきたら引き受ければいいじゃない」って私の心を見透かしてでもいるように言いましたっけ。やっぱり来年もお引き受けすることにしました。
今日、授業が終わったあと、つつとそばに寄ってきた女子学生が、私に抱きついて声をころして泣きつづけたのです。私よりも肩から上大きい、抱いても手に余るその女子学生の頭を、気が静まるまで撫でていました。
四年生の彼女は、就職活動に懸命になっていたのです。もう、今年は超氷河期。私のころは、千枚の募集のビラには女子不可という赤い判こがぺたぺた。女子可は百枚にも満たなかったのではないでしょうか。かくも差別が露であったのです。でも彼女たちには試験を受ける機会は与えられています。しかし必ず、「あなたには能力がある、しかし、わが社の社風には残念ながら合わない」という返事が判を押したように返って来るのです。前日、丁度十回目の答えを彼女は耳にしました。
「能力はあるが社風に合わぬと言われたら引き下がるほかない。差別の実態が見えなくなってしまっているのでこぶしの振り上げようがない。差別が陰湿になっている分、残酷です」とせぐりあげながら言いましたっけ。「同性である母が一緒に腹を立ててくれないことがより惨めさをつのらせている」とも言いました。だったら私が一緒に腹を立て、「くそっ」というトライのエネルギーを再生させていこう――これが来年もとの決意を促すことになったのです。そんなことで、後輩女性にシスターフッドのこもったエールをとあれこれ考え、はたと思いついたのです。嫌なこともしんどいことも引き受けて、なおかつポジティブシンキングで生きているあずさと、本音の対談集を作ろうって。行間からエールがにじみ出てくる対談集をあずさ、私たちのこれからの人生のあり方を検証し、さらなる成長を遂げるためにも作りましょうよ。
輝 子
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明治図書
















