- はじめに
- 第1章 きずなわ流 運動会演技づくりの極意
- 極意@ 「関わり合い」
- 〜関わり合いで学年の絆を深めるべし〜
- 極意A 「授業から運動会へ」
- 〜学びのゴールを設定するべし〜
- 極意B 「魅せる隊形」
- 〜集団の見映えを意識するべし〜
- 極意C 「みんなができる“跳ばない”なわとび」
- 〜“跳ばない”なわとびの価値を認識して指導するべし〜
- 極意D 「主体的〜自由演技〜」
- 〜自由演技で,子どもたちの“主体性”を大切にするべし〜
- 極意E 「映えるズレ」
- 〜ズレを使って,空間の広がりを意識するべし〜
- 極意F 「止め・リズム変化」
- 〜「止め」や「跳躍のリズム変化」で,演技をかっこよく魅せるべし〜
- 極意G 「短なわ・中なわ」
- 〜他者と「合わせる」,他者を「感じる」べし〜
- 極意H 「安全・安心」
- 〜子どもたちの安全,約束を守るべし〜
- 極意I 「選曲」
- 〜跳び方とテンポで選ぶべし〜
- 極意J 「入退場」
- 〜入退場こそ,こだわるべし〜
- 極意K 「工程表」
- 〜工程表は,ゆとりをもって計画的に作るべし〜
- 第2章 これだけできれば大丈夫!動画でチェック きずなわの技
- きずなわの技 系統表
- 止め技
- クロスフリーズ
- アームラップ
- 4の字止め
- ヒーローポーズ(アームラップ+4の字止め)
- リリースキャッチ
- 前回し片足止め
- 前回し両足止め
- ペンギンさん
- サイドスイング(側回旋)
- 左右横回し
- 連続サイドスイング(右右右右・左左左左・右右左左・右左右左・止め)
- プロぺラ(頭上回し)
- プロペラ(体の前回し)
- サイドスイング前回し跳びの連続
- テキサス・マッドドッグ(回転技)
- テキサス(サイドスイング→360°回転→止め)
- マッドドッグ
- マッドドッグ前半
- マッドドッグ後半
- 2in2(低学年バージョン)
- 横並び前回し跳び4回止め(前・前・前・前・止め)
- 横並び前回し跳び4回止めのスモールステップ
- 2in2(中学年バージョン)
- 横並びあや跳び4回止め(前・交差・前・交差・止め)
- ローリング(前・回転・前・回転・止め)
- 2in2(高学年バージョン)
- テキサス(前・テキサス・前・テキサス・止め)
- 交互連鎖跳び(チャイニーズホイール)
- 2in1(中学年バージョン)
- 基本的な跳び方(2人横並び一緒に飛ぶ)
- 基本的な跳び方(2人横並び交互に飛ぶ@)
- 基本的な跳び方(2人横並び交互に飛ぶA)
- ワルツ(3拍子跳び)/マーチ(4拍子跳び)
- 2in1(高学年バージョン)
- テキサス
- マッドドッグ
- 体ほぐしの運動 授業初めにスイッチオン!「みんなで いっしょ!」
- 第3章 クラスみんなが活躍できる!運動会集団演技プログラム
- プログラム@ 「やってみよう」WANIMA
- プログラムA 「ココロ,オドルほうで。」meiyo
- プログラムB 「アドベンチャー」YOASOBI
- プログラムC 「ターコイズ」SEKAI NO OWARI
- プログラムD 「おどるポンポコリン」ももいろクローバーZ
- プログラムE 「最高到達点」SEKAI NO OWARI
- プログラムF 「ANTENNA」Mrs.GREEN APPLE
- プログラムG 「学園天国」フィンガー5
- 第4章 なわとびの楽しさが大きくふくらむ!きずなわの授業&学習カード
- 1 短なわを使った低学年の授業
- 「シンクロ跳び」「横並び2in2」〜「ホメホメ+アドバイス」で,動き慣れをいっしょに楽しもう〜
- 2 短なわを使った中学年の授業
- 「2in2」「2in1」〜2人で一緒に楽しもう〜
- 3 短なわを使った高学年の授業
- 「2in2連続技」「2in1連続技」〜なわとびでつなごう,仲間との絆〜
- 4 中なわを使った高学年の授業
- 「シングルダッチ」〜なわとびを使ったパフォーマンス(自由演技)をしよう〜
- 5 きずなわ学習カードのポイント
- 低学年用学習カード
- 中学年用学習カード
- 高学年用学習カード
- クラスできずなわ学習カード
- 執筆者一覧
はじめに
この本を手に取られたということは,「運動会の団体演技でなわとびをしようかな。」とお考えの先生ではないでしょうか?
本書では,なわとびの基本的な跳び方である「前回し跳び」「後ろ回し跳び」そして,体の横でなわを回す(つまり跳ばない)「サイドスイング」さえできれば,みんな一緒に演技ができるなわとびの団体演技を8つ紹介しています。QRコードで動画を見ることもできますので,具体的な動き方を確認して先生ご自身が演技をすることができますし,子どもにそのまま見せてもできるようになっています。
また,運動会だけではなく,体育科体つくり運動領域の授業としての「きずなわ」を先生方に行っていっていただきたいという思いを4つの授業にまとめました。短なわを使った低・中・高学年の授業をそれぞれ1つずつ,そして中なわを使った高学年の授業を1つです。
どれも4時間単元で,指導計画,1時間ごとの学習の流れ,さらに先生方が授業しやすいように重要な場面には動画をつけて分かりやすく構成しました。こちらもぜひ試していただきたいです。
わたしたちが使う「きずなわ」という言葉は,「絆(きずな)」と「なわ」を合わせた造語です。ここには,なわとび運動を通して,仲間やクラスの絆を深められる,そんな体育科の授業を作っていきたいとの思いが込められています。
なわを使った授業をイメージしてください。短なわとカードを持ち,そこにある技や回数をクリアしていく子どもの姿。カードを使った学習にも,子ども一人一人が目標をもち,友だちと競い合い,時には教え合いながら,休み時間も夢中になって取り組む,そんな子どもの姿を引き出す良さは確かにあります。一方で,カードを渡した後は子どもの努力に任せた学習になり,教師の指導性を発揮しにくい一面もあるのではないでしょうか。子どもに個人的なアドバイスをしたり,上手な子のコツを共有したりすることはできても,子ども同士が協働して運動に取り組む,「今求められる」授業にはなっていない,我々が子どもの時受けていたなわとびの授業が,昭和,平成,令和と時代が進んでも変わらない現実がここにあります。このような課題意識から「きずなわ」は生まれました。
「きずなわ」を象徴する技に「2in1」があります。これは,1本の短なわを2人で一緒に跳んだり,交互に跳んだりする運動です。前回し跳びさえ跳べるようになればできる技ですが,2人がそれぞれ自分のリズムで回してしまうと,うまくなわを回せません。ここに「自分の動きを相手の動きに合わせる」必要性が生まれます。どうすれば動きを合わせられるのか,相手のどこを見るのか,どんな声を掛け合うのかなど,互いの動きに合わせるために自分は何をどのようにすればよいのかが学習課題となります。「自分以外の周りにあるものの動きに合わせて自身の体をコントロールして動かすことができる=巧緻性の向上」という考えから,「きずなわ」では,だれとでも動きを合わせられることを最高の目標とします。
「きずなわ」には,止め技のように1人で行う技もあれば,2in1のように2人で,トラベラーやシザーズパスのように4人(以上)で取り組む技があります。
それらを音楽に合わせて,運動会や学習発表会,学習参観で発表してみましょう。きっと「イェーイ」「やったー!」と歓声の上がる,クラスの絆がグッと深まる場面を作り出すことができます。
さあ,皆さんも「令和時代」に合ったなわとび授業を共に創っていきましょう。
2025年6月 関西体育授業研究会 チームきずなわ /柳井 友裕
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- 明治図書