- はじめに
- 第1章 「余白」の創出は、教育の質の向上につながる
- 1 失われた探究の機会―ある若手教師のつぶやきから考える
- 2 国の羅針盤を読む―中央教育審議会が示す「余白」の重要性
- 3 「余白」が教師にもたらす価値―専門性の向上とウェルビーイング
- 4 「余白」が子どもにもたらす価値―学びのオーナーシップを育む
- 5 変革の第一歩―校長の「やめる」という覚悟
- 第2章 柔軟な教育課程で「余白」を生み出す
- 1 「時間割」という名の固定観念を捨てる
- 2 学習指導要領を「根拠」に、標準授業時数を弾力的に運用する
- 3 実践@ 教科の壁を溶かす「探究的な学習(PBL)」の設計
- 4 実践A 学びを自ら拡張する「複線型の授業」のデザイン
- 5 実践B 教科横断の核となる「情報の時間」のすべて
- コラム 改革のエンジンは「対話」の中に―カリキュラム・マネジメントの舞台裏
- 第3章 校務DXで「余白」を生み出す
- はじめに
- 1 DXの目的は「効率化」ではなく、「教育時間の創出」と「仕組み化」
- 2 ミッション・ビジョンがDXの羅針盤となる
- 3 最小限から始める―クラウド、チャット、Web会議の導入効果と「仕組み化」への接続
- 4 「紙とハンコと電話」の文化から、いかにして脱却するか
- 第4章 AI活用で「余白」を生み出す
- はじめに
- 1 AIは「超優秀なアシスタント」であり、「最強の学習パートナー」
- 2 AIの活用で教材準備・校務は劇的に変わる
- 3 AIは「知的好奇心のアクセル」になる
- 4 「情報の時間」における、対話的なAI活用
- 5 GIGAスクール構想時代の情報モラル教育―AI時代の倫理観をどう育むか
- おわりに
- コラム 公用スマートフォン―一律の「規制」から「正当なインフラ」への転換
はじめに
現在、日本の教育は歴史的な転換点の真っ只中にあります。文部科学省が掲げる「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」という理念を、単なる文字の羅列に終わらせてはなりません。現場を預かる校長の真の職責は、その言葉を自校の文脈へと翻訳し、「子どもたちが不確実な未来を自らの意志で切り拓いていく姿」をいかにして具現化するかという一点に集約されます。
私は現在、文科省の研究開発学校の校長として、学習端末を日常の文房具のように使いこなす「情報の時間」を軸としたカリキュラム開発に取り組んでいます。これは、単なるスキルの習得ではなく、膨大な情報から真実を見極め、他者と協働しながら新たな価値を創造する「自律した学習者」への脱皮を目指すものです。かつての「教え込み」から、子どもが主語となる「学び」へ。このパラダイムシフトを、私たちは現場のマネジメントを通じて成し遂げねばなりません。
学校経営において私が最も大切にしているのは、ミッション・ビジョン・バリューを明確にし、そこに至るロードマップを職員と共有することです。DXによる働き方改革の推進も、その目的はただ1つ、教師が子どもと向き合い、共に成長を喜ぶための「余白」を創出することに他なりません。
本書の根底に流れる思想は「関わるすべての人たちの幸せ」です。幸せとは、結果への固執ではなく、昨日の自分を超えようとする「自己の成長」にこそ宿ります。管理職自らが変化を楽しみ、挑戦し続ける背中を見せることで、失敗を恐れない文化を醸成していく。文部科学省の示す理想を、血の通った実践へと昇華させるためのロジックと具体的手法をここで共有したいと思います。正解のない時代を歩むすべての教育者と共に、今ここから教育の未来を創り始めたいと願っています。
2026年5月 /仲渡 隆真
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明治図書

















