- はじめに
- 1 毎日の社会科授業の板書を考える
- 1 社会科授業と「板書」
- 2 「板書」を工夫するポイント
- 3 学習指導と「板書」
- 4 本書における「板書」のとらえ方
- 2 授業を変える板書の工夫45
- 地理的分野
- 地球儀を利用して大陸と大洋の位置をとらえさせる
- (世界の様々な地域 世界の地域構成)
- 大陸の位置関係を押さえながら世界の略地図を描かせる
- (世界の様々な地域 世界の地域構成)
- 生徒の興味・関心を高め単元を貫く適切な課題を設定する
- (世界の様々な地域 世界各地の人々の生活と環境)
- まとめと発表の仕方を演示する
- (世界の様々な地域 世界の諸地域)
- 多面的・多角的にオセアニア州の地理的特色をとらえさせる
- (世界の様々な地域 世界の諸地域)
- 生徒の知的好奇心を触発して調査のための主題を設定させる
- (世界の様々な地域 世界の様々な地域の調査)
- 作業的な学習を工夫して様々な視点から日本の位置をとらえさせる
- (日本の様々な地域 日本の地域構成)
- 自然環境の特色と関連付けて自然災害や防災対策について考えさせる
- (日本の様々な地域 世界と比べた日本の地域的特色)
- 世界と比較しながら日本の人口の特色をとらえさせる
- (日本の様々な地域 世界と比べた日本の地域的特色)
- 資料から読み取った情報を黒板に書き出し地域的特色を考えさせる
- (日本の様々な地域 日本の諸地域)
- いくつかの地域を取り出し調べたことを整理し全域の地域的特色を考察させる
- (日本の様々な地域 日本の諸地域)
- キーワードを基に有機的に関連付けて地域的特色をとらえさせる
- (日本の様々な地域 日本の諸地域)
- 生活・文化に関する特色ある地理的事象を地図帳を使って調べさせる
- (日本の様々な地域 日本の諸地域)
- グループで考えたことをシートにまとめ黒板に掲示して発表する
- (日本の様々な地域 日本の諸地域)
- 野外観察の結果をデジタルカメラの写真や地形図を使って整理する
- (日本の様々な地域 身近な地域の調査)
- 作業の手順と参考例を示し地図のまとめ方を理解させる
- (日本の様々な地域 身近な地域の調査)
- 歴史的分野
- 小学校での学習を踏まえて時代の移り変わりに気付かせる
- (歴史のとらえ方)
- 江戸時代と明治時代を比べさせ各時代の特色をとらえさせる
- (歴史のとらえ方)
- 各班で分担し調べたことを基に古代文明の特色と流れをとらえさせる
- (古代までの日本)
- 中国の古代文明の動きを板書に整理してとらえさせる
- (古代までの日本)
- 調べたことを黒板に整理し弥生文化の特色をとらえさせる
- (古代までの日本)
- 国際的な要素をもった文化が栄え後に文化の国風化が進んだことをとらえさせる
- (古代までの日本)
- 絵画資料から当時の様子を読み取らせる
- (中世の日本)
- 略年表と略地図で東アジアの交流をとらえさせる
- (中世の日本)
- 全国的な歴史の動きと地域の歴史の2つの視点でとらえさせる
- (近世の日本)
- 既習事項を活用してキリスト教の広がりに対する幕府の対応を推測させる
- (近世の日本)
- 田沼の政治と寛政の改革を比べそれぞれの政治の特色をとらえさせる
- (近世の日本)
- 前時までの学習事項を略年表に示し明治維新とその後の動きをとらえさせる
- (近代の日本と世界)
- 維新の三大改革を地域の歴史とも関連付けてとらえさせる
- (近代の日本と世界)
- 新政府に不満をもつ人々の立場に立って自由民権運動の動きをとらえさせる
- (近代の日本と世界)
- 条約改正に至る動きを視覚的にとらえ人々の努力に気付かせる
- (近代の日本と世界)
- 第一次世界大戦の複雑な国際関係を図に整理してとらえさせる
- (近代の日本と世界)
- 高度経済成長のころの日本の様子をキャッチフレーズでとらえさせる
- (現代の日本と世界)
- 公民的分野
- 問題解決型の学習を意識して少子高齢社会についてとらえさせる
- (私たちと現代社会 私たちが生きる現代社会と文化)
- 対立と合意,効率と公正について場面を設定して考えさせる
- (私たちと現代社会 現代社会をとらえる見方や考え方)
- 発問と板書を組み合わせて価格の内訳や市場価格について考えさせる
- (私たちと経済 市場の働きと経済)
- 作業したことを略地図や図に表し板書にまとめる
- (私たちと経済 国民の生活と政府の役割)
- 経済活動と政府の役割について図表にまとめてとらえさせる
- (私たちと経済 国民の生活と政府の役割)
- 実際に日本国憲法を読ませて憲法の基本原理について理解させる
- (私たちと政治 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則)
- 身近な具体例から男女の平等と男女共同参画社会の実現について考えさせる
- (私たちと政治 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則)
- ディベートの手法を取り入れて基本的人権の尊重について考えさせる
- (私たちと政治 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則)
- ダイヤモンドランキングを通して身近な地域の街づくりについて考えさせる
- (私たちと政治 民主政治と政治参加)
- 教科書に沿って授業を展開し裁判の仕組みと働きについて理解させる
- (私たちと政治 民主政治と政治参加)
- カードに書き出して,貧困問題に対して私たちができることを考えさせる
- (私たちと国際社会の諸課題 世界平和と人類の福祉の増大)
- これまでの学習をふり返りレポートの主題を考えさせる
- (私たちと国際社会の諸課題 よりよい社会を目指して)
- 参考文献
はじめに
振り返ってみると,新任のころから,日々の授業で板書をどうすればよいか悩んできました。「何を書けばよいのか」「どのように書けばよいのか」と,とにかく板書の形をつくることに懸命だったように思います。
そんな私が,板書について別の視点から考えるようになったのが,教育実習の指導を担当したときのことです。教育実習の指導を通して,「なぜ板書するのか」と,一連の授業展開(学習指導)の中で板書をとらえる意識が強くなったのです。そして,授業後の反省会で「今日の板書は生徒にとってわかりやすかったか」「板書のタイミングは効果的であったか」などを協議する中で,板書の工夫やアイデアについても考えを深めることができたように思うのです。
さらに,授業研究会等で諸先輩方の授業を参観させていただき,板書の仕方を学んだり,書籍に紹介されているアイデアを基に自分の授業で実践したりもしました。そう考えると,本書で紹介する工夫やアイデアの多くは,実は私自身が考えたオリジナルというよりは,このように教育実習の指導を通して考えたことや諸先生方から学んだことなどを,自分なりに試行錯誤し,形にしてみたものだと言えます。
板書の工夫やアイデアと聞くと,重要語句のまとめ方,略地図や年表,構造図などを使ったまとめ方など,「どのように黒板に表現していくか」といった課題が頭に浮かびます。ここで,板書を一連の学習指導の流れの中で考えるならば,板書の工夫は,単に黒板への表現の仕方にとどまらず,授業そのものの工夫改善につながるものだととらえられます。本書では,板書に焦点を当てつつも,その背景にある授業展開,学習指導法の工夫やアイデアについても提案できればと考えました。
第1章では,板書の果たす機能や板書を工夫するポイント,学習指導と板書など,社会科授業での板書について考えたことを述べています。第2章では,実践事例として地理的分野16,歴史的分野17,公民的分野12の45事例を掲載しています。実践をまとめるに当たり,なるべく学習指導要領の位置付けや学習のねらいを明示するようにしました。また,紙幅に限りがあり,やや見にくくなってしまいましたが,なるべく板書の全体像(構図)も示すよう心がけました。これは,板書を一連の学習指導の流れの中でとらえられるよう意識したからです。
いずれの実践事例も,どのように授業を展開すればよいのか試行錯誤する中でまとめたものであり,まだまだ改善すべき点が多いと思います。毎時間授業で板書しますが,今でも「しまった!」と思うことが多く,逆に「今日の板書はよくまとまったな」と思えることはあまりありません。
にもかかわらず,ここに提案させていただくことにしたのは,実践の成果と課題について情報を発信し,多くの先生方と共有することが,授業改善の方策を考えるうえで意味のあることだと思ったからです。この点で,本書が少しでもお役に立つことができれば幸いです。
本書の出版に当たりましては,明治図書出版の矢口郁雄氏に大変お世話になりました。私自身,よい勉強の機会を与えていただきましたことに感謝しております。ここに厚く御礼申し上げます。
2013年12月 /青柳 慎一
できれば画像はカラーで、「見やすく・わかりやすく・かつ重要な内容をおさえた板書」が見られれば良いな、と思いました。