- はじめに
- 1章 生徒指導提要に活かすエンカウンター
- 1 活用集として
- 2 生徒指導提要の中身を活かす
- 3 エクササイズの実施時期に関することと本書の特徴
- 4 共通「振り返り用紙」について
- 2章 生徒指導提要対応エンカウンター・エクササイズ
- §1 1学期学級活動に役立つエクササイズ
- 1 もしも,○○なクラスだったら……
- 2 『他己紹介』カルタとり
- 3 カードで理想の生活リズム!
- 4 自分のことをまっすぐ見つめよう
- 5 本当の自分
- 6 遠足のきまり
- 7 不要物?
- 8 短所ってなおせるの?
- 9 よくないところはよいところ
- 10 「あなたのよいところBEST 3」
- §2 2学期学級活動に役立つエクササイズ
- 1 ざ・すごろく「僕の私の夏休み」
- 2 伝えよう,合唱のイメージ
- 3 イメージ画を描こう!
- 4 あなたはどのように挨拶する?
- 5 仕事が社会を支えている
- 6 お金の貸し借り
- 7 あっ,危ない!ちょっと待って!
- 8 プロジェクトX〜クラスに貢献しよう!〜
- 9 みんなで作るマニフェスト
- 10 お願い,サンタさん
- §3 3学期学級活動に役立つエクササイズ
- 1 これまでの私,これからの私
- 2 将軍様の国盗り合戦
- 3 コンビニの店を開こう
- 4 1年間の実りの木を完成しよう
- 5 これからのエネルギー(環境)
- 6 起承転結?!
- 7 新入生へのリーフレット
- §4 生徒会活動で役立つエクササイズ
- 1 あいさつの輪を広げよう
- 2 こんな学校にしたい!
- 3 STOP!!いじめ〜いじめ根絶標語作り〜
- 4 今までの自分とこれからの自分
- 5 引き継ぐ
- 6 学校探検隊
- 7 目指せ!プロフェッショナルな生徒会
- 8 心をひとつに大きな絵
- §5 総合的な学習活動に役立つエクササイズ
- 1 季節を感じよう!(自然・環境)
- 2 浜辺でオブジェ!(自然・環境)
- 3 発見,地域の素晴らしさ!(地域・環境)
- 4 進んで相手の役に立とう!(福祉・ボランティア)
- 5 私は○○市町村が好きです。なぜならば〜(地域)
- 6 わがまち○○市町村〜見つけよう私の課題〜
- 7 あなたに期待!○○市町村の調査〜中間発表会〜
- 8 語ろう!未来の○○市町村〜発表会〜
- 3章 生徒指導提要個別の課題に対応したエンカウンター・エクササイズ
- 1 リスク・シャットアウト(喫煙・飲酒・薬物防止)
- 2 見つけよう!自己コントロール法(暴力行為)
- 3 今,困っています(インターネット・携帯電話)
- 4 男子のいいところ・女子のいいところ(性)
- 5 愛情に包まれて(自殺予防)
- 6 正・反・合(いじめ)
- 7 いじめについて考えよう
- 8 孤立から個立(不登校)
- 9 料金って何?(モラル)
- 10 よく○○しているね(問題行動)
- 11 なりきり親子レター(絆づくり)
- 12 4月をシミュレーション(適応)
はじめに
小中学校で生徒指導を実践するための指標となる『生徒指導提要』が示されて,1年が経過した。この『生徒指導提要』は,生徒指導が問題行動等の対応にとどまっているという現状,理論や考え方,指導法について網羅的にまとめられたものが存在しなかったこと,生徒指導の組織的,体系的な取組が十分ではないという教育現場の課題に応じたものである。
もちろん,生徒指導は技術や理論を学んだだけで行えるものではない。
しかし,情熱だけで生徒指導ができるわけではない。
『生徒指導提要』にあるとおり,教員一人一人が理論や技術を学び,指導法について研鑽を積んでいく必要がある。
しかし,理念や理論,現状や課題の分析がどのように書かれようと,指導技術や姿勢がどのように示されようと,使える形で示されいなければ,ごく一部の読み手を頷かせるだけである。
活用できるものにするためには,どこで使うか,どう使うかが明確であることが必要である。
そして,簡便かつ馴染みのある形式で示されていることも重要。
それらを満たす,教員にとって馴染みのある日常的に用いている形式は,指導案とシートである。
最近は,エンカウンター関連の書籍も,指導略案の形式にならって,指導の流れやワークシートをセットで示している。これらを手に取る教員が多いのも,示された形式に馴染みがあることも理由である。
例えば,「規律ある態度の育成」を目指し,発達段階に応じて,基礎・基本となる身に付けるべきものを示したとする。
それを一歩進めて,指導場面を例示し,指導の流れを指導案形式で示す。さらに,指導の効果を上げ,かつ,定着度合いや一人一人の思いや考えを記述できるシートを例示する。
ここまで示してこそ「活用される」ものとなる。
もちろん,あくまで例示であるため,教員の個性や児童生徒の実態に応じたアレンジは歓迎される。
本書は,どうすれば多くの教員が『生徒指導提要』を活用できるかを検討して編纂した。
指導の流れが分かり,そこで使うワークシートがある。
この一点が,特徴である。
目の前の子どもたちに活用できなければ,どんな理論も技術も絵に描いた餅である。
どう規範意識を高めるか。倫理観をしっかり持たせるにはどうしたらよいのか。
人格を尊重し,個性の伸長を図るには,そして社会的資質や行動力をどうつけていくのか。
『生徒指導提要』を手引きにしながら,本書を活用することで,生徒指導の目指すところに迫っていけるものと考えている。
最後に,本書を校内で多くの教員と共有し,より活用するためのアイディアを示しておく。
指導案やシートが校内Lanの共有に蓄積し,指導案とシートを加工可能な形で蓄積する。それを必要なときに職員が自由に取り出し,書き込めるようにする。
そして,アレンジして使用する。その実践をまた蓄積していくのである。一人一人の実践は,そのままでは活用しにくいが,加工しやすい形で蓄積されれば,手軽に使える。活用がすすむことは間違いない。
新潟で教育に携わる多くの仲間とともに本書を企画し,執筆できたことを嬉しく思うとともに,感謝いたします。共同作業,これがこれからの教育実践のキーワードでもあります。本書が,生徒指導に関する学校・教員の活用書となることを願います。
2011年6月 編著者 /吉澤 克彦
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- 明治図書
- わかりやすかった2019/7/330代・中学校教員