- 序章 環境教育の展開 愛知教育大学教授
- /川上 昭吾
- 第T章「生きる力」を育む環境教育
- 「生きる力」を育む新たな学校づくり
- ・「授業改善」から「学校改善」へ
- ・「学校改善」の3つの柱
- 「生きる力」の基礎を育む教科学習の充実
- 「生きる力」を伸長する環境教育の推進
- 「生きる力」を支える,地域社会と学校のボーダレス化
- 子どもが創る環境教育
- ・自然に対する豊かな心情を高める「連尺ウォッチング」
- ・環境総合学習
- 子どもの価値観を変える総合単元の構想
- 教科内容の再編成と時間割
- 総合単元と他教科との関連的指導
- 子どもによる環境総合学習の評価
- 第U章自然に魅せられた子どもたち
- アイガモとなかよし ─1年実践─
- ・アイガモってかわいいな
- ・がんばって育てるぞ
- ・くろ,天国で元気に暮らしてね
- ・伊賀川で泳がせてあげたい
- ・大きくなったね
- ・ワーイ! 卵が生まれたよ
- ・ひながかえらない
- ・ずっと見守っているよ
- ・ヤッター! ひながかえったよ
- ・『アイガモとなかよし』 単元構想図
- ・1年 年間カリキュラム
- いが川たんけん ─2年実践─
- ・水辺の生き物を見つけたよ
- ・親子でポンツクをしたいね
- ・水辺の生き物を大切に育てたいな
- ・みんなを水族館に招待しよう
- ・伊賀川で鳥も見つけたよ
- ・伊賀川でタンポポ調べをしたよ
- ・『いが川たんけん』 単元構想図
- ・2年 年間カリキュラム
- 虫は友だち ─3年実践─
- ・アゲハの卵を見つけたよ
- ・春の虫を見つけよう
- ・えさを食べてどんどん大きくなるよ
- ・アゲハが動かなくなっちゃった
- ・アゲハって不思議だな
- ・アゲハの本を作ったよ
- ・秋の虫となかよくなろう
- ・コンピュータで鳴き声を調べよう
- ・夜,虫の音を聞いたよ
- ・冬の虫を調べよう
- ・『虫は友だち』 単元構想図
- ・3年 年間カリキュラム
- 野鳥を追い求めて ─4年実践─
- ・ツバメがやって来たよ
- ・巣マップができたよ
- ・ツバメの成長を追って
- ・ツバメのことを知らせよう
- ・レッツ・バードウォッチング
- ・ユリカモメがやって来たよ
- ・乙川は水鳥がいっぱい
- ・野鳥大好き
- ・『野鳥を追い求めて』 単元構想図
- ・4年 年間カリキュラム
- 伊賀川とメダカ ─5年実践─
- ・昔の伊賀川はきれいだったんだ
- ・メダカを育てて増やそうよ
- ・メダカをどうする?
- ・メダカや伊賀川をもっと調べたい
- ・ぼくら伊賀川調査隊
- ・伊賀川にメダカはすめるかな
- ・メダカのふるさとに行ってみたい
- ・『伊賀川とメダカ』 単元構想図
- ・5年 年間カリキュラム
- 身近な環境に対して行動を起こそう ─6年実践─
- ・環境問題を知りたいな
- ・自由研究で,身近な環境を見つめよう
- ・連尺環境サミット '98
- ・学区の二酸化炭素調査をしよう
- ・鳥も住みよい町にしよう
- ・リサイクルボックスを作ろう
- ・伊賀川をきれいにしよう
- ・連尺環境サミット '99
- ・『身近な環境に対して行動を起こそう』 単元構想図
- ・6年 年間カリキュラム
- どんぐりって おいしいね ─開発学級実践─
- ・食べられるどんぐりみつけた
- ・どんぐりクッキー作ろうよ
- 第V章みんなでウォッチング
- 今日も楽しく連尺ウォッチング
- ・連尺ウォッチングは宝探し
- ・春見つけ活動 「春見つけ集会」
- ・夏見つけ活動 「生き物わくわくフェスティバル」
- ・鳥見つけ活動 「バードとりップ集会」
- ・全校バードウォッチング
- 親子でウォッチング
- ・親子で一緒にしよう
- ・夏鳥バードウォッチング
- ・虫の音を聴く会
- ・星をみる会
- ・冬鳥ウォッチング
- あとがき
まえがき
「先生,やった。アイガモが生まれる。」
と大騒ぎで,職員室に1年生の子どもが大勢で駆け込んできた。
教室に行くと,アイガモの卵がまさに孵る瞬間で,ヒナがからを破り,くちばしを覗かせていた。
子どもたちは,ふ卵器の前に釘付けになり,息をのんで誕生を待った。なかなか出てこないヒナに,知らず知らずのうちに「頑張れ」と声を上げる子どもや心配で心配で手を合わせる子ども。
──そして,誕生。子どもたちの大きな歓声と拍手。担任は近くの子どもと手を握り合い,涙を浮かべていた。
これは,アイガモをヒナから育てた子どもたちが,新しい命を誕生させたいと願い,試行錯誤の末,実現した瞬間である。
子どもたちは大きな期待を持って学校に入学してくる。「友だちといろいろなことをしたい。新しいことをしたい」と願っている。この1年生のように常に何かを求め,何かに向かって伸びようとするのが子ども本来の姿である。
こうした子どもの姿を大切に育て,日々の教育活動で実現することが私たちの願いである。子どもの伸びようとする芽を的確にとらえ,適切な支援をし,子どもの求める学習を展開することが私たちの目指す授業である。それは,こうした授業の積み重ねが,子どもが将来に亘ってたくましく「生きる力」を育むことにつながると考えるからである。
私たちは「生きる力」を育むために環境総合学習と連尺ウォッチングという活動を創設し,学際的な環境教育を推進することにした。本書は,私たちが子どもとともに創った学習のあしあとをまとめたものである。
未だ問題は山積しているが,皆様方の忌憚のない御批評を頂き,さらに実践を重ねていきたいと考えている。
岡崎市立連尺小学校長 /伊藤 安彦
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- 明治図書