- はじめに
- T 総合学習ってなに?
- ―トライする前に―
- なぜ,今,「総合学習」が必要なのですか?/ 「総合」って何が総合しているのですか?/ 教科学習とはどこがちがうのですか?/ 「総合学習」では子どものどんな姿を期待するのですか?/ どんな内容を「総合学習」で扱うのですか?/ 「総合学習」は昔もやっていたと聞いたのですが/ 「総合学習」の単元を作るときのポイントは何ですか?/ 「総合学習」では教師のどんな支援が大切ですか?/ 「総合学習」ではどんな環境づくりが必要ですか?/ 「総合学習」では地域や社会の人たちとどのようなかかわりをしていくのですか?/ 「総合学習」の評価はどうするのでしょうか?/ 年間の「総合学習」を計画する上で留意しておくことはありますか?/ 私ひとりでも「総合学習」はできるのでしょうか?
- U さあ,はじめてのトライ!
- 1この素材の魅力/ 2単元にトライするにあたって/ 3単元の理想/ 4単元展開の実際/ 5あなたのトライのために…/ [参考]本単元で活用した手引き・ワークシート
- 3年 テーマ総合学習
- 1 [人と自然] 住吉川にホタルを
- 4年 テーマ総合学習
- 2 [人と人] まちのルール違反をさがそう!
- 3 [人と人] 自分のルーツを探ろう!
- 4 [人と人] 点字ブロックってなに?
- 5年 テーマ総合学習
- 5 [人と人] 優先座席,あなたは座りますか?
- 6 [人と人] あなたはどう対応しますか?
- O−157流行のきざし!
- 7 [人と自然] どっちがむだ!―わりばしと紙パック―
- 8 [人と文化] 食物の保存と私たちのくらし
- 6年 テーマ総合学習
- 9 [人と文化] CMの秘密を探ろう
- 10 [人と人] だれにでもできるボランティア活動―ボランティアは特別なことか?―
- 11 [人と人] 脳死は「人の死」か?
- 12 [人と自然] 「6年は組世界環境会議」をひらこう!
- 13 [人と人] エイズって,どんな病気?
- 14 [人と文化] このままでよいのか日本の食文化
- 3年 フリー総合学習
- なんでも博士になってみよう
- 5年 行事総合学習
- 冬の但馬にふれよう
- 英語学習
- GOOD MORNING MR.KING―英語って楽しいね―
- 付録「総合学習のてびき」
- あとがき
はじめに
本校では,平成4年度から総合学習をどう創り出すのかを模索してまいりました。日々,実践を積み重ねて行く中で成果として表れたこと,課題となっていることなどをもとに「総合学習の創造」に向けて,さらなる実践をすすめていかなければならないと思っているその折から,新しい学習指導要領が告示されました。それに伴い,「総合的な学習の時間」の実施についての関心が一気に高まっています。このような総合的な学習が教育課程の基準に正式に位置づけられたことで,より一層,これまでの学習の在り方を考えていかなければならない時期にきていると言えます。
私たちは総合学習を実践していくなかで,次のようなよさを見い出しました。一つは子どもが活動的になり,子どもの学びに変化が起こり,驚くほどの意欲とエネルギーを発揮するということです。次に,あまり,時間にこだわらず,長期にわたって継続的に問題を追究したり,集中して学校外でフィールドワークをしたりと,柔軟な学習の展開ができるということです。さらには,自然のこと,文化のこと,地域のこと,外国のことなど自分なりに追究してきたことを,実際の生活の中で「ひと」「もの」「こと」に対して働きかけていくことができるということです。
私たちは,総合学習を実践して,このようなよさに気づいたものの,実際のところ現代社会の諸問題をどう子どもに出会わせるか,子どもにとっての切実な問題とは何か,子どもの興味・関心だけで本当によいのか,など解決しなければならない課題はたくさんあります。この核心的な部分を実践を積み重ねていく中で,さらに明確にしていきたいと思っております。
今,言われている「生きる力」は,どの教科においても培われますが,私たちは,ことのほか総合学習において培われていくという結論を実践から実感しています。そういう意味では,もっと,「総合的な学習の時間」が重視されてもいいのではないでしょうか。総合学習は,子どもの遊びに変革を起こすと同時に,教師の指導の在り方の問い直しを迫ることにもなります。それは,総合学習での生き生きとした遊びが教科の学習場面でも求められることにもなるからです。
本書が,明日の教育実践に携わる方々の参考書として活用され,21世紀に生きる子どもたちの育成にささやかでも貢献できれば,うれしく思います。
最後に,本研究をすすめるにあたり,ご指導,ご協力をいただきました本学部の先生方をはじめ,諸先生方,諸先輩の皆様方に心から感謝申し上げます。また,本書の刊行のお世話をいただきました明治図書出版社の皆様に厚くお礼申し上げます。
平成11年3月
神戸大学発達科学部附属住吉小学校 校長 /平川 和文
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- 明治図書