- はじめに
- 本書の特徴と使い方
- 1章 見ちゃダメサイト
- ―有害サイトについて ―
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 指導資料 授業での指導のポイント
- ≪見ちゃだめサイト(有害サイトについて)≫
- 有害サイトとは何?
- 有用サイトも有害サイトも混在 並列に表示
- 大切なのは自分にとっての有用性を自分で判断できる力の育成
- 見たくないホームページに出合ったら
- 2章 インターネットゲームってあぶないの?!
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 指導資料 授業での指導のポイント
- ≪インターネットゲームってあぶないの?!≫
- インターネットゲーム ここが問題 3つの視点
- インターネット世界のマナーと歩き方を教えよう
- インターネットゲームの単元を指導するために
- 3章 電子メールを気持ちよく使うには!
- ―文字を通したコミュニケーションの問題 ―
- この章で学ぶこと
- 授業展開例
- 総合的な学習の時間で@
- 道徳の時間で(第5学年学習指導案)
- 総合的な学習の時間でA
- コラム:こんな体験づくりの展開もあります
- 児童用読み物資料「悟の失敗」
- 4章 ブログについて考えよう
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 指導資料 授業での指導のポイント
- ブログについて
- 小学生のブログに関わる問題点
- 5章 知らないうちにやっていないかネットいじめ!
- ―人権侵害の予防と意識付け ―
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 指導資料 授業での指導のポイント
- ネットいじめについて
- 6章 その情報 本当に正しい?
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 授業での指導のポイント@
- 指導資料
- 「総合的な学習の時間」学習指導略案
- 授業での指導のポイントA
- 7章 ちょっと待って! それ勝手に使っていいの?
- ―著作権・肖像権 ―
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 指導資料
- ≪ちょっと待って! それ勝手に使っていいの?≫
- 著作権・肖像権のお話
- 実践事例紹介と解説
- 8章 コンピュータを使いすぎると
- ―心身への影響 ―
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 授業での指導のポイント@
- 授業での指導のポイントA
- 指導資料
- 児童用学習資料「コンピュータを使いすぎると…!?」
- 9章 メディアの選択
- ―情報の選択と調べ方のマナー ―
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 授業での指導のポイント@
- 授業での指導のポイントA
- 授業での指導のポイントB
- 指導資料
- 「生活科」学習指導略案
- 10章 ケイタイ持ってる 使ってる?
- ―携帯電話 危ない落とし穴 ―
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 指導資料
- ≪携帯電話に関するトラブルを未然に防ぐために≫
- このような携帯電話のサービスや便利な機能を知っていますか?
- 児童・生徒の間で実際に起きた携帯電話に関するトラブルの一例
- 親にしかできないこととして保護者に呼びかけたいこと
- 保護者とともに学校で子どもたちに指導していきたいこと
- 情報モラル教育として学校で子どもたちに指導していきたいこと
- 11章 インターネットの安全
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 授業での指導のポイント
- 指導資料
- ≪インターネットの安全≫
- 本章の指導に際して知っておくこと
- 何をどう指導するのか
- 12章 まとめよう ネチケット全般
- この章で学ぶこと
- コンテンツ画面と授業展開例
- 資料・児童用ワークシート集
- 1章用:見ちゃダメサイト
- 2章用:インターネットゲームクイズ
- 3章用:電子メールを気持ちよく使うには!
- 4章用:ブログについて考えよう
- 5章用:ネットいじめ
- 6章用:その情報 本当に正しい?@
- 6章用:その情報 本当に正しい?A
- 7章用:ちょっと待って!それ勝手に使っていいの?
- 8章用:コンピュータの使い方について
- 9章用:調べ方のマナークイズ
- 10章用:携帯電話について
- 11章用:インターネットの安全
- 12章用:ネチケットってなに?
- おわりに
はじめに
コンピュータを始めとする情報機器は,日々その機能を増やしています。そして今日,生活の中に自然にある道具として定着しつつあります。コンピュータは一家に数台,そして高学年や中学生では自分のコンピュータを持っているということも珍しくありません。また,携帯電話においては,その手軽さや安価なことから,児童・生徒への普及はすさまじいものがあります。
これらICT(Information and Communication Technology)(コンピュータやネットワーク)が生活を楽しく便利にする道具として機能しているのは大変すばらしいことですが,一方でICTを悪用する人も増えているのです。児童・生徒がコンピュータや携帯電話による被害に巻き込まれたり,事の重大さを分からないまま事件を起こしてしまったりといった事件も日常茶飯事となりつつあります。これからもICTに関する事件は低年齢層を巻き込んで増えていくでしょうし,今日の大きな社会問題となりつつあります。
私たち東京教育メディア活用研究会では,このような児童・生徒の情報機器に関する問題をくい止めていくためには,学校でも家庭でも情報教育の基本として,まずネット教育を小学校の早い時期から計画的に積み重ねていくことが重要であると考えます。
しかしネット教育は,家庭でも学校でも,あまりなされていないのが現状のようです。「ゲームを楽しんでいるだけだから我が家の子は大丈夫」とか「親より詳しいから手が出せない」「どう具体的に授業したらよいのか分からないし,教材がない」「まだ4年生だし,危ないことは別にない」「帰りの学級指導で一言話をしたからこれでよい」といった声をよく耳にします。児童が今ICTをどのように使い,どのようなネット環境にいるのかを,大人がもっと真剣に実態把握する必要があります。実態把握すると,緊急に対処しなければならなかったり,指導を継続させて意識や態度,生活リズムを改善させる必要があったりと,課題がたくさん発見できるでしょう。しかしインターネットや携帯電話はどのように使われているかの実態把握が難しい(見えにくい)メディアです。これが故に皆さんが認識している以上にICTの社会問題化は進んでおり,まさに危機的な状況です。
東京都内の任意の小・中学校教員を会員とする東京教育メディア活用研究会では,平成16年に上記のような問題意識のもと,ネット教育に関する指導資料と授業で使う教材(コンテンツや児童用ワークシート)の開発を始めました。開発に先立ち,会員が自校の実態調査を行いました。ICTをどこでどの程度,どのように使っているか,どのようなWebサイトを見ているのか,携帯電話の所持や使い方はどのようか,といった内容で,家庭での時間帯も含めての調査です。これに基づいて,指導する内容を選択し,教材や指導案を作りました。実際の授業で相互に使い合い,修正を繰り返しました。開発した資料やコンテンツは,上月教育財団の研究助成を受け「ネット教育指導用パッケージ」として作成し,関係各学校等に配布することができました。この研究はさらに平成16年度上月情報教育賞をいただき,全国から授業のためにパッケージをほしいといったご要望が寄せられました。そこで,今般加除修正を加え,本書を発行することにしました。
平成20年3月28日,新学習指導要領が告示されました。文部科学省のホームページの特設ぺージでは,改訂の基本的考え方や全文,改訂経過等を紹介しています。この中から,本書に関係のある箇所に目を通してみました。まず理念の「生きる力」について,以下のように述べています。
「○基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと,自ら課題を見つけ,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力 ○自らを律しつつ,他人とともに協調し,他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性 ○たくましく生きるための健康や体力 など」
教育内容に関する主な改善事項を見ると,知的活動やコミュニケーションの基盤になる「言語活動の充実」「道徳教育の充実」がクローズアップされています。また,“社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項”として「○情報教育 ○環境教育 ○ものづくり ○キャリア教育 ○食育 ○安全教育 ○心身の成長発達についての正しい理解」が掲載されています。
ICT社会の発展から見て,これからの時代の「生きる力」には「ICTを活用して問題解決できる能力」が当然含まれてきます。この能力を健全に育成して,ICTの光の部分を有効に活用できるようにしたいものです。そのためには,ネット教育が不可欠なのです。
ネット教育の基本は,日常的なモラル教育や健康教育(心身の成長発達の教育)です。ICTを使っていない時でもこの指導は可能です。学校においては,全校で体系的に計画を作ったり,学年や学級で具体的に発生した場面を取り上げたりして,継続してこの指導を積み上げていくことが大切です。これは学校教育が始まる低学年から出発するのです。
さて本書の各章とコンテンツや教材は,会員が分担して作成し,授業でも検証し使用いたしました。それでもまだ修正が足らない部分が多々あります。しかしこのパッケージの特徴は,現場の教員が実際の指導のために作成し,その内容を増やしたり作り替えたりできる点にあります。どうぞ各学校での指導で幅広くご活用ください。そして新しく作成されたり改訂された場合には,お知らせいただいて,パッケージの新たな内容として組み込むことにご協力いただければと思います。
平成21年1月 東京教育メディア活用研究会代表 /二見 美佐子
(注) 文部科学省の書籍等では「情報モラル教育」という言葉で広義に扱っている。本書では,@情報社会における正しい判断や望ましい態度を育てる A情報社会で安全に生活するための危険回避やセキュリティについての知識・技能を高める B自分の心身について安全健康の意識を高める3つの観点の指導という意味で,「ネット教育」とした。
-
- 明治図書