中学校社会サポートBOOKS
パフォーマンス課題を位置づけた中学校社会の単元&授業モデル

中学校社会サポートBOOKSパフォーマンス課題を位置づけた中学校社会の単元&授業モデル

社会科のパフォーマンス課題&評価を具体化する授業事例集

新たな評価方法の一つとしていま注目を集めている「パフォーマンス評価」。本書では、中学校社会科の日々の授業実践の中でそのまま活用できるように、三分野における主要な中項目における単元計画と、それに基づくパフォーマンス課題とルーブリックを示しました。


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PDF
ISBN:
978-4-18-070544-3
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 136頁
状態:
在庫あり
出荷:
2019年10月18日
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CONTENTS

もくじの詳細表示

はじめに
本書の使い方
地理的分野
1 世界と日本の地域構成地理的な根拠をもって,領土問題に関する意見書をまとめよう
2 世界各地の人々の生活と環境世界各地における人々の生活の特色や変容の理由を説明しよう
3 世界の諸地域 アジア州持続可能なアジアの発展に向けて,構造図をまとめよう
4 地域調査の手法都市型洪水の発生が予想される地域の防災調査報告書を作成しよう
5 日本の地域的特色と地域区分災害時の対応や復旧・復興を見据えた対応を報告しよう
6 日本の諸地域 近畿地方地域環境の課題を分析し,発展計画書にまとめよう
7 地域の在り方持続可能な地域の発展計画を構想しよう
歴史的分野
8 身近な地域の歴史中学生に歴史と僕たちのつながりについて話そう
9 古代までの日本古代の王子になりきり,国の成り立ちをまとめよう
10 中世の日本ユーラシアの地図をもとに,モンゴル帝国侵攻の理由を考えよう
11 近世の日本役人になりきり,江戸時代が約260年続いた理由を論じよう
12 近代の日本と世界TV番組で,これからの日本や世界に必要な考え方を提案しよう
13 現代の日本と世界30年後の自分に,よりよい社会を築くためのメッセージを送ろう
公民的分野
14 私たちが生きる現代社会と文化の特色TV番組で,現代社会の生き方について最終意見を述べよう
15 市場の働きと経済雇用と労働条件に関する改善策の原案を作成しよう
16 国民の生活と政府の役割いろいろな人の立場をふまえながら,これからの財政のあるべき姿について主張しよう
17 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則日本の政治が日本国憲法に基づいて行われている理由を弟に説明しよう
18 民主政治と政治参加旅先で見た地域や住民の努力にならい,あなたの街の課題を解決しよう
19 世界平和と人類の福祉の増大総理大臣になって,軍縮や国際平和に向けての国際貢献を考えよう
20 よりよい社会を目指してSDGsに基づき,課題解決に向けて方策と行動宣言をレポートしよう

はじめに

 パフォーマンス評価という言葉を現場でもよく聞くようになった。平成27年8月に出された,いわゆる「論点整理」の中で新しい学習指導に対する評価方法の一つとして例示され,また,平成29年3月に告示された新学習指導要領では,「三つの柱」として整理された資質・能力の育成を目指すことが示される中,新たな評価方法の探究の中で注目を集めている評価方法の一つである。パフォーマンス評価に対する注目は教育研究の世界だけでなく,実際に生徒の指導にあたる現場でも非常に高く,むしろ最近は,現場の先生方の関心が高いことを感じている。「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進が進む中,現場での学習指導が大きく変わるとともに,学習評価の在り方も大きく問われている。

 「学習指導が大きく変わる中,学習評価はどのように変えていくべきか」といった議論の一つの回答が,パフォーマンス評価の導入であろう。新しい学習方法が様々なところで研究され,実践されている今こそ,新しい学習評価についても探究を深めていきたい。


新学習指導要領が目指す学習

 今,私たちが目の前にする生徒たちの生活は,この何十年かの間に激変した。さらに時代の変化は加速するばかりで,生徒たちが社会で活躍する頃にはさらに大きな変化が起きていることだろう。こうした急激な社会の変化を背景として,この変化に対応し,よりよい社会や世界を創る担い手として必要な資質・能力を生徒一人ひとりに身につけさせようというのが,今回の改定の基本的な考え方である。これを実現するために,育成を目指す資質・能力を明確化し,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を推進していくことを示している。

 育成を目指す資質・能力とは,学校教育が長年その育成を目指してきた「生きる力」であり,「何を理解しているか,何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」「どのように学ぶか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」の三つの柱のことである。この資質・能力の育成に向けて,「主体的・対話的で深い学び」を実現しながら授業改善を推進していくのである。


学習指導要領改訂の方向性(中央教育審議会答申,2016年)(図省略)


今なぜ「パフォーマンス評価」なのか

 このように新学習指導要領では,劇的に変化する予測不可能な社会情勢の中でたくましく生きていくための資質・能力としての三つの柱や主体的・対話的で深い学びを実現する授業改善が求められている。これからはこのことを意識した単元構成を考える必要があるだろう。一つの単元は,社会や学習に対する関心や意欲を土台として,必要な知識や技能を習得し,それを活用しながら社会的な課題解決を思考・判断し表現する中で,よりよい社会を築こうとする態度を養っていくという流れが考えられる。また,新学習指導要領ではESDの視点に立った記述も多く見られ,よりよい社会や世界の実現に向けて,様々な人々と協働しながら「今,自分は何をすればよいのか」といった最適解を目指す学習も重視されている。こうした学習を一体的に評価することは,もはやペーパーテストでは不可能だろう。学習指導が変われば学習評価も変わるということで,今,新しい学習に適した新しい学習評価の探究が始まっているのである。これからの学習は知識や技能の習得のみならず,これを活用して思考・判断・表現し,よりよい社会や世界の実現に向けての主体的な態度を育成していくのであるから,特定の部分だけをみとって評価する方法ではなく,先の単元構造を反映した総括的な評価方法が必要になる。

 平成28年12月に出された中央審議会答申では,「資質・能力のバランスのとれた学習評価を行っていくためには,指導と評価の一体化を図る中で,論述やレポートの作成,発表,グループでの話合い,作品の制作等といった多様な活動に取り組ませるパフォーマンス評価などを取り入れ,ペーパーテストの結果にとどまらない,多面的・多角的な評価を行っていくことが必要である」としており,評価方法の転換とパフォーマンス評価の有効性を示している。このように,学習指導の改善から新たな評価方法の探究が今,求められている。学習指導の改善と一体となって学習評価の改善を図ることが必要なのである。また,学習指導と学習評価は一体であるからこそ,学習評価の改善から学習指導の在り方を見直すことも重要である。今,学習指導と学習評価が一体となって改善されるときがきているのである。


(図省略)


パフォーマンス評価とは

 ここで,改めてパフォーマンス評価とは何かということについて確認しておきたい。パフォーマンス評価については,京都大学大学院の西岡加名恵先生をはじめ,尊敬すべき先生方のすばらしい研究が進められているが,ここでは,それらの研究の成果に生徒を直接指導する現場教師としての筆者の経験からの解釈を交えながら論じていきたい。

 パフォーマンス評価は,パフォーマンス課題とルーブリック(評価の指標)を生徒に示して課題に取り組ませ,示したルーブリックに基づき評価する評価方法の総称である。それぞれの言葉の解釈は,以下の通りである。


「パフォーマンス評価」

 観察・対話・実技テスト・自由記述による筆記テストなどを手がかりとして,知識や技能の活用を含めた思考力・判断力・表現力及び態度などを総括的に評価する評価方法

「パフォーマンス課題」

 パフォーマンス評価を実施する際に提示する,具体的な事例を設定して構成された学習課題。習得した知識や技能を総合して活用する要素を含む。

「ルーブリック」

 パフォーマンス課題に含めた知識や技能の活用を見極めるための要素を含む記述から構成されている評価の指標。(先行研究をもとに,筆者が解釈)


 ここで注意してほしい点は,パフォーマンスという言葉である。そこからは生徒の活動を連想してしまいがちだが,この言葉に込められた意味はそれだけではない。パフォーマンスとは,知識や技能の活用を含めた思考力・判断力・表現力や態度を総括的,一体的に発揮した生徒の活動を意味すると,筆者は解釈している。つまり,パフォーマンス評価とは,体育や音楽などの実技教科で行われているような実技テストとは異なる,学習活動の総括的な評価ということである。例えば,音楽における歌唱の実技テストは,生徒の歌唱の技能や歌唱による表現力をみとるテストであり,音楽の授業における総括的な評価ではない。しかし,ここでいうパフォーマンス評価は,その単元やこれまでの学習の成果を生かし,知識や技能の活用を含めた思考力・判断力・表現力や態度を総括的,一体的に評価する評価方法なのである。


実技評価とパフォーマンス評価との比較(表省略)


パフォーマンス評価の作成と実施にあたって

 パフォーマンス課題の作成にあたって意識することは,その単元の学習における生徒のパフォーマンスを十分に発揮できるものでなければならない。そのためには,単元における学習目標を明確にすること,学習目標を達成するために必要な知識や技能を習得させるための学習活動を単元指導計画の中に盛り込むこと,さらには習得した知識や技能を十分に活用して思考・判断・表現する学習場面を設定することが重要である(前述の学習構成の基本構造を参照)。そして,これらの目標や単元の学習に合わせて,パフォーマンス課題を検討する。ここまで論じてきたことを重視し,先行研究などでは単元指導計画を作成するにあたり,「逆向き設計」を提唱している。「逆向き設計」とは,単元の学習で最終的に身につけるべき学習成果から考え,その実現にはどのような学習が,どのような順序で必要なのかを考えるものである。社会科や各分野が目指す目標,単元の目標を意識しながらパフォーマンス課題を設定し,それに関連づけて単元指導計画や一単位時間の授業をデザインしていくのである。

 また,単元の目標―指導―評価の一体化という連続性をもち,学習が一体となって実施されることも重要である。新学習指導要領が示す資質・能力である三つの柱の育成を目指したパフォーマンス評価を考えることから,三つの柱の育成を目指した授業の工夫と改善が図られることが望ましい。「目標があって,それを実現するための授業があり,目標の達成具合を適切な評価方法で測定する」という流れをつくることで,パフォーマンス課題やルーブリックの設定がより的確なものとなるだろう。

 ルーブリックの作成にあたっても,学習目標を意識しながら作成する。学習目標を意識したルーブリックが提示されることで,生徒も課題に取り組む中で自然と学習目標を意識する。ルーブリックが評価の指標だけでなく,生徒の学習の指標となるよう工夫してほしい。


目標−指導−評価のサイクル(図省略)

著者紹介

中野 英水(なかの ひでみ)著書を検索»

1970(昭和45)年,東京生まれ。東京都板橋区立赤塚第二中学校主幹教諭。1993(平成5)年,帝京大学経済学部経済学科卒業。東京都公立学校準常勤講師,府中市立府中第五中学校教諭を経て,2013(平成25)年から現職。東京都教育研究員,東京都教育開発委員,東京教師道場リーダー,東京方式1単位時間の授業スタイル作成部会委員を歴任。現在,東京都中学校社会科教育研究会地理専門委員会委員長,全国中学校社会科教育研究会研究調査委員,関東ブロック中学校社会科教育研究会事務局員,東京都教職員研修センター認定講師,日本社会科教育学会会員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • パフォーマンス課題について検討していたところだったので、参考になりました。
      2019/3/240代・中学校教員
    •  評価と指導の一体化を図る上で、示唆にとんだ内容でした。ルーブリックについて、数値などの具体的な記述がほしかった
      2019/2/1520代・中学校教員
    • パフォーマンス課題とルーブリックについて、具体的に書かれています。また、単元の評価規準が次期学習指導要領に基づいて三観点で示されていて、今後の授業作りにいかせそうです。
      2019/1/3130代・中学校教員
    • 単元構想やルーブリック、期待される記述例や、展開などが書かれていて、とても参考になった。中野先生のワークシートもぜひ書籍化してほしい。
      2019/1/2720代・中学校教員
    • 新しい時代の評価に対応するために必要なことが学べた。
      2019/1/2630代・教委
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