- はじめに
- Chapter1 資質・能力を育む授業づくり
- 「資質・能力」を育むための「授業」概念の転換
- 1 「知識基盤社会」の時代
- 2 「主体的・対話的で深い学び」
- 3 「教科の論理」
- 4 教師の指導性
- 7つの資質・能力により自己を形成する子供
- 1 子供の試行錯誤を許容し,その過程で顕在化されるよさを価値付ける
- 2 資質・能力の育成と本校が目指す教育の在り方
- 3 自己形成を支える7つの資質・能力
- 4 幼児期の教育と7つの資質・能力のつながり
- 5 資質・能力が顕在化する授業デザイン
- 6 資質・能力の育成を支えるオーダーメイドの授業づくり
- 7 記録をもとに授業を語る
- 8 実践編の読み方
- Chapter2 7つの資質・能力を教科で育む
- 国語科 言語に対する感覚を磨き,活用力を高める国語科学習
- 1 国語科の本質
- 2 国語科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第3学年 不思議な出来事に注目しながら物語の「ナゾ」を読み解き,感じたことを伝えよう
- 授業事例2 第5学年 物語のここが面白い!〜作品の特色を捉えて読み味わおう〜
- 授業事例3 第6学年 解き明かしまSHOW〜海の命○○のなぞ〜
- 社会科 確かなる意思を持って,社会に参画する力を育む社会科学習
- 1 社会科の本質
- 2 社会科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第3学年 進化する! 変化する! 昔の道具
- 授業事例2 第4学年 受け継ごう! 先人の努力と苦労
- 算数科 協働での学びが問いの解消を促進していく算数科学習
- 1 算数科の本質
- 2 算数科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第1学年 どこたすの ここたすの こうなるの
- 授業事例2 第2学年 新しい計算登場! その名はかけ算!
- 授業事例3 第6学年 斜柱の体積を求めよう
- 理科 「不思議さ」に触発され,「確かさ」で解き明かす理科学習
- 1 理科の本質
- 2 理科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第6学年 my缶かまどでお湯を沸かそう
- 生活科 自己と関わる生活科学習
- 1 生活科の本質
- 2 生活科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第2学年 いいところいっぱい! 大切にしようみんなの公園〜あったらいいな! こんな公園 ぼくのわたしの公園づくりシミュレート〜
- 音楽科 「楽しさ」や「感動」を共につくりだす音楽科学習
- 1 音楽科の本質
- 2 音楽科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第2学年 わたしたちの「汽車の音楽」をつくろう
- 授業事例2 第4学年 友達とリズムでつながろう
- 授業事例3 第5学年 ろ組バージョン「キリマンジャロ」の合奏をしよう
- 図画工作科 多様な表現を楽しみ,自分なりの意味や価値観をつくりだす図画工作科学習
- 1 図画工作科の本質
- 2 図画工作科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第1学年 センタくんのおねがい
- 授業事例2 第4学年 マイDOGUをつくろう
- 授業事例3 第6学年 12歳,わたしのメッセージ
- 家庭科 「よりよくしたい」という願いを形にできる家庭科学習
- 1 家庭科の本質
- 2 家庭科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第6学年 感謝の気持ちを伝えるプレゼントづくり
- 体育科 仲間とともに想いやイメージを膨らまし,よりよい動きに表す体育科学習
- 1 体育科の本質
- 2 体育科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第3学年 つながれ! みんなの大ジャンプ!
- 授業事例2 第3学年 「より大きく!」目指せ回転マスター
- 授業事例3 第5学年 回転技のパス〔パワー&スピード&つなぐ〕
- 道徳科 「明日見える景色」が変わる道徳科学習
- 1 道徳科の本質
- 2 道徳科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第5学年 命の尊さ「メダカとカダヤシ」
- 外国語活動・外国語科 英語で伝え合い,異文化の学びから視野を広げる外国語学習
- 1 外国語活動・外国語科の本質
- 2 外国語活動・外国語科で顕在化させたい資質・能力
- 3 資質・能力を顕在化させる授業デザイン
- 授業事例1 第5学年 Let’s coordinate clothes!
- おわりに
はじめに
ここ数年,世の中の大きな変化が目につきます。異常気象,国際関係や経済状況を含めた社会情勢の流動化,私たちの生活を豊かにすると考えられていたものが環境に大きな負荷を与えていることなど,数え上げたらきりがありません。未来が見通しづらい時代になってきました。
日本国内でも,大きな自然災害が私たちの生活に深い爪痕を残しています。この文章を書いている今も,9月の北海道での地震や近畿地方への台風によって,人々の努力にもかかわらずライフラインは未だに復旧途上です。
科学技術,特にIT技術の発展が生活を激変させる時代に私たちは生きています。数年前のことが遙か以前の出来事のように感じられます。どのような世の中になるのか(するのか),私たち自身が問われるのでしょう。
様々な状況の中で,教育が果たす未来への役割,責任はますます大きくなっていきます。特に小学校の6年間は,「子供たちが未来社会を切り拓くための資質・能力」を育成する大切な時間です。
滋賀大学教育学部附属小学校は「いまを生きる」を基本理念として,心豊かで実行力のある子供を育てることを教育目標としています。私たちは,全教員が各教科・領域で教育の実践研究を行い,その研究結果を公刊図書として出版し,研究成果を世に問うてきました。これまで7冊を数えます。
平成28年度より「学びの実感により自己を形成する子ども─教科の本質から資質・能力を顕在化させる授業デザイン─」と題して研究を行っています。本年度がその最終年です。子供の資質・能力,すなわち子供自身の自己形成を支える力を学習の中で育成するための授業デザインの在り方について,実践を通して研究してきました。このテーマはこれからも日々進化させていかねばなりませんが,ここに現在までの研究成果をお示しさせて頂きます。本書を手にとって頂けた方々に,何らかのヒントとなりますでしょうか。
忌憚のないご批判やご意見を頂ければ幸いです。
滋賀大学教育学部附属小学校 校長 /磯西 和夫
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