- はじめに
- 序章 創造表現活動の可能性
- 【寄稿】「創造表現活動」を設立したカリキュラムの可能性
- /磯田 文雄(名古屋大学アジアサテライトキャンパス学院 学院長)
- 創造表現活動から私たちは何を学んだのか〜卒業生シンポジウム〜
- 創造表現活動で輝く生徒たち
- 第1章 コミュニケーション能力,創造的思考力を育む創造表現活動
- 1 これからの時代に必要な資質・能力〜コミュニケーション能力,創造的思考力〜
- 2 なぜ新領域なのか
- 3 創造表現活動を設立したカリキュラム
- 4 相手意識をもったよりよい表現を追求する
- 5 “豊かな体験”と“振り返り”から自己の生き方・在り方を問い直す
- 6 教科の本質に迫る附属高松中学校の教科学習
- 創造表現活動ってナンダ? QA
- 創造表現活動のよさ みなさんの“声”集めました
- 第2章 創造表現活動の実践
- 1 相手意識をもったよりよい表現を追求する〜創造表現活動プラム〜
- 1年 「ワークショップデザイン体験〜校内科学体験フェスティバルに向けて〜」
- 1年 「演劇T〜幕は上がる〜」
- 1年 「附高中写真コンテスト〜写真に込められた思い〜」
- 1年 「おすすめ旅行プラン〜香川の魅力を全国へ〜」
- 2年 「演劇U〜The challenge of expressing〜」
- 2年 「附中裁判所〜感動の昔話法廷〜」
- 2年 「創作紙芝居」
- 2年 「人の心を動かす映像制作T〜映像の可能性〜」
- 3年 「おもてなし〜四国88ヶ所霊場を世界遺産に〜」
- 3年 「シンポジウム〜ミライノセイトカイ〜」
- 3年 「瀬戸内アートゲイト〜インフォメーションセンターの模型製作〜」
- 3年 「人の心を動かす映像制作U〜映像に想いを込める〜」
- 【寄稿】心理学からみた創造表現活動プラムの意義
- /岡田 涼(香川大学教育学部 准教授)
- 2 豊かな体験と振り返りから自己の生き方・在り方を問い直す〜創造表現活動人間道徳〜
- 1年 「食べるラボプロジェクト」
- 2年 「ドリー夢メーカープロジェクト〜ともに夢を描こう〜」
- 3年 「絆プロジェクト〜自分,相手,そして社会を楽しくするために〜」
- 【寄稿】これからの道徳教育を創造表現活動から展望する
- /七條 正典(高松大学発達科学部 教授)
- あとがき
- 編集後記
- 研究同人,ご指導・ご助言をいただいた先生方
- Column
- コミュニケーション能力,創造的思考力の高まりってどう評価するの?
- なぜ“プラム”“人間道徳”なの?〜名称の由来〜
- “本物”との出合いが表現を変える?〜その道のプロから学ぶ〜
- 人間道徳は「特別の教科 道徳」を超えるのか!?
- 創造表現活動は生徒も教師も変える!
はじめに
本校では常に生徒の「今の幸せ」と「未来の幸せ」との二つの幸せを考えてきました。「今の幸せ」とは,今日の生徒の学校生活を充実した楽しいものにするということ,「未来の幸せ」とは,卒業後の10年先の社会人となった生徒の姿を想定し,そこで充実した楽しい人生が送れるということ。そのためのカリキュラムをこの本にまとめました。
本校にはカリキュラムを開発してきた歴史があります。常に時代を先取りし,社会の要請に応えるよう教育の最先端モデルを提案してきました。昭和54年に創設された「セミナー」は,その後の「選択教科」のモデルとなりました。同様に平成3年度に開設された「人間科」は,中学校における総合学習のモデルとなりました。その後もカリキュラムの研究開発を続けてきました。そして今回,令和の時代を迎え,また新しいカリキュラムを提案します。今の生徒たちの10年後の社会はどのように変化しているでしょうか。既存の職業の過半数はなくなり,新たな職業が生まれると言われています。当然,生徒たちにはその未来の職業に対応できる新たな能力が求められます。本書で提案する「創造表現活動」は,生徒たちの10年後の未来に必要とされる能力を伸ばすものです。
本校では,平成27年度から4年間の文部科学省研究開発学校の指定を受けて,豊かな表現と深い学びを育む教育課程の研究開発に取り組んで参りました。生徒たちのこれからの時代に必要とされる「コミュニケーション能力」「創造的思考力」の育成という大きな課題に対し,従来の教科の枠組みを超えた「創造表現活動」という新領域を設置しました。その中の「プラム」「人間道徳」という二つの小領域では,特色ある表現活動を実践するとともに,学年進行に伴ってより高次となる教育活動を展開すべく取り組んで参りました。
新元号「令和」の典拠は「初春の令月にして,気淑く風和ぎ,梅は鏡前の粉を披き,蘭は珮後の香を薫らす」という万葉集の中にあります。この文章のキーワードの一つである「梅」は学問の神様の菅原道真の歌から来ており,我が附属高松学園のシンボルです。「プラム」の名前もそこからきています。新しい令和の時代の教育の先駆けとして附属高松中学校の開発した新たなカリキュラムを発信できることを嬉しく思います。
最後になりますが,本書をまとめるにあたり,この4年間の研究をご指導いただいてきた運営指導委員であられる,名古屋大学アジアサテライトキャンパス学院学院長 磯田文雄先生,高松大学教授 七條正典先生,香川大学教育学部准教授 岡田涼先生より玉稿を賜りました。ありがとうございました。さらに,香川県教育委員会の先生方はじめ,多くの先生方のご支援,ご協力を賜り,本書を刊行することができましたことに深甚なる感謝を申し上げます。
校長 /佐藤 明宏
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- 明治図書