- まえがき
- T 「総合的な学習」の課題づくりの考え方
- /北 俊夫
- 1 「課題」の二面性と二重構造
- (1) 「課題」の二側面
- (2) 「課題」の二重構造
- 2 教師が取り上げる「課題」をどうとらえるか
- (1) 例示されている「課題」のとらえ方
- (2) 「はじめに『課題』ありき」でよいか
- 3 子どもが「課題をつくる」ということ
- (1) 「自ら課題を見付け」ということは指導のねらい
- (2) 自ら課題を見つけることのできる子どもを育てるために
- (3) 「自ら課題を見つける」ことは解決の見通しをもつこと
- (4) 教科学習における「課題づくり」の大切さ
- (5) 日頃の生活のなかで問題や疑問をもつ習慣を
- U 「総合的な学習」の課題づくりの方法
- /田中 博之
- 原則1 探求・表現・交流に関わる課題をつなぐ
- 原則2 子どもに課題を評価する力を育てる
- 原則3 課題を変更・発展する力を育てる
- 原則4 全員が共通認識できる中心課題を決める
- 原則5 教師の願いと子どもの思いのバランスをとる
- 原則6 子どもに自己成長課題を設定させる
- 原則7 課題づくりに一単位時間をあてる
- V 「総合的な学習」の課題づくりの実際
- 1 教師による提示型の課題づくり /荒治 和幸
- 1 年間テーマにもとづく単元構成
- 2 一味トウガラシづくりに挑戦
- 3 ヒョウタンの一味入れづくりに挑戦
- 4 そばの栽培に挑戦
- 5 そば打ちに挑戦
- 6 オール手づくりで大満足
- 7 提示型の課題の魅力と落とし穴
- 2 選択型の課題づくり1 /青柳 吉乗
- 1 単元名 丸山ネイチャーたんけんたい(3学年)
- 2 単元のねらい
- 3 選択型の課題づくりについて
- 4 単元の目標
- 5 単元構成
- 6 学習展開の実際と子どもの反応
- 7 成果と展望
- 3 選択型の課題づくり2 /神永 典郎
- 1 基本的な考え方
- 2 学習活動の計画
- 3 活動の実際
- 4 成果と課題
- 4 子どもの疑問集約型の課題づくり
- 〜子どもの「問題」を「中心課題」に〜 /西 孝一郎
- 1 「中心課題」を考えた単元構成
- 2 問題(疑問)を見つける体験や活動
- 3 問題から課題への体験や活動
- 4 全体の課題に練り上げる
- 5 課題に対する考えをもつ
- 6 「中心課題」をもとにした交流
- 7 「共に生きる」(6年)をもとにして
- 8 「中心課題」に対する考えを他の学習に
- 5 学習計画の立案重視の課題づくり /中田 正弘
- 1 はじめに
- 2 子どもによる学習計画
- 3 「学習計画立案を重視した課題づくり」における配慮事項
- 4 「課題づくり・学習計画立案」を上手に行うための教師の支援
- 5 4年「一人一人が健康博士」の実践から
- 6 6年「チャレンジ・マイプラン」の実践から
- 6 体験・ふれあいによる課題づくり1 /渡辺 敏
- 1 体験から課題が生まれる
- 2 体験を重ねることで課題が深まる
- 7 体験・ふれあいによる課題づくり2 /岡田 英三
- 1 「自然がいっぱい百間川」の構想について(3年)
- 2 授業の実際
- 3 反省と今後の課題
- 8 資料提示による課題づくり /細村 一彦
- 1 基本的な考え方
- 2 計 画
- 3 実 際
- 4 成果と課題
- 9 一人一課題の自由研究型の課題づくり /渡辺 惣吾
- 1 「宝島 卒業研究」の位置づけ
- 2 活動の実際
- 3 成果と課題
- 10 教科発展型の課題づくり
- 〜教科授業の質の向上とぬくもりのある体験の創造を〜 /市川 則文
- 1 はじめに
- 2 私の考える「課題」とは
- 3 教科発展型の課題づくりのための教師の構えと体制
- 4 課題づくりのための方策
- 5 具体的な事例
- 6 おわりに
まえがき
創設された「総合的な学習の時間」には,これまでの教育課程に見られない多くの新しい要素が含まれている。各学校の創意工夫が発揮される部分が,ふんだんに用意されているからである。総合的な学習の目標や内容をはじめ,教材や学習活動なども,各学校に任されている。
総合的な学習は,各学校が特色ある学校づくり,特色ある教育活動を展開する象徴的な場である。ある人は,「学校のチームワークと教師の指導力が試される時間だ」と,厳しく言っていた。総合的な学習の実践に当たっては,各学校や教師一人一人の創造力と授業力が求められるのである。
いま多くの学校で,総合的な学習が精力的に実践されている。ユニークな実践も数多く展開され,研究発表会や研究図書などでそれらの実践交流も盛んに行われている。ところが,そこでは「学ぶことはできるが,まねることができない」というジレンマがあり,新たな実践課題も提起されている。
総合的な学習にかかわる多くの研究会や学校などでは,ほぼ共通して次のような課題や疑問,質問などが出されるのである。
「子ども自らに課題をつくらせて総合的な学習を進めようとするのですが,総合的な学習の課題づくりをどのように行ったらいいのですか」
「教科での学習や特別活動と関連を図りながら総合的な学習の授業をつくろうと考えているのですが,具体的にどのように展開したらよいのですか」
「各学校で総合的な学習のカリキュラムをつくる必要があると言われていますが,それがどうして必要なのですか。またカリキュラムをどのようにつくるのですか。具体例はありますか」
「総合的な学習の学力や基礎・基本をどう考え,それらをどのように評価していけばいいのですか」
「総合的な学習には教科書がないので,地域の素材を教材化して進めようと考えているのですが,地域のどのような素材を見つけて,どのように教材化すればよいのですか」………
いずれの課題や質問も,各学校や実践者においては,日頃の実践をとおして感じている一刻も早く知りたい,解決したい切実なものばかりである。それらのキーワードは,「課題」「関連」「カリキュラム」「学力と評価」「教材」である。
いまの総合的な学習の実践をさらに充実させていくためには,これらの課題や疑問などの一つ一つに適切にかつ実践的に応えることが必要であると考え,本シリーズを刊行することにした。構成は,次のとおりである。
1 「総合的な学習」の課題づくり
2 「総合的な学習」と教科との相互関連
3 「総合的な学習」のカリキュラムの実際
4 「総合的な学習」の学力と評価技法の開発
5 「総合的な学習」の教材開発――本県の一押しネタ
幸い,先進校においてはこれらの課題解決のために,すでにアイデアと知恵を出し合い,貴重な成果も生み出している。各巻には,それらの学校や先生方から貴重な実践や取り組みの状況が報告されている。各学校のニーズに応え,量質共に豊かな内容構成になったと自負している。
本シリーズが,各学校において有効に活用されることによって総合的な学習の課題が解決され,実践がさらに充実されればこれ以上の喜びはない。
本企画の趣旨をご理解いただき,たいへんお忙しいなかをご執筆いただいた先生方には,この場を借りて心からお礼と感謝を申し上げたい。
また,明治図書出版(株)の樋口雅子編集長には,企画の段階から終始,懇切丁寧なご指導とご助言をいただいた。感謝の念でいっぱいである。
2001年5月 編著者 /北 俊夫
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- 明治図書