- まえがき
- 1章 少人数指導のねらいと背景
- 1 少人数指導導入の経緯
- 2 少人数指導のねらい
- 3 第7次教職員定数改善計画と少人数指導の動向
- 2章 少人数指導のカリキュラム
- §1 少人数指導におけるカリキュラムの特性
- 1 基礎学力の向上(基礎的・基本的な内容の定着)
- 2 子供の個性に応じたきめ細かな指導
- §2 少人数指導におけるカリキュラムの実際
- 1 基礎学力の向上と個性に応じた指導の調和
- 2 少人数指導のカリキュラムと指導体制
- 3 カリキュラムを支える条件整備
- 3章 少人数指導と実施学年
- §1 教科学習と実施学年
- 1 教科学習における少人数指導の意義
- 2 教科学習における少人数指導の基本的な考え方
- 3 教科学習における少人数指導の実施学年
- §2 生徒指導と実施学年(学校生活への適応)
- 1 「1対多数」の規制緩和
- 2 生徒指導と少人数指導
- 3 高学年における少人数指導
- 4 低学年における少人数指導
- 5 生活集団と学習集団
- 4章 少人数指導と実施教科
- §1 国語科での具体化と指導
- 1 少人数指導と国語科における実践
- 2 少人数指導と国語科指導
- 3 国語科における少人数指導の具体化
- §2 算数科での具体化と指導―課題選択学習を取り入れた指導―
- 1 21世紀教育新生プラン
- 2 個性や能力・適性に応じた指導
- 3 課題選択学習カリキュラム
- 4 課題選択学習の実践事例
- 5 本実践の特色
- §3 理科での具体化と指導
- 1 「少人数指導」を具体化するための考え方
- 2 少人数指導の分類
- 3 少人数指導の学習モデル
- 4 課題選択
- §4 その他の教科での具体化と指導
- 1 社会科における具体化と指導
- 2 総合的な学習の時間における具体化と指導
- 5章 少人数授業での指導法
- §1 個別指導の特質と実践の方法
- 1 個別指導を大切にする意味
- 2 個別指導の特質と実践の方法
- 3 少人数授業で個別指導を進めるに当たって
- §2 習熟度別指導の特質と実践の方法
- 1 習熟度別指導の背景と教育施策
- 2 習熟度別指導の特色
- 3 習熟度別指導の実践の方法
- 4 学級崩壊・授業崩壊と習熟度別指導
- §3 課題別学習の特質と少人数授業の実践方法
- 1 課題別学習とその特質
- 2 少人数による課題別学習の実践方法
- 3 課題別学習の指導事例
- §4 ティーム・ティーチングの特質と実践の方法
- 1 ティーム・ティーチングとは
- 2 ティーム・ティーチングの意義
- 3 ティーム・ティーチングの授業方法
- 4 ティーム・ティーチングの実践の視点―算数科を例として―
- §5 教授メディアの活用と実践の方法
- 1 情報社会と学校での情報手段の活用
- 2 情報活用能力と少人数指導
- 3 学校の情報化を支える要素
- 4 情報手段やメディアを用いた少人数指導による学習場面と組織の在り方
- 5 情報手段・メディアを生かした指導における効果的なハード・ソフトウェアの導入
- 6 実践に向けての現状の機器や施設の状況と想定される児童の集団の構成
- 6章 少人数指導の運営
- §1 授業時間運営のあり方
- 1 少人数指導の授業時間運営に当たっての基本
- 2 少人数指導の教育的な効果
- 3 少人数指導と週当たりの授業時間
- 4 少人数指導の類型と授業時間の運営
- 5 少人数指導の授業時間運営の実際
- §2 学習環境・施設の整備のあり方
- 1 少人数指導に関する学習環境
- 2 少人数指導に適した学習環境の構築
- §3 学校の指導体制のあり方
- 1 少人数指導の指導体制
- 2 少人数化の工夫と指導体制
- 7章 少人数指導・今後の課題と方向
まえがき
平成13年度から平成17年度までの5年間にわたる「第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」がスタートしました。この第7次の定数改善計画のテーマは,「基礎学力の向上ときめ細かな指導」を目指すもので,その主軸をなすものは,少人数指導のための教員加配措置にあります。
この少人数指導の導入とともに,学級編制の基準も一部改正されました。つまり,40人学級制は基本的に現行どおりとしつつも,但し書きが付加され,都道府県教育委員会が特に必要と認める場合は,国の標準(40人学級)を下回る数を特例的に設けることができることとされ,40人以下の学級定員が可能となってきました。
こうした動きを受けて,平成13年度から,にわかに学級集団,学習集団,指導体制の在り方等をめぐって,具体的にどのような改善方策をとっていくかが,大きな教育課題となってきました。皮肉なことに,これまでの学級編制の枠づけが厳しかっただけに,その実践研究はほとんど手つかずの状態でした。「教職員配置の在り方に関する調査研究協力者会議」の報告(平成10年10月)においても,学級規模と学習効果の相関をめぐっての適正規模がどこにあるかという定説的な見解は,今までのところ見出せないと言っています。
それだけに,学校の自主性・自律性の名の下に,学校の実情に応じて実施することになっているだけに,学校の戸惑いも大きなものとなっているようです。こうした状況にかんがみて,少人数指導に焦点を当て,それぞれの学校の実情,学校課題に即して,どのような角度からどうとらえ,取り組んでいくかというその切り口,具本的方策を中心に各学校の参考に供しようと,本書をまとめることとしました。
少人数指導それ自体は初めての試みですが,それぞれの実践にはこれまでの積み上げがあります。個別指導,グループ学習,ティーム・ティーチング,課題別学習,適応指導等々です。少人数指導は,これらの実践をより広げ,より深め,相互に関連づける契機だととらえました。こうした立場に立って,少人数指導という視点から,教科,学年,指導方法や指導形態をとらえ直し,さらには生徒指導の在り方を検討してみました。
本書が,少人数指導を導入された学校,これから導入したいと準備されている学校のために,お役に立てばと願っているところです。また,少人数指導のための礎となり,実践を積み上げていく出発点になれば幸いです。そのためにも,皆様からのご批正をお待ちしています。
2002年1月 編者 /児島 邦宏
-
- 明治図書