教員免許更新制度

教員免許更新制度

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教員免許更新制度が1からわかる!

2009年開始の「教員免許更新制度」をめぐる論点、基本的枠組み、具体的運用上の特色から、受講や免除の対象、修了認定基準といった制度についてのQ&A、カリキュラム設計、更新講習内容例までを、詳しく解説。免許更新制が1からわかる、教育関係者必読の解説書。


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ISBN:
978-4-18-045518-8
ジャンル:
教職課程・教員研修
刊行:
3刷
対象:
小・中・他
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第
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目次

もくじの詳細表示

まえがき ―専門性加算の発想―
T 教員に期待される資質能力と教員養成・教員免許制度改革
1.学びのスピリットと学校力・教師力の位相
2.教員をめぐる状況と教員養成・免許制度改革
(1) 教員の資質能力への問い直し
(2) 教員養成・免許制度改革の重要性
3.中教審答申における教員免許更新制可能性の検討
―適格性と専門性の視点―
(1) 適格性と専門性をめぐる論点
(2) 今後検討すべき課題は何であったか
4.教員免許更新制の基本的性格
―答申における課題からとらえる―
(1) 更新制をめぐる推移
(2) 分限制度との関係ではどうか
(3) 専門性向上との関係ではどうか
(4) 任期制を導入していない公務員制度との関係ではどうか
(5) 我が国全体の資格制度との関係はどうか
U アメリカにおける教員免許更新制
(中央教育審議会におけるレクチャー資料から)
1.教員免許資格規定要因の系譜
2.20世紀前半における免許状有効期限の要求
(1) 有効期限付の根拠と現職教育の実情
(2) 終身免許状廃止の論理
3.今日的免許状発行の類型と波及的特色
(1) 有効期限付免許状の定着と終身免許状の衰退
(2) 多種多様の現職研修を提供
(3) ミネソタ州における更新講習要件(例)
V 「教員免許更新制度」の展開Q&A
1.更新制導入の意義
―リニューアル(刷新)―
2.更新制の適用
―受講対象者および免除対象者
(1) 基本的スタンス及び有効期間は?
(2) 更新講習の受講対象者は?
(3) 更新講習の免除対象者は?
(4) 旧免許状所有者への修了期限の設定は?
(5) 有効期間の延長及び修了確認期限の延期の条件は?
3.免許更新講習の開設認定と講習の内容
(1) 更新講習の開設者は?
(2) 更新講習における講師の資格は?
(3) 更新講習の内容は?
4.免許更新講習の実施方法と修了認定基準
(1) 講習の質の確保と実施方法は?
(2) 修了認定の基準と方法は?
(3) 配慮すべき事項とは?
5.更新制の免許管理システムと制度の周知
W 免許更新講習のカリキュラム設計
1.講習カリキュラムの観点
2.講習内容の到達目標・観点
3.免許更新講習の具体的講義・演習内容例(その1)
(講義・演習名) ガイドラインを活用した学校の自己評価と学校関係者評価・第三者評価
(1) 自己評価・学校関係者評価の意義
(2) 双方向的知力観と一体化
(3) 自己評価の推進体制
(4) 学校関係者(外部)評価の実施と学校関係者評価委員会の活用
(5) 学校力の向上への学校評価ストラテジー
4.免許更新講習の具体的講義・演習内容例(その2)
(講義・演習名) 組織マネジメントとリーダーシップ―マネジメント・マインドの形成―
(1) 組織マネジメントのとらえ方
(2) スクールリーダーとしてのリーダーシップ理論と実践
(3) スクールリーダーとして求められるシンボリックなロゴ
(4) ミドルリーダーへの期待
5.免許更新講習の具体的講義・演習内容例(その3)
(講義・演習名) 専門職たる教員の服務と不祥事,保護者からのクレーム予防・対応マネジメント
(1) 教員の服務に対する再認識
(2) 懲戒処分等の実態と不祥事予防・対応マネジメント
(3) 保護者・地域からのクレーム対応マネジメント
(4) 教師力を高める自己リフレクション・マネジメント―学級経営―
6.免許更新講習の具体的講義・演習内容例(その4)
(講義・演習名) カリキュラム・マネジメント(教育課程の開発・経営)と学習指導要領改訂における実践
(1) カリキュラム・マネジメントの基本的視座
(2) 評価・改善に向けたマネジメント―児童・生徒の声―
(3) 新しい学習指導要領の基本的理念に基づく実践
・主要引用・参考文献一覧
・「教員免許更新制度」関連規定

まえがき―専門性加算の発想―

 改正教育職員免許法の成立により,教員免許更新制が平成21年4月から導入されることになった。平成16年10月,文部科学大臣から「今後の教員養成・免許制度の在り方」についての諮問を中央教育審議会が受けて,平成18年7月に答申を出し,その後教員養成部会を中心に論議を重ねた結論である。

 教員免許更新制は,その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう,定期的に最新の知識技能を身に付けることで,教員が自信と誇りを持って教壇に立ち,社会の尊敬と信頼を得ることを目指すことを目的とし,不適格教員の排除を目的としたものではない。

 中教審教員養成部会および教員免許制度ワーキンググループのメンバーでもあった筆者は“最新の知識技能”,“旧免許状所持の現職教員に対する更新制の基本的枠組みの適用”等に着目した教員免許更新制は,審議過程において,教員組合,校長会,国立大学協会,学校・大学関係者,一般市民等の意見を踏まえた結論であると考えている。

 実は上記諮問を受ける直前に朝日新聞朝刊(平成16年10月22日)の「三者三論」(森越康雄氏・日教組委員長,丹羽健夫氏・河合文化教育研究所主任研究員,八尾坂)で筆者が当時朝日新聞論説委員であった氏岡真弓氏からインタビューを受けたことがある。森越氏は学校や教員への社会の不信が高まっていると感じつつ,地道な学校改革が先決と指摘し,丹羽氏は,公教育における評価のシステムが不十分であり,免許の更新制は教師評価の一つであり,導入に賛成の見解を示していた。筆者は専門性「加算」の発想と位置づけたが,以下に当時の更新制導入に関する筆者の考えを示しておきたい。


  主な先進国の中で教員免許に更新制を導入しているのは,米国だけだ。教師としてふさわしくない人を除く「引き算」より,専門性を伸ばす「足し算」に力点を置いた制度として発展してきた。だから,不適格教員の明確な基準は定められていない。

  米国で更新制が始まったのは19世紀半ばにさかのぼる。産業革命による都市の成長や移民の増加,西部開拓に対応するため,学校が次々つくられ,教員が大量に不足した。

  だが,財政は厳しく,養成機関も足りない。そこで免許を発行する権限を持つ州の多くがとった策が,学歴がなく試験の点数は低いが,安い給料ですむ若者に下級免許を与え,5年未満の有効期限を設けて上級をとるよう促し,質を上げることだった。

  この流れは,20世紀に入って一層強まる。師範学校や大学が増え,養成のレベルが上がると,既に免許を持っている人を新採用者の水準に引き上げる必要が高まり,現職の再教育が更新条件の中心に位置づけられた。

  その内容も年を追って多様化する。大学でのコース履修,州のプログラムのほか,研修旅行や教育団体の講座への参加,ボランティア活動なども広く認定され,自主性が重視されるようになった。

  こうした制度を貫くのは,資格が生涯有効だと,専門職として努力する姿勢が鈍ってしまうという確信だ。

  翻って,日本はどうか。

  教員の地位向上を目指し,1900年に有資格教員の免許状は終身制とされた。戦後,米国の制度の影響を受けながらも受け継がれる。

  そこに80年代あたりから,校内暴力を前に教員の資質向上を求める声が強まり,更新制の議論が目立ち出した。

  83年には,自民党文教制度調査会・文教部会が「教員の養成,免許等に関する提言」を発表。免許状に期限を設け,研修を義務づけるよう検討を求めた。

  その後,臨時教育審議会でも議論され,00年,首相の私的諮問機関の教育改革国民会議の最終報告でも,問題が改善されない教師の配置転換とともに提案されている。

  更新制を指導力不足教員を教壇に立たせない「引き算」の仕組みとして考えるなら,懲戒や分限処分が既にある。これまで教育委員会がたらい回し人事で対応し,制度が機能しなかったのは事実だ。だが,説明責任を求められるようになって,各都道府県で教員評価のシステムをつくり,改善しつつある。更新制で不適格者を除こうとすると,屋上屋を重ねることになる。

  検討すべきは,米国のように専門性を向上させるための更新制だ。教員が長い目で自己啓発を考えてゆく契機になるはずだ。

  そのためには,教育委員会の初任者研修や10年経験者研修の内容と成果の検証が必要だ。そのうえで一人ひとりの課題に合った研修の機会をどう提供できるかが問われる。

  今回の改革案が,教員の専門職大学院と合わせて提案されているのは興味深い。米国では免許制度の確立と大学の発展が軌を一にし,大学が現職教育に主導的な役割を果たしてきている。多くの州が上級免許の資格要件に修士号をとることを挙げている。

  更新制を提案した河村文科相(当時)が抱くのは,大学4年を終えてすぐ大学院に入り,プラス2年で免許をとらせるイメージのようだが,現職教育の場として活用する道を考えた方がよい。米国の大学のように,学校現場や教委と連携してカリキュラムをつくることが大切だ。


 上記の考えは,教員免許更新制が制度化された現在においても変わらないが,更新制にともなう受講者への様々な側面からの配慮は不可欠である。

 このような課題意識のなかで,本書は以下の第T章から第W章で構成されている。本書の特色は,教員免許更新制をめぐる論点,基本的性格をアメリカの歴史的推移をふまえつつ,明らかにするとともに,免許更新制における具体的運用上の特色およびカリキュラム設計上の更新講習内容例を提示したことである。受講者とともに更新講習開設者にも理解できる内容を心がけようとしている。

 まず第T章では,教員に期待される資質能力の問い直しを図るとともに,平成14年中教審答申で指摘された更新制導入における適格性と専門性の論点,更新制の基本的性格を明らかにしている。

 第U章では日本における更新制導入を考える前提として,唯一更新制を導入してきたアメリカの教員免許更新制度の系譜を探るとともに,今日的免許状発行の類型を終身免許状の衰退と有効期限免許状の定着,現職研修との関連の視点から考察している。本章は中央教育審議会教員養成部会におけるレクチャー資料でもある。

 第V章では,教員免許更新制度の展開として,Q and A方式を取り入れている。導入の意義,有効期間,有効期間の更新,修了確認,更新制適用における受講対象者及び免除対象者,免許状更新講習(開設者,実施形態,講習の講師,講習の内容,講習の修了認定),有効期間の延長,修了確認期限の延期,複数の免許状を所持している場合の扱い,配慮事項,現職研修との整合性の確保などについて,運用上の具体的ケースを包合しながらまとめている。

 最後に第W章では,まず免許更新講習のカリキュラム設計として,講習,開設認定基準(細目,含める内容等),講習修了認定基準(到達目標,確認指標)などの観点を提示した。次に教育の最新事情に関する事項の講習,演習例として,「ガイドラインを活用した学校の自己評価と学校関係者評価,第三者評価」「組織マネジメントとリーダーシップ―マネジメント・マインドの形成―」,「専門職である教員の服務と不祥事,保護者からのクレーム予防・対応マネジメント」,「カリキュラム・マネジメント(教育課程の開発・経営)と学習指導要領改訂における実践」に関して,できる限り現実に直面する実践課題への対応ストラテジーの視点から取り上げている。

 本書は戦後60年を経て新たに導入された教員免許更新制度について,更新制の具体的内容を探るとともに,更新性を通して教員の専門性の高揚,更新講習開設者である大学側の教員養成充実に対する認識の深まりの契機になり得るとの確信のもと編集したものである。教員免許状取得者・取得予定者,教育委員会や大学の関係者,学校,教育に関心のある地域の方々にご活用いただければ幸いである。

 本書執筆にあたり,中央教育審議会(教員養成部会)の専門委員としての機会を与えてくださった文部科学省の初等中等教育局,特に教職員課,教員養成部会委員の皆様に,わが国の教員養成・免許制度の在り方について貴重な示唆を提示していただいたことに感謝したい。またアメリカの教員免許制度研究の研究環境をつくって下さった,かっての勤務先である国立教育研究所(教育経営研究部)の洗練されたエキスパートの先生方のポジティブな影響も多大である。

 最後に,刊行にあたり明治図書の及川誠氏には編集計画段階から最終校了までの2年ほどの期間,大変お世話になった。出版の機会を与えてくださったことに厚く御礼申し上げたい。


  2008年(平成20年)4月 福岡箱崎・九州大学の研究室にて

   著者 /八尾坂 修

著者紹介

八尾坂 修(やおさか おさむ)著書を検索»

九州大学大学院人間環境学研究院教授(教育行政学・学校経営学),博士(教育学)。

昭和26年1月生まれ。国立教育研究所主任研究官(現・国立教育政策研究所),奈良教育大学助教授・教授勤務後,現職。

現在,中央教育審議会専門委員(特に教員養成部会)。

文部科学省視学委員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 自分の中で理解できていない部分を補うために購入しました。
      講習内容例や、具体的なQ&Aがその疑問に答えてくれました。
      巻末に掲載されている条文と照らして、もう一度読み直そうと思います。
      2008/5/28考える葦

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