- はじめに
- 1章 総合的学習の企画・実施のプロブレム
- ─総合的学習の特質から考える─
- §1 総合的学習の意図するもの
- §2 総合的学習の企画・実施の段階でのプロブレム
- 2章 企画段階でのプロブレム25問25答
- 基本的理解
- 1 総合的学習とはどのような学習活動か
- 2 総合的学習を「枠のない契約学習」「単元の枠内における特定トピック学習」「個人またはグループによるプロジェクト学習」の3つに分ける考えがあるが,それぞれどのようなものか
- 3 イギリスのオープンスクールで行われている「トピック学習」が総合的学習の例として語られている。「トピック学習」とはどのようなものか
- 4 教科・領域の横断的な総合的学習とは,どのようなものか
- 5 総合的学習と教科学習の共通点と相違点は何か
- 6 総合的学習と選択教科の類似点は何か
- 7 総合的学習と特別活動はどう違うのか
- 企画上の配慮事項
- 8 修学旅行を総合的学習として実施したいが,どうすればよいか
- 9 総合的学習をイベント的な体験活動に終わらせないためにはどうするか
- 10 小学校と高等学校の間にある中学校の総合的学習の特色はどのようなものか
- 11 教科の学習で身につけた知識や技能が,総合的学習の中で活用されて本物の学力として定着すると言われているが,その具体例としてどのようなものがあるのか
- 12 総合的学習で育てようとしている「学力」とは,どのようなものか
- 運営上の配慮事項
- 13 総合的学習のカリキュラムとはどのようなものか
- 14 総合的学習の単元とは何か
- 15 生徒の実態を踏まえた総合的学習の課題づくりとはどのようなものか
- 16 生徒によって課題や学習の異なる総合的学習は,学習活動として成り立つのか
- 17 1単位時間や学習配当時間の弾力的な運用の仕方として,どのようなものが考えられるか
- 18 生徒によって課題や学習進度等が異なる総合的学習の教材研究といわれてもイメージがわかない。どのようなものか具体的に説明してほしい
- 19 校外における体験学習を行う場合の配慮事項は何か
- 20 学校の施設・設備を有効に活用するにはどうすればよいか
- 21 地域の公共施設等を利用するにはどうすればよいか
- 22 グループや異年齢集団による総合的学習における配慮事項としてどのようなものがあるか
- 23 いわゆる「人材バンク」づくりをどのようにすすめればよいか
- 24 総合的学習について保護者の理解をどのようにして深めるか
- 25 総合的学習の時間における「評価」はどのようなものか
- 3章 実施段階でのプロブレム25問25答
- 学習成立の配慮事項
- 1 総合的学習のオリエンテーションをどうすすめればよいか
- 2 総合的学習への生徒の意識づけはどのようにすればよいか
- 3 生徒に主体的に課題や学習内容を選定させるには,どのようにすればよいか
- 4 生徒の選定した課題や学習内容を発展性のあるものに高めるには,どのような手だてが必要か
- 5 生徒の多様な個性を生かしながら,全体として学習内容に共通性を持たせるには,どのような工夫が必要か
- 展開上の配慮事項
- 6 学校の近くを流れている△△川を主題に総合的学習を行いたいが,学習内容としては,どのようなものが考えられるか
- 7 「ある日の新聞から」という主題で生徒たちに関心のある記事を選ばせ,そこから課題をふくらませて学習内容を決定させたいが,学習内容としてはどのようなものが考えられるか
- 8 個々の生徒の1時間ごとの学習成果をどのように把握すればよいか
- 9 個々の生徒に次時の学習課題をどのようにして認識させればよいか
- 10 学習内容が次のレベルに発展しない生徒にどう対応するか
- 11 生徒の意欲を引き出し持続させるためには学習形態をどのように工夫すればよいか
- 12 学習の成果の交流の仕方としてどのような方法が考えられるか
- 13 グループによる総合的学習を実施したいが,グループ編成に当たっての配慮事項は何か
- 14 総合的学習でインターネットを活用する場合の配慮事項としてどのようなものがあるか
- 15 生徒の学習暦をどのような形で残し,どのように活用すればよいか
- 運営上の配慮事項
- 16 校外での体験的な学習になると遊んでしまう生徒をどうすればよいか
- 17 専門外と言ってしり込みする教師にどう対応するか
- 18 教師間の連携がうまくいかない場合どうすればよいか
- 19 講師やゲストティーチャーをどう活用すればよいか
- 20 学習内容が教師の力量を超えてしまった場合どうすればよいか
- 21 総合的学習の時間のまとめはどうすればよいか
- 22 総合的学習の「学習のまとめ」を発表会のかたちで行うことも考えられるが,この場合どういったことに留意すればよいか
- 23 総合的学習では学力が身につかないという保護者や生徒の不満にどう対応するか
- 24 総合的学習の評価は学期ごとにすればよいか
- 25 生徒による自己評価だけではなく,保護者の評価も採り入れた総合的学習の評価は,どうあればよいか
まえがき
「年齢主義」は同一年齢の子どもに同一の学習内容を習得させようという考え方であり,近代学校制度の普及とともに米国から先進国の間に広まったものである。皮肉なことにこの「年齢主義」が,今日のわが国の学校教育の特徴として挙げることができる。また,もう一つの特徴として「教科主義」を挙げることができる。「教科主義」は「学力」をペーパーテストによって測定することができるという考え方と軌を一にするものであり,最近の学力低下をめぐる論争の一方の論拠の根底にあるものである。
しかし,平成8年7月,中央教育審議会答申は,これまでの伝統的な「学力」を追求する学校教育では,めまぐるしく変化するこれからの社会を生き抜く日本人の育成は不可能であるとし,さらに「今後における教育の在り方の基本的な方向」として,「生きる力」をはぐくむことの重要性を指摘したことは記憶に新しいところである。また,答申は「生きる力」は全人的な力であり,幅広く様々な観点から敷桁することができるとし,さまざまな観点から「生きる力」について論述している。
これを受け,教育課程審議会は平成10年6月,「審議のまとめ」を公表し,「生きる力」をはぐくむために「総合的な学習の時間」の創設を提言し,さらに同年11月に中学校学習指導要領が告示され,平成14年度より「総合的な学習の時間」が実施されることとなった。学習指導要領は「総合的な学習の時間」のねらいとして,次の二つを挙げている。
1 自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。
2 学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。
しかし,総括的・概括的とも言える「ねらい」と,先に述べたわが国の学校教育の特徴である「年齢主義」,「教科主義」とが相まって,多くの学校においては「総合的な学習の時間」の内容が必ずしも明確なものとはなっていない。学校現場には「総合的な学習の時間」を企画・立案するに当たっての疑問や実施の段階での課題が数多くあるが,こうした疑問の解決や課題の克服に少しでも役に立てばと考え,本書を発刊した。
「総合的な学習の時間」について執筆者全員が必ずしも編者と考えを同じにするものではないが,多様な考えを披瀝し,その中から読者が有用なものを選択できるようにと考え,あえて執筆者を限定しなかった。編者は二十一世紀に向けた壮大な教育改革のキーポイントは「総合的な学習の時間」と「教育評価」であると考えている。それだけに,本書が各学校の「総合的な学習の時間」の企画と実施に大いに活用されることを願って止まない。
なお,本書では「総合的な学習の時間」における教育活動を「総合的学習」と称したことを付記しておきたい。
平成12年11月 編 者
-
明治図書















