- はじめに
- /大塚 謙二
- Chapter1 押さえておきたい! 成功する中1授業のポイント10
- @ 外国語活動(小学校英語)で変わる! 中学校英語
- 1 小学校英語の中学校英語への影響
- 2 小学校英語と中学校英語の特徴と違い
- 3 小学校英語と中学校英語の共通点
- 4 小学生と中学生の学習方法・ストラテジーの違い
- 5 小学校英語が中学校英語に与えた課題
- A 中1授業を成功させる極意とは?
- 1 小学校英語から中学1年にソフトランディングするには?
- 2 演繹的指導vs.帰納的指導
- 3 バランスのよい指導が大切
- 4 授業改善のためのセルフチェック16
- 5 中1授業で気をつけたいポイント7
- COLUMN 生徒に評価方法を伝える最適な時期とは?
- Chapter2 英語好きな中学生を育てる入門期の効果的な活動55
- @ すぐにできる! 入門期の効果的な活動55
- 1 重要なあいさつの仕方・授業のつかみ
- 活動01 標準的なあいさつの指導
- 活動02 生徒が主体的に発話するあいさつの指導
- 活動03 生徒が先生役をする Today's Teacher
- 活動04 Easy Questions(簡単な日常会話のQ&A)
- 2 英語学習への興味を高める・英語と日本語の違いを知る
- COLUMN なぜハイタッチをするのか?
- 活動05 身の回りのチラシから英語を見つける活動
- 活動06 外来語の由来当てクイズ
- 活動07 よく知っているのにALTの発音が聞き取れない単語を当てる活動
- 活動08 英語は発音通りに書けないことを知らせる活動
- 活動09 英語と日本語の語順の違いに気づかせる活動
- 3 アルファベット
- COLUMN 元気で大きな拍手の効果
- 活動10 文字を読めるようにする活動
- 活動11 A〜Zまで言えるようにする活動
- 活動12 A〜Zの途中から最後まで言えるようにする活動
- 活動13 大文字を書けるようにする活動
- 活動14 小文字を書けるようにする活動
- 活動15 素早く大文字・小文字両方を書けるようにする活動
- 活動16 アルファベット大文字・小文字の小テスト活動
- 4 フォニックスの基礎
- COLUMN よい授業とは?
- 活動17 発音とつづりの関係を知り,フォニックス,ローマ字の重要性を知る活動
- 活動18 A〜Zの基本的なフォニックス(1段階:リピート)
- 活動19 カードでフォニックス(2段階:1文字を見て発音)
- 活動20 読むフォニックス(3段階:単語を見て発音)
- 活動21 書くフォニックス(4段階:発音を聞いて書く)
- 活動22 英単語の覚え方のコツをつかませる活動
- 活動23 接頭辞,接尾辞のカードで発音とつづりを結びつける活動
- 活動24 英語を書く時の約束の指導
- 5 かたまりで英文を印象深く指導するジェスチャー(TPR),チャンツ,歌
- 活動25 語彙を増やす活動(TPR的活動)
- 活動26 クラスルームイングリッシュにつなげる活動
- 活動27 英語の歌
- 活動28 チャンツ
- 活動29 パターンプラクティス(場所と人物の定着)
- 活動30 パターンプラクティス(be動詞編)
- 活動31 パターンプラクティス(人称代名詞編・This That)
- 活動32 カルタ
- 活動33 BINGO
- 活動34 教科書本文ペアチェック活動(基本文・文法)
- 活動35 生徒が1分で活発になる魔法のペア活動(ABC・数・曜日・月など)
- 6 入門期の4月が終わった後の授業の組み立て方
- 7 教科書の扱い方
- 活動36 新出単語の導入・フラッシュカードの使い方
- 活動37 教科書本文の扱い方(1〜2学期:本文が短い場合)
- 活動38 お助けプリントを活用した教科書本文の扱い(3学期以降)
- 活動39 教科書本文の内容把握後の発展的な活動
- 活動40 Intake Sheetを活用したStructured Reverse Translation
- ―教科書本文をOutput中心に扱う―
- 8 音読練習
- ・全員で行う音読活動
- 活動41 3回読み
- 活動42 Read & Look up
- 活動43 パラレルリーディング(シンクロナイズドリーディング)
- 活動44 シャドーイング
- ・ペア・グループで行う音読活動
- 活動45 同時読み(ユニゾン読み)
- 活動46 交代読み
- 活動47 リレー読み
- 活動48 ペア通訳読み
- 活動49 40秒スピードリーディング
- 活動50 発音練習読み
- 活動51 暗唱
- 9 少し力がついてから行う活動
- 活動52 ワードクイズ(動物,果物,食べ物)
- 活動53 スキット
- 活動54 日記
- 活動55 Prepared Speech(自己紹介・Show and Tell・感想や考えを述べる)
- A あきらめないで取り組む,授業を改善・修正する要素
- 1 活動の目的は1つか2つに絞り,目標は明確になっているか?
- 2 活動形態は,生徒の実態と活動の段階に適しているか?
- 3 指名方法は発言しやすいか?
- 4 その活動のゴールは何か?
- 5 目の前の生徒達にとって難易度は適切か?
- 6 練習量は適切か?
- 7 司会進行の中心人物は誰か?
- 8 活動を成功させるオプション
- Chapter3 成功する1・2・3学期の授業デザインのポイント7
- @ 黄金の3日間・中1の授業開きの極意
- 1 1時間目・2時間目・3時間目の活動と必ずすべき約束
- A 大塚流! 中1の授業づくりの極意
- 1 中1の授業で気をつけたいこと
- 2 授業づくりのこだわりとは?
- 3 大塚流! 指導案づくりのポイント
- 4月 大切な最初の1時間目授業プラン
- 1学期 本文を扱う時の授業プラン(基本形)
- B 胡子流! 中1の授業づくりの極意
- 1 中1の授業で気をつけたいこと
- 2 授業づくりのこだわりとは?
- 3 胡子流! 指導案づくりのポイント
- 11月 クラス全員が英語に熱中する授業プラン
- 3月 次年度へつなげる授業プラン
- おわりに
- /胡子 美由紀
- 参考文献
はじめに
2011年,全国の小学校で外国語活動が始まった。その活動内容や量に地域間格差や学校間格差はあるにせよ,日本の英語教育の歴史に残る大きな第一歩である。この第一歩には賛否両論あるようだが,私は小学校5,6年生の時に年間35時間の外国語活動を受けてきた新入生を受け入れて授業を行ってみた結果,中学校の英語の授業についてはメリットの方が多いと感じている。彼らは今までの生徒達と比較して,既に英語であいさつができていたり,アルファベットを全部言えたり,曜日や月の名前を知っていたり,身の回りのものを英語で言える数が多かったりする。なによりもありがたいのは,英語を学ぶことに慣れ,様々な言葉への気づきを体験してきていることだ。コミュニケーション活動の素地を養ってきているのだ。そのため,中学1年生でゲームやタスク活動をしても,臆することなく,意欲的に取り組むことができる。
一方,デメリットもあり,入学した段階で,既に英語嫌いの生徒がおり,以前はたくさんいたはずの,目をキラキラ輝かせて新鮮な気持ちで初めての英語の授業に取り組む姿は減少してしまった。しかし,そこは私達の腕の見せ所,分かりやすい授業,楽しい授業,生徒が達成感を感じ力がつく授業を一生懸命つくり,英語を好きにさせられたなら最高にしあわせである。
では,小学校外国語活動から引き継いで中学校英語にソフトランディングさせるにはどのようにしたらいいのだろう。一般的な小学校外国語活動では,文法や文字の指導,発音の矯正はしない。また,机や教科書を使う授業よりも体験重視の活動が多く,あいさつや特定の表現を学び,その時間内で使って活動し,習熟を求めない。一方,先進的な地域では小学校5,6年生に限らず,他の学年でも外国語活動を取り入れ,かなり高度な活動に取り組んでいる場合もある。そうなると,複数の小学校からひとつの中学校に入学する場合は,学校間格差を考慮し,最初から全員にアルファベットから教えていく必要がある。ということは,結局今までと変わらない受け入れ方になるだろうし,平成24年度からは中学校では週4時間の授業ができるので,以前よりもていねいに授業を進めることができる。
私達英語教師には,中学1年生が英語学習の最も重要な時期であることを念頭に置いて授業を計画し,生徒達一人ひとりを大切にし,目を配ることがなによりも求められていることではないだろうか。その上で,中学校の英語は,努力し覚えなければならないこともある学習であるという自覚をもたせ,英語の家庭学習の仕方(何をどのように学習すべきか)を学ばせ,家庭に帰ってから自分で学習を進めることができるようにしなければならない。50分授業が週4時間,年間140コマということは合計116.6時間。これを24時間で割ると,学校で授業をしている時間はたった4.86日間でしかない。生徒は自立した家庭学習方法を身につけ,教師は分かりやすい授業をし,365日をうまく使って中学1年生をていねいに育てていく必要がある。
2012年7月 /大塚 謙二
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- 明治図書
- 入門期の指導がわかりやすかったです。2023/6/2520代・中学校教員
- お二人の先生が書かれているので、それぞれのお考えや授業の進め方を学べてよかったです。ただ、さらに内容を深めるには物足りなく、お一人ずつの本を読み直しました。2022/8/1040代教諭
- よい2021/5/220代・中学校教員
- 中学校1年生の授業の組み立てに大変役に立った。特に、最初の授業開きについては詳細なプランがあり参考になった。2015/5/3020代・中学校教員
- 「もしかすると、失敗したその活動の成功は実はもうすぐ目の前に来ているかもしれない。」この一行が私に勇気を与えた。授業開きを前に大塚謙二先生と胡子美由紀先生から大きな勇気を再びもらった。この思いを忘れず「黄金の三日間」で生徒も私もソフトランディングしたい。2013/4/3ようへい