21C中学校新教育課程のコンセプト解説6学校と家庭・地域連携の方法

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今次教育課程の改訂では学校と家庭・地域の連携が重視されている。完全5日制を背景にした教育展開の新方向をコンセプトと事例で示した決定版。


復刊時予価: 2,475円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-039810-9
ジャンル:
学習指導要領・教育課程
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 148頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
1章 家庭・地域との連携は何がねらいか
§1 「生きる力」の育成
§2 学校のスリム化
§3 体験活動の重視
§4 開かれた学校づくり
2章 家庭・地域との連携をどう進めるか
§1 学校運営組織の改善
1 学校運営組織の現状
2 学校運営組織の改善
3 仮称「家庭・地域との連携委員会」について
§2 PTA活動の充実
1 PTA活動の実態
2 PTA活動の充実
§3 地域教育懇談会
1 基本的な考え方
2 基本的な位置づけ
3 地域教育懇談会の運営方法
4 区の支援
5 地域教育懇談会の主な懇談内容
§4 学校の広報活動
1 学校の広報活動
2 PTAの広報活動
3章 家庭・地域との連携を図る実践プラン
§1 開かれた学校づくり
1 解説/開かれた学校づくりの考え方と対応
2 事例1/開かれた学校の雰囲気づくり
3 事例2/家庭・地域と共に生徒を育てる開かれた学校
§2 特色ある教育活動の展開
1 解説/特色ある教育活動展開の考え方と対応
2 事例/地域に学ぶ「トライやる・ウイーク」
§3 「総合的な学習の時間」の展開
1 解説/「総合的な学習の時間」展開の考え方と対応
2 事例/地域学習と教科の連携・総合化
§4 生徒指導上の課題への対応
1 解説/生徒指導課題の考え方と対応
2 事例1/地域との交流活動を通して
3 事例2/ストップ ザ いじめ
4 事例3/登校拒否―親の会の実践
5 事例4/ノーチャイムの実施を通して
§5 教科指導の充実
1 解説/家庭や地域との係わりを生かした国語科指導の工夫
2 事例1/郷土の素材と連携させた説明的文章の指導
3 事例2/郷土の民話や伝説に関連させた表現指導
4 事例3/その他の事例(家庭・地域を関連づけた国語科指導)
§6 道徳・特別活動充実の考え方と対応
1 解説/道徳・特別活動充実の考え方と対応
2 事例/体験学習をいかした豊かな心の育成
§7 スクール・ボランティアの実施
1 解説/スクール・ボランティアの考え方と対応
2 事例/生徒が選ぶボランティア体験
§8 地域人材の活用
1 解説/地域人材活用の考え方と対応
2 事例/地域の人材活用の実践と展開
§9 部活動の改善
1 解説/部活動改善の考え方と対応
2 事例/家庭・地域に愛される部活動

まえがき

 完全学校週5日制の下に学校・家庭・地域との一層の連携を図り,「ゆとり」の中で「生きる力」をはぐくむことがこれからの学校教育の在り方として中央教育審議会答申,教育課程審議会答申や新学習指導要領で示された。

 「生きる力」は生涯学習社会において必須の資質・能力であり,これからの時代を拓く人材の育成という視点からも重要である。しかし,こうした資質・能力を子どもたちに確実に身に付けさせるには,学校教育だけでは十分とは言えない。

 「生きる力」をはぐくむには学校・家庭・地域社会がそれぞれの教育機能を発揮することが必要となる。三者が協働体制の基に子どもの教育を可能とするためには,子どもの教育に大きな役割を果たしている学校が,家庭や地域社会に学校教育の現状を開くことと,ともに歩む態度を打ち出すことが重要である。

 完全学校週5日制の実施により,子どもたちの学校外での生活が学校教育に大きく影響することが考えられる。子どもたちは年間百数十日を家庭や地域社会で過ごすことになる。学校外でどのような学習をするか,どのような体験をするか,特に土・日の連休をどう過ごすかが翌週の学校生活に大きくかかわってくる。連休に家庭や地域社会の大人の協力によって自然体験や社会体験を得た子どももいれば,子どもたちどうしで共通の興味・関心のあることに取り組んだ子もいるし,まったく無為に過ごした子もいることになる。

 従前から学校教育は学校のリズム,教師のペースに子どもが合わせる状況で行われている。学校生活は学校内の生活に視点をおいて運営すればよかった。しかし,これからは子どもの生活に視点を当てた学校運営が重要となる。そこで,家庭や地域社会との連携・協力がこれからの学校運営には欠かすことのできない条件の一つになる。

 学校は,どのようなことを家庭や地域社会に求めるのか。また,その手立てはどのようにすればよいのか。開かれた学校の重要性についての指摘は多くなされているが,その具体策についての提言は多くはない。学校の施設,人材の活用等については多く学校で実践しているが,これからの学校・家庭・地域社会との連携は学校経営の基調の転換までも求めている。

 本書は,今回の教育課程の基準の改善にともなう学校教育の基調の転換までも視野にいれ,新しい学習指導要領に示された原理・原則の解説とともに,学校と家庭や地域社会との連携を,具体的にどのように展開していけば混乱なく実践できるかについて,先進的な学校の実践報告を紹介し,明日からの校内研修やこれからの学校経営に参考となるよう作成したものである。

 今回の学習指導要領の改訂に当たっては,各学校の特色ある教育活動を学校経営の基本としている。それぞれの学校が地域性を活かした教育活動をすることによって,それは可能となる。それぞれの学校で活動している子どもたちは地域社会で生活している。家庭や地域社会と一体となった教育活動こそが子どもたちに「生きる力」をはぐくむことになるし,その結果として特色ある学校づくりが行われることになる。これからの学校は地域とともに創り上げることが基本的態度となる。それぞれの学校において創意工夫のある教育活動を展開されることを期待している。

 「21世紀中学校新教育課程のコンセプト解説」の1巻として本書が編集されているが,本書がこれからの学校経営に向けて多少なりともお役にたてれば幸甚である。最後に本書の刊行に当たって,明治図書出版の安藤征宏氏をはじめ担当者の皆さんに御礼申し上げ,編者の言葉とする。


  平成11年5月   /佐野 金吾

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      明治図書

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