21C中学校新教育課程のコンセプト解説3教育課程の弾力的運営

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特色ある学校づくりの基本をなす教育課程の弾力化。時間割の編成、1単位時間や授業時数の弾力的運用。その考え方と具体例を網羅して紹介。


復刊時予価: 2,563円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-039310-7
ジャンル:
学習指導要領・教育課程
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
1章 教育課程の弾力的運営のねらいは何か
§1 新学習指導要領にみる教育課程の弾力化
§2 教育課程弾力化の必要性
2章 教育課程の弾力的運営をどう進めるか
§1 学校の実態をどう生かすか
§2 実態に「応じて」とは何か
§3 教育課程弾力化の展開
3章 教育活動の弾力的運営
§1 指導内容の弾力的運営のアイデアと具体策
1 解説/指導内容の弾力的運営の考え方と工夫
2 事例/町づくり学習「上越21」
§2 指導方法の弾力的運営のアイデアと具体策
1 解説/指導方法の弾力的運営の考え方と工夫
2 事例/学び方を学ぶ学習指導の工夫
§3 教育組織弾力的運営のアイデアと具体策
1 解説/教育組織弾力的運営の考え方と工夫
2 弾力的運営の実際
3 弾力的運営の効果
4章 学習組織の弾力的運営(選択履修)
§1 学習集団の編成アイデアと具体策
1 解説/学習集団編成の考え方と工夫
2 事例/自ら求めて活動する選択履修
§2 異年齢集団編成のアイデアと具体策
1 異年齢集団編成の考え方と工夫
2 事例/誰もが主役になれる生徒会
§3 学校外との交流深化のアイデアと具体策
1 解説/学校外との交流深化の考え方と工夫
2 事例/視野を広げる特別活動
5章 生活時間の弾力的運営
§1 年間生活時間編成のアイデアと具体策
1 年間生活時間編成の考え方と工夫
2 A・B日課の併用の実際と今後の方向
§2 日課表構成のアイデアと具体策
1 解説/日課表構成の考え方と工夫
2 事例/モジュール方式による日課表
6章 授業時間の弾力的運営
§1 1単位時間弾力的運営のアイデアと具体策
1 1単位時間弾力的運営の考え方と工夫
2 モジュール制による運営
§2 週時制見直しのアイデアと具体策
1 週時制見直しの考え方と工夫
2 事例1/優先日を生かした選択社会科
3 事例2/生徒の願いに沿った選択国語
§3 学期制見直しのアイデアと具体策
1 解説/学期制見直しの考え方と工夫
2 事例/3学期制と2学期制の融合
7章 学習の場づくりの構想
§1 学習環境づくりのアイデアと具体策
1 学習環境のとらえ方
2 総合的な学習の時間
§2 「共生の時間」と学習環境
1 学習環境として工夫したポイント
2 学習環境を工夫してみて
§3 情報環境づくりのアイデアと具体策
1 解説/情報環境づくりの考え方と工夫
2 事例/子どもの学びの要求を満たす情報環境
§4 文化的環境づくりのアイデアと具体策
1 解説/文化的環境づくりの考え方と工夫
2 事例/夢を育む教育の推進を通して
3 弾力的運営の実際
4 弾力的運営の効果

まえがき

 今次の新教育課程の改訂の基本方向を示した教育課程審議会の答申(平成10年7月)においては,今後の学校の姿を次のように描いている。@子どもたちが伸び伸びと過ごせる場である。A自分が興味・関心のあることに,じっくり取り組めるゆとりがある。B分かりやすい授業が展開され,分からない場合は分からないと自然にいえ,学習でのつまずきや試行錯誤が当然のこととして受け入れられる。C子ども同士や子どもと教師の信頼関係が確立し,子どもたちが安心して力を発揮できる場である。

 一言でいえば,「子どものための学校」の姿が,ここに描き出されているわけである。このことは,学校や教師の都合に先立って,子どもの都合が優先することを意味する。子どもの心のヒダ,琴線にふれ,そこから出発する学校,学習が求められてきたわけである。

 このことは,「形式的平等主義から個性尊重の教育へ」の転換を意味する,全ての子どもを共通に一律に扱うのではなく,その子ならではの「よさ」「可能性」を見い出し,生かし,伸ばすことが,教育の基調となっていく。たとえ,国民として共通に学習すべき内容であっても,その学び方は個性的である。その子ならではの学び方に即して指導法は異ってくることになる。

 より具体的には,「硬直性から弾力化へ」「画一性から個性化へ」「閉鎖性から開放化へ」と,教育活動,指導法,指導組織等々を見直し,再編していくことが求められている。つまり,子どもの個性や主体性を核にした教育を展開していくとき,弾力化,個性化,開放化を図り,教育課程全体の弾力的な運営が必須となってくる。

 本書はこうした視点に立って,新教育課程の弾力的運営をどう図っていくかを,教育活動全体にわたって,実践的に論じたものである。まず第1章では,なぜ弾力化が必要なのか,その基本的な考え方を示した。第2章では,弾力的運営をどう進めるかという方向付あるいは基本的な経営戦力を示した。

 第3章では,教育活動それ自体の創意と弾力化について述べた。すなわち,指導内容,指導法,指導体制を3つの軸として,そのアイデアと具体的方策を実践的に示した。

 第4章以下では,教育活動を展開していく上で,それを枠づけている諸要件について,その弾力化のアイデアと具体的方策とを論じた。すなわち,第4章では集団編成の在り方,第5章では学校における生活時間の在り方,第6章では授業時間の在り方,第7章では学習の場,学習環境の在り方について述べた。どのように教育の中味をかえても,これらの外枠である諸要件が変わらないでは,活動が生き生きと展開できないからである。

 以上のように,本書は,教育課程の編成と展開とをめぐる運営の在り方について具体的に論じたものである。ここからいろいろのアイデアを取り出し,実践に供していただけたらと願っている。新教育課程が,「いいスタート」を切れるように,願っている。


  平成11年5月   /児島 邦宏

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